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今しか、僕しか、伝えられない〜カバン持ちの成長〜

ミヤケです。

今回は、カバン君の話です。

カバン君は僕のカバン持ちです。

カバンは持ちません。

僕はカバン君のカバンを二度持ってあげたことはあります。

カバン君が僕の元に来たのは昨年10月。

それはまあ、斜め上の言動だらけで、たいそう苦労しました。w
時間を守れない、指示した準備とかは当然やっていない、言い訳できないと観念すると落ち込む。

こんなことを言うと少し棘がありますが、
”新入社員らしい”といえば、らしさ全開でした。

そんなカバン君と先日、昨年の振り返りと新年の抱負を話し合いました。

カバン君との関係も4ヶ月目。
そろそろミヤケもアクセルを踏み込んでいこうと思っています。


全く考えていない目標

冒頭、カバン君から、年末年始に「曼荼羅手帳」を書いてみたとの話がありました。

「曼荼羅手帳」とは、

こんな感じのチャートが付いている手帳のことです。

最近では、メジャーリーガーの大谷翔平選手「目標達成シート」というものを高校生時代に書いていて話題になったのと同じものです。

3マス×3マスの計9マスあり、真ん中に上位概念を書き、周りの8マスにそれぞれ細分化した小さな目標を書きます。

確か大谷選手は真ん中に「高卒ドラ1、10球団」(高卒でドラフト一位の指名を10球団から受ける)とかだった気がします。
そのために達成したい小さな目標を周りに書いていました。
”変化球を覚える”とか
”160キロ投げる”とか
さらに、
”人格を高める”という目標も作り、”ゴミを拾う”というなんとも「好青年丸出し」な目標で、世のおばちゃんとミヤケの心を奪いました。

さて、今回の主役は大谷選手ではなく、「カバン君」なので、カバン君の話を書きます。

通常、会社の後輩であるカバン君との面談の内容は社外は当然のこと、社内であっても口外は・・・と思われますが、ミヤケはイタいのでnoteに書いちゃいます。

カバン君の曼荼羅チャートの真ん中に書いてあったのは、「モテる」でした。

”意外といいな・・・”
と思いました。

いわゆる”女性にモテる”だけではなく、人間的に男性からも女性からもモテる、みたいなことを目標にしているようでした。

しかし、周りの目標を見て仰天・・・!

1つだけ紹介すると、
”面白い話を10個言えるようになって、話せるようにする”

無闇に否定するのは良く無いので、ミヤケは考え込んじゃいました・・w

すると、カバン君が、
「ダメっぽいですか?」と聞いてきました。

”いや、これは多分僕も問題だ・・・w”
”理解力が追いつかない・・w”

”否定はしないが、モテるんなら、話すより話を聞いた方がいいんじゃない?カバン君の場合。。。”

「ああ、なるほど〜。。」

その他の目標を見ても、なんか、繋がらないというか、「筋トレ」とか色々書いてましたが、何がひっかかるのか・・・


「尊い」という逃げ道

”これさ、考えた?”
聞いてみたら、

「一応、考えました。」

一応考えました。
この言葉が出た時は、本気で考えていない時です。

話を変えました。

”じゃあさ、この3ヶ月で一番これはテンション上がったな〜!ってエピソードとかある?”

「テンション上がったな〜ですか・・・」

「あれですね!」

「〇〇さん(90代男性の利用者様)と話をした時に、Aさん(先輩スタッフ)から”すごいね!〇〇さん、あんなに話すことないから、楽しかったんだね”と言ってもらったことですかね〜」

”嬉しかったんだ”

「はい!なんというか、”役に立ってる感”みたいな、〇〇さんの心に触れた感じですかね〜」

”役に立ったことが嬉しかったの?”

「役に立ったことというか、〇〇さんの尊さみたいなところに触れたからですかね?」

”尊さ?尊さってなに?”

「うーん。。。尊さをあえて言葉にすると意味が薄れるので・・・」


ミヤケの目にははっきりと映りました。

カバン君は、尊さ、にテンションが上がったわけではありません。

他の何か、何かによってテンションを上げられたのです。


さらに聞きました。

”尊い、って言葉で逃げてねーか?”

「え?」

見逃しません。

カバン君の表情が一瞬ピクリと動きました。
そして、目の奥、瞳孔がほんの少し色が変わりました。

”尊い、でテンション上がるのは構わんが、そこからどんなことを感じたのかが重要だべ(なぜ方言?w)”

”その出来事で、お前(ここぞという時に”お前”と言います)の心はどう動いたの?何に嬉しさを感じたの?”

「Aさんに褒められたこと・・・?」

”そうでしょ。尊いとかじゃなくて、Aさんにすごいね!って言われたことが嬉しかったんだろ?”

