高齢者の食事、介護施設の食事について
施設の食事が脅かされています。
今、施設の食事についてどんなことが起きているのかを少し書いてみる。
1.厨房スタッフが確保できない、
これは今に限った事ではありませんし、厨房だけでなく介護人材全般にいえる問題でもあるのですが、どの施設においても厨房スタッフを確保するのは難しい状況があります。
一般的な介護事業所では介護保険の中に予算自体が組み込まれていないので、厨房にかける人件費を捻出するのが一つの課題になります。
低賃金で長時間勤務という状況ではなかなか人材は確保できないです。
そうなると、そこに勤務する栄養士は調理スタッフの穴を埋める為に栄養業務とは別に調理要員として働くことになります。ここで栄養士も辞めていくというパターンになります。
※多くの施設においては栄養士の配置基準はないので、そもそも栄養士はいません。
2.委託事業者が運営できない
2.なぜこういう事が起きるのか
1)食事を作る人がいない
一番の課題は、圧倒的な人材不足です。
朝食~夕食の提供となると、どうしても朝の出勤者は5時出勤になりますので、この辺りがネックになり採用が難しい。
あとは、人件費が低すぎます。委託会社では最低賃金で募集をかけている事もあり、なかなか人が集まりません。
2)物価高騰
最近の大きな理由はこれです。
想像以上に材料費が上がっています。
特に委託業者にとっては、年度当初の契約料内容で事業をすることになりますが、年度途中で物価が上昇すると余程の事がない限り料金を上乗せすることはできません。
実際これが理由で倒産をした給食会社があり、県内の公共施設は食事提供が一時ストップするなどの影響がでました。
3.外注が増えている
施設で調理要員を揃えることができない為、外注の流れが起きています。私(高齢者向けの宅配弁当をやっています)のところもこの問い合わせが増えています。
県内でも宅配弁当に切り替える施設が増えてきました。
特に増えているのが、既成品(冷凍)の弁当を提供する施設が増えているようです。施設側としては手っ取り早いので使いやすいのかと思いますが、利用者さんから「まずい」という声も多く、施設側としては味と値段と施設としての評判のバランスが悩ましい。
4.解決に向けて(ビジネスチャンス)
施設の食事は課題が多い分、解決する手立ても色々とあります。今後はこの辺りは大きなビジネスチャンスだとも思っているので、これまで整理したことを書いてみようと思います。
一番いいのは、
全体的な食事代の価格を引き上げる
なのだと思いますが、世間一般の感覚としてはここはあまり受け入れられない。
これは宅配弁当にも言える事なのですが、体感的には1食600円くらいが限界なのかな。1日だと1500円以内くらい。
そうなると、いかに低料金で毎日食事提供ができるのかという話になりますが、物価高騰がネックでそのしわ寄せが人件費にくるので、一人当たりの単価を下げるか、食事提供に関わる人の数を減らすかになります。
手っ取り早いのが「関わる人数を減らす、調理工程を減らす」という事になるので、ここを中心に突破口を考えてみるとやはり「外注」という流れになります。
この流れを掴めると色々なビジネスチャンスはたくさんあって、既に色々なサービスが増え始めています。
今、冷凍での提供をしている弁当業者は増えているので、これらを活用する施設も増加していますね。
宅配弁当屋さんの参入も増えています。私のところへの問い合わせも多くありますが、実は私は現在お断りしています。この辺りは理由があるのでまた改めてやるとして、施設向けへの弁当に特化した事業形態であればいいビジネスにはなるのかなと思います。
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現在「まちの栄養士さんプロジェクト」の一環で、宅配弁当とデイサービスを行いながら、地域の方の食事の困り事を解決するという取り組みを行っています。
この活動を通して見えてきた事を発信したり、協力・連携している業者さんのお話を書いてみたいと思います。
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