1)脂質とは
脂質は重要なエネルギー補給源および貯蔵体として、1 g当たり9kcalと糖質やたんぱく質に比べエネルギー密度が高い。さらに脂質は、必須脂肪酸の供給源、脂溶性ビタミンの補給源、細胞膜の構成成分、生理活性物質など、多様な栄養生理機能を持つ。
脂質はベンゼン、エーテル、クロロホルムなど有機溶媒に対して可溶であり、水には不溶(または難溶性)を示す物質の総称である。脂質が極性をもたない長い鎖状、環状の炭水化物によって構成されているため、極性分子の溶媒である水とはなじみにくく疎水性を示す。
脂質を化学構造から大別すると、単純脂質(simple lipid)、複合脂質(complex lipid)、および誘導脂質(derived lipid)に分類できる。これら脂質の基本的な構成要素は脂肪酸である。
1−1)脂肪酸の種類
脂質は血液中や脂肪組織内で中性脂肪(グリセロールに3つの脂肪酸がくっついたもの)として存在。脂肪酸とは、炭素が直鎖状に連なったもので、炭素の数が6個以下のものを「短鎖脂肪酸」、8〜12個のものを「長鎖脂肪酸」という。
炭素同士の結合でも呼び名は区別され、二重結合を含むものは「不飽和脂肪酸」、含まないものは「飽和脂肪酸」という。不飽和脂肪酸は食物油や魚油に多く含まれ、飽和脂肪酸は動物性脂肪に多く含まれる。
一部の例外を除き、基本的に常温化において魚油は液体で、魚油内の不飽和脂肪酸は融点が低い。肉に含まれる飽和脂肪酸は融点が高く、常温では固体となる。
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