ボディイメージ(3)遠心性コピー
(1)ボディイメージと自己所有感について
ボディイメージにおいて、重要なキーワードとなるのが「自己所有感」だ。自己所有感が形成されている状態というのは、主に次の2つを指す。
・ボディイメージがより鮮明化されている状態。
・自分の体がより自分の体であると感じる状態。
自己所有感が形成されていない(あるいは低い)と、次のような弊害を生みやすい。
・閉眼の状態でのスクワットでフラつく
・肩甲骨など背部の動きがぎこちない
これは一般的に「身体失認」と呼ばれる症状でみられる状態のひとつと考えられる。身体失認では、これ以外に次のような身体の問題が生まれやすい。
・喪失感(身体の一部の感覚がなくなった気がする)
・変容感(重さなどの負荷が大きく感じる)
・無視や不使用(使わなくなっていく)
・気づきの低下(感覚の低下により触られてもわからない)
・誤った解釈(太りすぎているなどのマイナスの解釈)
・否定(不要なものであるため、切り落として欲しい感覚)
ボディイメージはパフォーマンスアップや痛みの改善の観点で有効であると同時に、身体失認の予防・改善にも非常に重要だ。
(2)ボディイメージ形成と遠心性コピー
ボディイメージを形成するために、様々な運動が必須となる。その実践において、知っておきたいのが「遠心性コピー」だ。まず、運動というのは次のような経路をたどり実践されている。
脳からの運動指令→感覚運動システム(身体システム)→実際の感覚のフィードバック
脳が筋肉に対して指令を出す事で実際に体を動かす事ができ、動いた体の動作が脳へフィードバックされる事で、脳は実際の動きを認識する事ができるのである。
一方、「遠心性コピー」は運動を実行する時に作成される運動指令信号のコピーのことを意味する。運動制御において、基本的に運動の指令が運動野に送られるわけだが、その信号と同じコピーが、感覚野にも返っていると考えられている。
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