顎関節症、まずは「病態分類」と「治療の原則」
病態分類
筆者が学生の頃は、I型とかIII型とか数字で呼んでいたが、それも今は昔。
顎関節症の6〜7割が「顎関節円板障害」で、そのほとんどが、「関節円板の前方転位」ないし「前内方転位」。
顎関節症治療の原則
まずは「患者さんへの病態の説明」が治療の第一歩。
その上で、可逆的な保存的治療、つまり理学療法、薬物療法、スプリント療法などといったプロフェッショナルケアは、必ずセルフケアと合わせて実施されるべきで、それによって、2週間から1か月程度で、症状の改善が期待できる。
とはいえ、一番大事なのは、多くの顎関節症は時間の経過とともに改善し、治癒していくという事実。
以下、「顎関節症の治療指針2018」を引用。
顎関節症の基本治療の原則は、2010 年に米国歯科研究学会(AADR) によ
る顎関節症(TMD: Temporomandibular Disorders) 基本声明に『最も良く表現』されており、この基本声明に沿った治療が望ましいとされる。
以下に日本補綴歯科学会が翻訳した声明の一部を示す。
『正当化できる特定の証拠がないかぎりは、TMD 患者の治療の第一選択は、保存的で可逆的かつ証拠に基づく治療法とすることが強く薦められる。多くの TMD 患者の自然経過を調べた研究により、TMD は時間経過とともに改善し、治癒していく疾患であることが示唆されている。あまねく効果的であることが証明された特定の治療法が存在しないとはいえ、保存的療法の多くがほとんどの侵襲的な治療法と少なくとも同程度に症状の改善をもたらすことのできることが証明されている。保存的療法は不可逆的な変化を起こさないため、害をもたらすリスクは格段に少ない。プロフェッショナルケアは、必ず TMD という疾患そのものや症状の管理の仕方について患者教育を行うというホームケア(セルフケア)と合わせて実施されるべきである。』
参考
・顎関節症治療の指針2018
・顎関節症患者のための初期治療診療ガイドライン1〜3
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