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テキカカシードルの誕生🍏もりやま園 | 弘前


摘果とは


りんごの花は一株につき約5つ咲き、実を結びます。全ての花がりんごになると栄養が分散し、果実が小さくなり、次年度の花の発生も悪影響を受けます。
そのため、3~5株に1つの果実を残し、他は摘み取ることを「摘果」と呼びます。
全てが手作業で行われ、摘果された果実は通常捨てられます。
これはもったいないことです。
しかし、それが常識とされていました。

廃棄されるリンゴからどのようなシードルが作れるか、そのアイデアの背景を少し教えていただけました。

もりやま園が目指したシードル

もりやま園は100年以上続くりんご園です。
もりやま園株式会社の代表取締役、森山聡彦さんの趣味は自転車。
大学生だった22歳から、家族持ちの35歳になるまでチャリバカ人生を満喫したという。

写真中央代表取締役、森山聡彦さん・2007年7月29日のJCFジャパンシリーズ、XC、白馬さのかスキー場にて

どのようなシードルを目指すか考えたとき、
例えば、自分のような自転車愛好家が飲むシードルはどうだろうかと思い描きました。

自転車は非常に体力を要します。
暑い日もあれば、寒い日もある。
たくさん練習すれば、当然空腹になります。
しかし、質の低い食事で満たしてしまうと、日々の練習で築き上げた能力が台無しになってしまいます。

質の良い食事と十分な睡眠をとる事がパフォーマンスを引き出すことは誰でも知っています。だからチャリ好きは必然的にグルメで健康志向なんじゃないか?と考えたのです。
そんな腹ペコでグルメで健康志向なチャリダーに最高の飲み物をプレゼントするなら、どんなテイストのシードルかを考えました。

大試飲会


チャリダーを含む男性7人をりんご畑に招待し、国内外のシードル10銘柄を集め、ジャークチキン(BBQ料理)をケータリングし、現存するシードルでBBQと相性の良いシードルはどんなタイプかを検証してみたのです。

結果、ほとんどの銘柄が食事に合わなくて大人7人でもボトルが空かないという事実が判明。全体的に甘すぎて食欲を削ぐ傾向がありました。特にアルコール度数が高い銘柄になるとさらに食事との相性が悪く、ボトルの半分以上残ってしまいました。

唯一、ポートランドの銘柄、Reverend Nat’s(2023年閉業)だけがボトルが空きました。味もパッケージもクラフトビールを彷彿とさせるもので、ビールの代替品市場を狙ってると思われるものでした。

もりやま園が目指す市場は、ビールの代替としてのシードルかもしれない。

長期にわたる検討を経て、ビール風の味わいを追求するコンセプトに決定しました。

昨年リリースされたテキカカライチ。北国のりんごと南国のライチの組み合わせ。

現在、330mlの茶瓶はよく見かけます。
2018年の商談会では、このサイズの茶瓶に入ったシードルを販売していたのはテキカカシードルだけでした。他の人がビールとの混同を避けるために避けていたことに、彼らは敢えて挑戦しました。

ビールの爽快感を求めて

酵母はアイテムごとに異なります。
テキカカシードルのラインナップは
現在(2024年6月)7種類のアイテム。

ノーマル、ドルゴ、こうとく、いちご、カシスはエール酵母を使用していますが、テキカカライチはヴァイツェン酵母
テキカカラガーはラガー酵母を使用しています。
テイストに応じて、最も心地よい飲み物となるように設計されています。

私たちは常に新しい味を求めており、今後も新たな酵母の発見を続けていきます。」と森山さんは話します。

醸造所

2017年シードル醸造を開始したもりやま園。
タンクは現在6台。発酵は、タンク内での2次発酵。
火入れ方法はパストライザーを採用しています

圃場

広大な10.5ヘクタールの土地に20種類のりんごの品種を植えています。
受粉に使用されるハチ(マメコバチ)のための居住空間があります。近年の厳しい暑さでハチが死んでしまう問題に対処するため、人工的に花粉を撒くなどの対策を行っています。
写真中央、森山聡彦代表、右、ソムリエの資格もお持ちの醸造長の後藤さん。

実はスゴい摘果

成熟果の約2~10倍ものプロシアニジンが含まれています。プロシアニジンとはりんごに含まれるポリフェノールの主成分で、強い抗酸化力があるといいます。
腸活やお肌や髪にも、美容に嬉しい効果もあるのは嬉しい。

デザイン性やフレーバーのバラエティーに富んだテキカカシードルは、
ドリンカリビティ」(Drink+ability)という言葉がぴったりです。

豊かな泡とりんごの香り、そして摘果のシャープな渋味と酸味が、もう一杯を誘います。冷えたボトルを手に、この夏を満喫してみてはいかがでしょう。

最後に


森山さんとの対話で、全国の多くのシードルリーの名前が挙がりました。
後で見返したノートに基づいて調べたところ、どのシードルリーも明確な特徴と強みを持っていることがわかります。

今回の見学で感じたことは、もりやま園がりんご産業のデジタル化をリードし、雇用創出にも貢献しているということです。りんご王国・弘前の地域性や問題解決への取り組み、摘果したりんごを活用した独自の特色を追求していると感じました。
これからも新しい魅力的なシードルが登場することでしょう。
目が離せない状況が続いています。


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