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内耳は鼓室の奥に位置し、その複雑な「骨迷路」は蝸牛、前庭(半規管と耳石器)、骨半規管の3部で構成されている。骨迷路にある各部位について、おもに蝸牛は音を感じ取り、前庭は平衡度合いを感じ取っているとされている。

(1)機能

ヒトのバランス、平衡感覚は複数の入力系の統合により、コントロールされている。その主な入力系が、次の3系統である。

①内耳前庭器官への重力等の入力
②視覚の入力
③体性感覚の入力

そして、これrなお情報が反射型や高次脳で情報処理され、次のような出力をもたらす。

①※前庭動眼反射、前庭視運動性眼振反射等により、眼球運動をコントロールする。
②前庭脊髄反射による、四肢の伸展筋を調節し、姿勢を安定させる。
③前庭自律神経反射により、嘔吐、不快感といった感覚を催す。
※前庭動眼反射、前庭視運動性眼振反射
私達は普段、歩行時に頭部が上下に数10cm動作しているものの、視線はぶれずに文字を識別することができる。それは平衡系器官である三半規管、がジャイロスコープのように働き、頭部の安定性に寄与しているからだ。この安定化機能を前庭動眼反射と呼ぶ。

また、電車など車外の光景のように、外界の景色が大きく動いている際、その景色を追うように遅い眼球運動(緩徐相)と、緩徐相とは逆向きの速い眼球運動(急速相)が繰り返されている。 これを視覚運動性眼振反射と呼ぶ。

(2)機能低下

前庭システムは、加齢に伴い機能低下していく。60歳以上になると、前庭神経核の神経細胞の約20%が減少。70歳以上になると、半規管の有毛細胞が約40%減少し、耳石器の有毛細胞が約25%減少する。

それにより、次のような症状に陥りやすくなる。

・めまい
・平衡障害
・浮遊感
・過緊張

前庭システムが低下した高齢者の特徴として、「転倒が多くなる」「骨折や頭を打つ」といったリスクがある。高齢者の方や脳震盪の経験を持つ人、突発性のめまいを経験したことがある人、バランスを取りづらいと最近感じている人は、前庭システムを鍛える必要があるといえる。

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