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【研究会レポート】「こどもの権利」「こども基本法・こども大綱」について

こんにちは!みやっこベースの早川です。
今回は、10月21日に開催した「研究会」のレポートをお届けします。


みやっこベースの研究会とは?

「研究会」とは社内勉強会のようなもの。スタッフが業務内で直面する課題等をテーマに研究し、学びを共有することで、スタッフの専門性を高めること、スタッフ間の共有知識を増やすことを目的としています。2024年5月から毎月1回を目安に開催しています。

6回目となる今回は、早川が研究テーマを設定しました。

研究会テーマ「こどもの権利とこども基本法・こども大綱について」

今回のテーマは「こどもの権利」「こども基本法・こども大綱」について。
みやっこベースが掲げる理念「宮古市で生まれ育つすべての子ども・若者の人生が豊かであること」をもとに事業を進めるうえで、スタッフ全員が「こどもの権利」の原則をしっかりと理解していることが必要だと感じていました。
また、令和5年4月に「こども基本法」が施行、令和5年12月に「こども大綱」が閣議決定されたこともあり、政府の方針を把握することを目標としました。

子どもの権利

まずは「子どもの権利」について。
子どもの権利条約が定められた経緯や4つの原則について、基本的な情報を共有し、意見や感想を言い合いながら理解を深めました。

子どもの権利条約

1989年11月20日、国連総会において採択されました。この条約を守ることを約束している「締約国・地域」の数は196。世界で最も広く受け入れられている人権条約です。

子どもの権利条約は、子ども(18歳未満の人)が守られる対象であるだけでなく、権利をもつ主体であることを明確にしました。子どもがおとなと同じように、ひとりの人間としてもつ様々な権利を認めるとともに、成長の過程にあって保護や配慮が必要な、子どもならではの権利も定めています。

生きる権利や成長する権利、暴力から守られる権利、教育を受ける権利、遊ぶ権利、参加する権利など、世界のどこで生まれても子どもたちがもっている様々な権利が定められた、この条約が採択されてから、世界中で、多くの子どもたちの状況の改善につながってきました。

引用:https://www.unicef.or.jp/crc/

子どもは権利の主体

子どもの権利条約は、子どもは「弱くておとなから守られる存在」という考え方から、それだけではなくて、子どもも「ひとりの人間として人権(権利)をもっている」、つまり、「権利の主体」だという考え方に大きく転換させた条約です。子どもを権利の主体ととらえ、おとなと同様にひとりの人間としてもつ様々な権利を認めると同時に、成長の過程にあって保護や配慮が必要な子どもならではの権利も定めているというのが、子どもの権利条約の特徴です。

子どもの権利(child rights)とは、子どもの人権(human rights of children)と同じ意味です。子どもは生まれながらに人権(権利)をもっていて、それは、義務と引き換えに与えられるものではなく、また、何かをしないと取り上げられるものでもありません。

子どもの権利条約においては、子どもが「権利の保有者(rights holders)」であり、それを守る「義務の担い手(duty bearers)」は、国(おとな)です。国は、法律や政策などを通じて、条約に定められた子どもの権利の実現につとめます。また、条約には、子どもを育てる責任はまず親にあり、国がそれを支援するということも書かれています。

出典:https://www.unicef.or.jp/crc/principles/

4つの原則
子どもの権利を尊重し実践していく上では、常に忘れてはならない「子どもの権利条約」の4つの原則があります。この4つの原則は、それぞれ条文に書かれた権利であると同時に、条約で定められているあらゆる権利を考える際に、常に合わせて考えることが大切だそうです。

差別の禁止(差別のないこと)
すべての子どもは、子ども自身や親の人種や国籍、性、意見、障がい、経済状況などどんな理由でも差別されず、条約の定めるすべての権利が保障されます。

子どもの最善の利益(子どもにとって最もよいこと)
子どもに関することが決められ、行われる時は、「その子どもにとって最もよいことは何か」を第一に考えます。

生命、生存および発達に対する権利 (命を守られ成長できること)

すべての子どもの命が守られ、もって生まれた能力を十分に伸ばして成長できるよう、医療、教育、生活への支援などを受けることが保障されます。

子どもの意見の尊重(意見を表明し参加できること)

