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炎症痛の鑑別

皆さんこんにちは。理学療法士の宮嶋 佑です。本日は整形外科術後急性期における疼痛の評価について説明します。


私は入職してからの4年間は外来リハビリテーションの領域で勤務し、5年目に初めて整形外科術後急性期のチームに移りました。

そこで、1番悩んだ事が「この痛みは手術の侵襲による "炎症痛" なのか?違う痛みなのか?」でした。

炎症による疼痛であれば、基本的な治療法は安静であり、時間の経過を待つ事が大切になります。

しかし炎症による疼痛でない場合、時間が経っても良くはならないので早期から積極的に取っていく必要があります。

私はこれらの判断が出来ず、炎症性の疼痛の人に余計な介入をして炎症を悪化させてしまったり、逆に炎症性の疼痛では無いのに安静にさせて、いつまでも疼痛が変わらないという失敗をたくさんしてきました。


術後急性期に携わっている方は、この様な経験をお持ちではないでしょうか?

また、術後急性期の経験がない方も同じ様な不安をお持ちでは無いでしょうか?


そこで今回は、私なりの"炎症性の疼痛なのか?そうでは無いか?"の鑑別法をお伝えしたいと思います。

私は普段、術後の炎症による疼痛を「縫合部位に離解ストレスがかかっている痛み」、「筋自体が腫れている痛み」に分け、どちらでも無ければ炎症による疼痛では無いと判断しています。

では、具体的にどう判断しているのかというと、

①何処が痛いか?

②傷を寄せたら楽になるか?

③筋の起始と停止を寄せたら圧痛が減少するか?

の3つから考えています。

今回は、前側方アプローチでTHAを行った例を元に、説明していきます。

この記事を最後まで読んでいただけると、術後急性期の患者さんを担当する際に過剰に怖がったり、逆に攻めすぎて悪くしてしまったりという事がなくなると思います!

是非ご覧ください!

①何処が痛いか?


炎症による疼痛なのかどうなのかを判断するにあたって1番手っ取り早いのが、術創部周囲を痛がっているか否か?です。

術後の炎症痛は、手術の切った皮膚、筋膜、筋肉が腫れる事で生じます。

よって、当たり前ではありますが、手術で切っていない場所を痛がっている場合は、炎症による疼痛では無いと判断出来ます。


例えば、前側方アプローチでは、中殿筋と大腿筋膜張筋の筋間を切ります。

よって中殿筋や大腿筋膜張筋周囲を痛がっている場合は、炎症による疼痛の可能性が高くなります。

逆に鼠径部や大腿の前面を痛がっている場合は、炎症による疼痛の可能性は低くなりますので、筋の攣縮などを疑っていきます。


この様に、何処を侵襲しているかがわかっているだけで、鑑別が非常に容易になる為、術後急性期の患者さんを担当する際は、必ず把握しておきましょう。

また、YouTubeで、アプローチ方法の名前を英語で入力すると、手術動画が見れたりするので、そちらも参考にしてみて下さい。


②傷を寄せたら楽になるか?

場所が術創部周囲だった場合、次は傷を寄せたら楽になるか?を確認します。

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