北大東島で考える沖縄・奄美
先日北大東島に行ってきた。
北大東島の面積は11.94km²、瀬戸内町の請島(13.34km²)より少し小さな島である。喜界島(56.76km²)の約五分の一しかない。人口は547人、沖縄県で2番目に人口が少ない自治体である。
琉球弧の島々とは全く異なった特徴をもっている。
まず、遠浅のラグーンがほとんどない。多くの奄美・沖縄の人たちにとって海とは、遠くにリーフが広がっていて白い波を立て、その内側は浅くて貝を採るなどの海遊びができるというイメージであろう。ところが南北大東島は海岸から海に入るといきなり深海となるのだ。
そもそも南北大東島は水深4,000メートルの海底からそびえたつ火山島の頂上にサンゴが堆積して誕生した島で、約4,800万年前に現在のニューギニア諸島付近にできた島が現在の位置まで移動してきた島々だ。
1900年(明治三十三年)に八丈島からの開拓移民が南大東島に上陸、その後北大東島にも人が住むようになった。人間の歴史は僅か120年である。
現在は、一人当たりの市町村民所得が沖縄県でいつも上位にある(令和2年度425万6千円・一位)。
今回の北大東島訪問では自分の不勉強さを強く感じてしまった。
南北大東島の主な産業はさとうきびであり、大規模経営と機械化の結果所得が高いと考えていたが必ずしもそうではなかったのだ。
実は、①高校がないので中学卒業後若者が島をでる。②病院がないので高齢者も島を出る。③よって島には生産年齢人口が多く従属年齢人口が少ない。だから一人当たりの所得が高くなる。④島の主な産業はさとうきびでなく建設業である(農業従事者15.4%建設業25.5%)。公共工事依存なのだ。
北大東島の歴史と現状を知ると、奄美・沖縄の島々との自然と歴史の違いが大きいだけに逆に他の島々の活性化のための多くのヒントが隠されているような気がする。もう少し具体的に考えてみたいと思う。