子どもは自分に関係のある事柄について自由に意見を表すことができ、おとなはその意見を子どもの発達に応じて十分に考慮します。

出典:https://www.unicef.or.jp/crc/principles/

4つの原則を普段の事業と重ねて考え、感じたことなどを発表し合いました。
スタッフからは、以下のような感想が寄せられました。

・「子どもの意見の尊重」はみやっこベースの活動で特に大事にしたいことだと思う。ボランティアなどいろんな活動の機会提供や、否定せず意見を尊重することは、普段からみやっこベースで行っていることとつながっていると感じた。

・みやっこベースで行っている「地元修学旅行」など自然を楽しむプログラムは、身体障害を持った子どもには参加が難しいと気付かされた。すべての子どもたちに色々な機会を提供できるように考えていきたい。

こども基本法・こども大綱

子どもの権利について理解を深めた後に、「こども基本法」と「こども大綱」について基本的な情報共有を行いました。

「子ども基本法」
令和5年4月に施行されたこども基本法は、日本国憲法および児童の権利に関する条約の精神にのっとり、全てのこどもが、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指し、こども政策を総合的に推進することを目的としています。同法は、こども施策の基本理念のほか、こども大綱の策定、自治体こども計画の策定及びこども・若者の意見の反映などについて定めています。

出典:こども家庭庁HP

「こども大綱」
令和5年12月には、こども基本法に基づき、こども政策を総合的に推進するため、政府全体のこども施策の基本的な方針等を定める「こども大綱」が閣議決定されました。こども家庭庁のリーダーシップの下、「こども大綱」に基づき、政府全体のこども施策を推進されていきます。
「こども大綱」では、全てのこども・若者が身体的・精神的・社会的に幸せな状態(ウェルビーイング)で生活を送ることができる「こどもまんなか社会」の実現を目指しています。

そのための基本的な方針として、以下の6つのポイントが掲げられています。

①こども・若者は権利の主体であり、今とこれからの最善の利益を図ること
②こども・若者や子育て当事者とともに進めていくこと
③ライフステージに応じて切れ目なく十分に支援すること
④良好な成育環境を確保し、貧困と格差の解消を図ること
⑤若い世代の生活の基盤の安定を確保し、若い世代の視点に立った結婚・子育ての希望を実現すること
⑥施策の総合性を確保すること

出典:こども大綱(こども家庭庁HP)

「こども大綱」を全員で読み込む!

こども家庭庁が進めるこども施策の全体像を知った上で、スタッフ全員で「こども大綱」を読み込む時間をとりました。

全63ページある「こども大綱」を数ページずつに分け、分担して読むことに。スタッフ一人ひとりが割り当てられたパートを読み、要約したうえで発表。それぞれが読んだパートが別のスタッフの発表で補完されたり、深められたりと、理解が深まる時間となりました。

最後に、全体を通した気づきや感想を発表しました。

・こども家庭庁の設立とその後の取り組みはいろんなところで聞いていたけど、こども大綱については全文に触れる機会がなかったので今回読めてよかった。

・こども大綱の中に、EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング。証拠に基づく政策立案)について書かれていた。事業の結果は数字として表れにくいものも多いので、質的な評価の重要性も広めていかなければいけないと感じた。

・「子ども」と一括りにしても、年代もばらばらだし、結婚、就職などいろんな分野まで関わっていて幅広いと改めて気付かされた。

・みやっこベースに時代が追い付いてきたように感じた!こども大綱に書かれていることの一部は既に事業として行っているので、みやっこベースを応援してもらう理由になるんじゃないかと思った。

こども大綱の要約を事務所に掲示しました!

普段、それぞれの業務に追われてじっくりと読むことのない「こども大綱」をスタッフ全員で読み込むことができました。
これからの事業を行う上での重要なポイントが整理されたと同時に、これまで行ってきた事業についても「このままがんばっていこう!」と自信を深めることができ、とても実りのある時間となりました。

次回も、テーマを変えて実施予定です。
読者の皆さんのおすすめの本や記事などありましたら、ぜひ教えて下さい。
今後も私たちの学びをシェアしたいと考えておりますので、お楽しみに!