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ダークサイドミステリー ”怪しい歴史”禁断の魅力

 以前紹介した中公新書「椿井文書」によると、史料として信憑性に疑いがある偽書だとわかっていても、「事実」として扱われたままのところもあるらしい。

 ダークサイドミステリーという番組では、偽造された史料・史実として、明治維新頃の誌名が記入された44人の武士の集合写真、東日流三郡史、チンギスハン=源義経が紹介されていた。

 その集合写真は昭和年代にすでにフェイクだと結論づけられていたが、バブル経済崩壊後再び蒸し返され、その後オークションで高値で取引されたという。

 東日流三郡史は屋根裏から出てきた大量の「史料」で、それをある歴史家が自説を裏付けるものだと飛びつき、それに関する論文が専門の論文集に掲載され、その後マスコミに取り上げられたという。

 その「史料」は全てが捏造ではなく、一部史実が組み込まれている。そのため、何度否定しても、「やっぱり本当ではないか?」という声が出て、それをマスコミが取り上げる。それが自治体の歴史として出版され、権威ある学者の支持があり、さらにテレビや雑誌で取り上げられる。疑問があってもその声は小さく無視される。メディアに出たからそちらを信用したがる人々が多いという。

 私たちはマスコミで取り上げられたことが必ずしも事実というわけではないのを何度も経験している。それは戦時中を含む昭和の時代だったからではなく、平成においてもそうだった。令和の時代に入り、今後も、もし多くの人々の願望が、捏造された「史料」によって裏付けられた場合、同じような事態が起こるかもしれない。

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