月原深夜子

月原深夜子(ツキハラ ミヤコ)です。 小説家を目指しています。好きな作家は斎藤隆介さん…

月原深夜子

月原深夜子(ツキハラ ミヤコ)です。 小説家を目指しています。好きな作家は斎藤隆介さん、宮沢賢治さん、村上春樹さんです。 特技は茶道と花道とピアノ、趣味は散歩です。 雨の森が好きです。珈琲と読書をこよなく愛しています。 音楽はドビュッシーが好きです。ピアノはショパンを弾きます。

最近の記事

虹色銀河伝説 地の章⑦

38 中学のこと  小学校の頃は怪獣災害やヒリコ達の暴動事件があって大変だったが、転校してから卒業までの最後の2年間は穏やかだった。  場所が変われば状況もここまで変わるのかと驚いた程だ。もちろん転校先でも嫌なヤツはいたけど、ヒリコ達のように集団でいじめてくるようなことはなく、大して苦にならなかった。  それから怪獣も現れなかった。  岩手県にだけでなく、日本全国どこにも現れなかった。外国で出てるとも聞かない。  どうして現れなくなったのか、いろいろ憶測はあるけど、本当のこ

    • 虹色銀河伝説 地の章⑥

      34 笛の音  怪獣が僕たち家族の目の前に現れた。お母さんは慌てて動かない車に飛び乗り、お父さんは何度もクラクションを鳴らして何かを叫んだ。  僕は震えながら何もできずに目を閉じた。  その時……こんな時に笛の音が聞こえてきた。初めて聴く不思議な音色だ。すでに死後の世界との間にいるということだろうか。  すると、にわか信じられないことが起きた。怪獣は僕たちを避けるように踵を返し、二丁目の方に向かっていった。怪獣に思惑があるのかないのか、怪獣が遠ざかっていく。  ピュリラー

      • 虹色銀河伝説 地の章⑤

        29 謎の老人  ぼくの目の前に1人の男の老人が立っていた。痩せ細っていても背が高く、甘さのない落ち着いた目をしている、やや恐ろしい印象だ。  キャスケット帽子を深く被り、両手を大きめのトレンチコートのポケットに入れ、こちらをジッと見つめている。まるで初めからぼくのことを見ていたような不思議な感じ。  その老人はポケットから右手を出すと、ぼくにゆっくりと手招きをした。  老人の手が持つ不思議な引力。気づけばぼくは吸い込まれるように老人の方へ歩いていた。  すると老人は左手

        • 虹色銀河伝説 地の章④

          24 被害者  アテル君が星に帰って数日が経った。  暴動を起こし、アテル君の家と家族の命を奪った笠良木団地の住民たちはその日のうちに一斉に警察に逮捕され、そして一斉に釈放された。理由は、 『今回の暴動事件は、急な怪獣の出現によって加害者側の精神に著しい混乱と疾患が引き起こされたことで起こった怪獣災害の一つであり、加害者側に責任がないと判断されたから』  と、学校では説明された。 『悪いのは怪獣だからね。だから今回の事件に加わった人達を責めたり、傷つけるような事を言っては

        虹色銀河伝説 地の章⑦

          虹色銀河伝説 地の章③

          20 鬼気迫る  8月8日、早朝4時。テレビやラジオ、自治会の放送で一斉に《怪獣警報》が鳴り響く。  お父さんに起こされ、まだ眠い目をこすりながらテレビを見る。そこには岩石の塊の様な、新しい怪獣が映し出されていた。 「日本怪獣観測センターによれば本日未明、岩手県宮古市区界高原において、落下したと見られる隕石から、新たな怪獣の出現が確認されたとのことです。対策本部はこの怪獣を、岩山のような見た目から《岩石怪獣ガンテ》と呼称すると発表しました。岩石怪獣ガンテは現在、区界高原か

          虹色銀河伝説 地の章③

          虹色銀河伝説 地の章②

           我が家に突然鳴り響いた電話、それは恐れていたヒリコちゃんからの電話だった。 15 有害な電波  今日アテル君を助けたことがバレたんだろうか? 不安と緊張に心臓が押し潰されそうだ。 「テレビ見た? タイタンマン負けたよ」  ヒリコちゃんがタイタンマンの話題を出すなんて意外だった。すると今度は、「なんで負けたか知ってる?」と、タイタンマンが負けた原因を訊いてきた。唐突な質問に頭が混乱していると、ヒリコちゃんはとんでもないことを話し始めた。 「鉄河の家の庭に、大きな電波

          虹色銀河伝説 地の章②

          虹色銀河伝説 地の章①

          約6000文字(10分) こんにちは、自称小説家の月原深夜子です。 今回は私が長年構想してきた長編をご紹介させて頂きます。エピソード1『地の章』は私の好きな少しダークなヒーローもの?です。 7つの壮大な世界の物語を是非ご覧ください^ ^ プロローグ  好きなヒーローは?  と、聞かれたら、なんて答えよう?   僕にはたくさん好きなヒーローがいる。  どんな命にも優しい『アンパンマン』や勇気をくれる『青いブリンク』、「1人はみんなのために、みんなは一人のために!」の三銃士

          虹色銀河伝説 地の章①

          『漫画原作企画 ダブルス!』登場人物•プロフィール紹介

          はじめに今回、漫画化を想定して企画した『ダブルス!』という作品の小説化を試みることにしました。(ここでは登場人物プロフィールのみです、すみません!) 絵がある前提で面白いと考えた作品ですので、文字だけで面白さを表現するのには限界があるかもしれませんが、ライトノベルタッチで描いてみようと思います。ストレスなく読めるよう工夫しますので、よろしくお願いします。 今回はnoteで公開している漫画原作版の1〜3話までに登場するキャラクターのプロフィールを紹介します。 ※今回の『バド

