【DM制作日記】小田望楓個展
今回は2021年12月に開催した小田望楓個展『あまいゆめにおちたら』のDMについてお話しします。
きのねでの二度目となる小田さんの個展。一回目よりぐっとレベルアップした小田さんの展示として、そこに追いつけるデザインをと制作しました。
キービジュアルとして提示された作品<<ゆめのなかのどろどろ>>は正方形に近いサイズの作品ということもあり、正方形で制作する方針はすぐに決まりました。
「ゆめ」というキーワードに焦点を置いてアプローチしました。「あいまい」「焦点がぼけていく」といったイメージを再現できないかと思い、トレーシングペーパーとの2枚合わせを採用しています。
作品を出力した方には文字情報がなく、純粋にポストカードとして飾れる仕様に。文字の方は表面についてはすべてトレーシングペーパーに印刷しています。
本紙とトレーシングペーパーとの距離によって作品がハッキリ見えたり、ぼやけて見えたりと物理的に見て楽しんでいただけるものになりました。文字は全て特色銀。こちらも角度によってハッキリ見える時と、反射して見えにくい状態があります。こうした不安定な状態をいくつか生み出すことで、夢というおぼろげな様を再現しています。
このトレーシングペーパーは、本紙から離れてしまわないよう折り加工を加えています。裏面には地図と会期情報。本紙の裏には作品購入についての注意書きがされていますが、トレーシングペーパーを折った部分と重ならないように避けてレイアウトしています。
サイズは100×100(mm)。ポストカードファイルでも保管できるサイズ内に納めています。
そして、こちらもやはり全て手作業で折り加工をしています。今回は納期的な意味合いが強く、配布を急ぐ背景もあり手作業となりました。気づいたことですが、今回は特にホッチキス綴めなどしていないものの、しっかし挟まっていて安定した印象でした。案外紙を折るだけでも多少の固定は期待できるのかなと思います。(紙の厚みなどにもよると思います)
こちらのDMは配布開始がかなり遅かったにもかかわらず、あっという間になくなってしまい、会期開始の際にはすでに数部しか無いという状態でした(配布先から一部回収も試みましたが、配布先にもない状態でした)ので、入手された方はラッキーだったかもしれません。
DMは販売用のポストカードと違い、おそらくどこもほぼ1回しか入稿されず、追加印刷もないと思います。展示会が始まり、会期を終えればその役割も一緒に終わってしまうものです。その1回限りで姿を消してしまうこの儚い紙媒体との出会いは、今回の小田さんのDMに限らず、常に特別な価値があると思っています。今お手元にある方はどうぞ大切にしてあげてほしいと思います。
きのねにお越しいただければ、保管している分をご覧いただけます。ご興味ございましたら、お気軽にお声がけください。
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