「ですね。」
「ああ!そうかも!」

”だってさ、〇〇さんの話する時、いつも、Aさんに褒められたエピソードがセットなんだもん。〇〇さんの尊さそのものに嬉しさを感じているんだったら、Aさんのエピソードってあんま関係ないんだよね、本筋から。”

これ以上言うと、ミヤケが論破しているように聞こえるので、黙ります。

「褒められて嬉しかったです。」

”うん。嬉しいよね。褒められて嬉しい。その感情こそ、僕は尊いと思うぞ。”


おそらく、カバン君は、褒められることを”あまり格好のいいものではない”と思ってでもいたのでしょう。

それよりも、利用者さんの心を”尊い”と言った方が格好よく聞こえる・・・


でも、カバン君が観念したように、
「褒められて嬉しかったです。」
と言った表情の方が、よっぽど尊いです。


大人になり、社会の歯車になっていると、カバン君ように「褒められて嬉しい」なんて口が裂けても言えない人が多いでしょう。
そんなことで喜んでいるなんて大人じゃない、格好悪い。

そうかなあ?

褒められて嬉しそうにしているカバン君の方がよっぽど格好いいと思います。

だって、正直なんですから。

何1つ嘘を付いていない、「褒められて嬉しかったです。」という言葉。


僕はもう1つ。

「尊いなんてダサい言葉で逃げるな」
とも言いたかったです。言ってないですが。

こんな若いうちから、テイのいい言葉で逃げていると、早いうちに追い込まれます。


相互理解?他者理解?いやいや、「自己理解」からだ!!

カバン君とこんな話もしました。

カバン君は他人に興味がありません。
興味がないだけならなんでもないのですが、
カバン君は「他人に興味がないこと」によって生じることをあまり理解できていません。

「他人に興味がない」ということは、他人への理解、つまり他者理解ができづらいという特性があるということです。

しかしながら、カバン君と話していると、どうやら「他者理解」だけがキーファクターでもなさそうです。

どういうことかというと、
他者を理解できない以前に、「自己理解」がまだ足りていないのではないかということです。

面談の後、ある飲み会に一緒に参加しました。

気の許せる仲間同士の飲み会です。

その場で、カバン君のある話になりました。

それがまさしく「自己理解」と「他者理解」についての話でした。

きっかけは、「自分の母親」の話題でした。

僕とカバン君ともう1人の女性と三人で話していたのですが、
その女性が「母親とは今も昔も折り合いが良くないんだよね〜」と話し始めました。
そんな話題から、それぞれの母親についての話をしました。
僕と母親は比較的な仲はいい方だし、今でも週に何度も電話します。
カバン君は表面上は「母親とは合わない。自分に不利なことばかりされてきた。」と言うのです。

しかし、よくよく聞いてみると、
先日スマホをなくした時に一番に連絡したのは母親で、思い起こせば幼い頃から何でもかんでも母親がやってくれたおかげで自分は何もできないようになってしまった。
と言うのです。

カバン君はこの会話の序盤、カバン君の母親との関係は、この女性の母親との関係と似ていると思っていたのですが、どうやら違いました。

こんな話から、実はカバン君は「他者を頑張って理解する」より先に、「自分を知る、自分を理解すること」の方が先なのではないかという結論になりました。

カバン君は驚いた様子で言いました。
「僕、自己理解はかなり昔にできていると思ってました!!」

まあ、そう言うと思いました。
カバン君がこれから向き合うのは、
「これが本当の自分だったのか」という理解です。

大変に苦しいことでしょう。

自分のことなんていつまでたっても理解なんて出来ないんですから。

だけど、1%でも自分の理解を深めることこそが、他者への関心を高め、他者を理解するために必要なプロセスなんです。

カバン君は時折、こんな僕を「すごい」といいます。

すごくなんかないんです。
僕だって自分のことはわからないことばかりだし、他者のことなんてもっとわからないことばかりです。
多分、自己理解がカバン君よりも2%は3%くらい出来ているだけなのだと思います。

これからのカバン君は、その自己理解が1%ずつ進むにつれて苦しくなるでしょう。

知らなければ良かったとさえ思うでしょう。

自分を卑下したり、嫌悪感を覚えたりするでしょう。

そんな辛い気持ちになるたびに、カバン君の人間成長はあるのだと思います。

楽しみです。


今しか、僕しか、伝えられない

「アイツかなり変わったよね〜」
「なんか明るくなったよね〜」
「成長したね〜」

カバン君は、最近だんだんとそう言われるようになってきました。

いいことです。

だけどね、

僕は言わないよ。

良いとこも沢山あるし、斜め上な発想もカバン君なりに乗りこなせるようになってきたと思いますが、

カバン君は、まだまだこんなもんじゃない。

カバン君の持つポテンシャルは、まだまだこんなもんじゃない。

今日は少し厳しいことを書きましたが、

カバン君が、今の自分自身の中にある、いくつかの大きな課題に対峙した時、とんでもない爆発力を発揮できると確信しています。

目標とか、テイのいい言葉(”尊い”みたいな)とか、自己理解とか、他者理解とか、

そんなものでいつまでも躓いている訳にはいきませんよ。

2020年も、カバン君から目が離せません。


できることなら、

もう少し、一番近くで眺めていたいものです。


<終わり>


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