          『漫画原作企画 ダブルス!』登場人物•プロフィール紹介

          【短編小説】終わらぬ欲望の果てに

          《2380文字 3分》 前から願っていたことがある それを実行するときがきた 何もかもうまくいかない日々の中での、最悪な出来事、その決定的な出来事を、祈願成就のサインだと私は確信した 本当は殴ってやりたかった上司に、頭を下げて辞表を出すと、その後すべての出勤日を一度も使ったことのなかった有給休暇の消化に充てた どれだけ仕事で人生を犠牲にするか競い合っているような職場だった、未練はない 私はこれまで文字通り人生の大半を犠牲にしてきた、だがそれは会社のせいだけじゃない

          【短編小説】終わらぬ欲望の果てに

          note創作大賞漫画原作部門 応募作品【ダブルス!】4〜6話

          これまでのあらすじ(1〜3話)第1話『バドミントンがしたい!』 舞台は岩手県の田舎街。 努力が苦手でバドミントンしか得意なことがない少年、葵晴也は中学校に進学したら、バド部に入部しようと意気込んでいた。しかし、上米内中のバド部は、女子部しかなかった。 諦めない晴也は、最初は反対されるものの、二度も全国大会で優勝している絶対的エース鳳美空の提案により、入部が叶う。 第2話『思い出は風の中に』 もう一人の主人公、緋波千晶は優しい兄、燈吏が、高校でのいじめが原因でバド部を辞め

          note創作大賞漫画原作部門 応募作品【ダブルス!】4〜6話

          詩【夏秋冬春〜四季】

          これまで書き留めた詩【夏】から【四季】までを一つにまとめてしてみました。 【夏】 夏の夜 月を眺めて 恋焦がれ 過ぎゆく日々と 君を想う 【秋】 秋深く 彩る景色 高い空 いつかの君が 懐かし恋し 【冬】 叶うなら 忘れないでと 言いかけて 涙さえ 冷たい風に 凍る冬 【春】 桜舞う 陽気な風に なびく花 爛漫に咲く 春の若者 【四季】 言えないよ 季節が変わって 離れても 忘れられない 君が好きだよ

          詩【夏秋冬春〜四季】

          【創作大賞2024漫画原作部門】ダブルス!

          作品タイトル : ダブルス! 作品概要 バドミントンを題材にした青春スポーツ漫画。 才能はあるが努力の苦手な少年と、運動音痴だが努力家の少女。主人公二人の成長や恋、ライバルたちとの戦いを描く。また、王道スポーツ漫画らしく、超能力的大技なども段階を経て登場する。 少年漫画の激しいアクションと少女漫画の繊細な恋愛模様を混ぜ合わせた作品という意味も込め、タイトルを『ダブルス!』とした。 作品のテーマ 本作主題は『才能や努力の限界も、組み合わせによって無限大の可能性を得る』

          【創作大賞2024漫画原作部門】ダブルス!

          【詩】冬、春(改)、四季

          【冬】 叶うなら 忘れないでと 言いかけて 涙さえ 冷たい風に 凍る冬 【春】 桜舞う 陽気な風に 靡く花 爛漫に咲く 春の若者 【四季】 言えないよ 季節が変わって 離れても 忘れられない 君が好きだよ

          【詩】冬、春(改)、四季

          詩小説

          おめでとう と、心から伝えた それしかできなかった 祝福に見返りはない あたしは嬉しかったのかもしれない だけど、そんな気持ち、一瞬で消える 残るのは燃え滓のような灰色の孤独感だけ 一年待ってようやく来た連絡が、これだ あたしはふらふら歩きたくなった どこまでも歩きたくなった 知らない道でもよかった それを望んでいた 不気味なほど鮮やかな、ピンクと紫とオレンジの空の下、迷宮のような住宅街を地図もなく歩いた 4年間願い続けたものは叶わなかった いや、まだ、なんて希望持ってみる?

          『小説 侍先生!』その1

           「なんでそんなことも分からないんだ!」  理性を失った教師は、クリップボードで航平を何度も叩いた。航平は黙ったまま、困った顔したまま、特に何も言わなかった。  教師は言った、 「どうだ、何か感じたか? 思った事を言ってみろ、さあ言ってみろ!」  航平は黙っていた。 「いいから思ったことを言ってみろ!」  教師はもう一度クリップボードで航平を叩いた。  航平はなんとか言葉を捻り出そうとして、 「早く帰りたいと思っていました」  と、答えた。教師は顔を真っ赤にしてクリップボード

          『小説 侍先生!』その1

          【超短編小説】あたし達の明日

          大好きなコウ君。 今日もずっと下を向いたまま、 どうしたの? あたしは、コウ君の機嫌を探る。 怒ってる? 嫌な事あった? つまならない? それとも、ただ疲れただけ? コウ君のこと、ずっと見てる。 飽きもせず、よく見ていられるね、って友達には言われる。不思議ちゃん、と嘲られるあたしだ。 自分でも不思議。 彼のこと、ずっと、ずっと瞳の中に据えられる。 コウ君は動かない。 そんなところも好きだ。 眠っているわけではない。 目は、はっきりと開いているのだもの。 何を見つめている

          【超短編小説】あたし達の明日