クレアチンのリアル。本当に筋肥大効果は高いのかを徹底検証した研究を紹介
クレアチンは、運動パフォーマンスを増強させることが多くの研究で認められている、数少ないサプリメントの1つです。メカニズム的としては、クレアチンサプリメントの摂取によって骨格筋のクレアチン量が増加し、ATP(アデノシン三リン酸)を迅速に再合成する能力が高まります。その結果、運動パフォーマンスが強化されるのです。
これに加えて、クレアチンが多くのトレーニーに愛されている背景に「筋肥大効果」が挙げられます。一方で、多くの研究ではクレアチンの補給により、たしかに除脂肪体重増加が起きるとはいうものの、それは「水分量の増加」じゃないか?という疑問も投げかけられてきました。
クレアチンは、果たして筋肥大に効果があるのかないのか。この問題について調査されたとある研究を、今回は紹介したいと思います。
10本の論文を選別して調査
この研究では、2023年2月までに、クレアチンや筋肥大に関連して発表された論文を、いくつかの条件のもとで選別。除外された研究は、参加者に疾患を持っている人がいたり、数値データが不十分だったりしたものでした。その結果、論文10件を抽出。それぞれの論文は、研究期間は6~52週間と幅広く、若年層が対象のものが4本、高齢者を対象とした研究は6本でした。また、男性のみを対象とした研究は4本、女性のみを対象とした研究は1本、男女両方を対象とした研究は5本でした。
それぞれの論文では、次のような条件でクレアチンを摂取していました。
5日間連続して20g/日のクレアチンを摂取した後、残りの期間は5g/日のクレアチンを摂取。
6g/日のクレアチンまたは6g/日のクレアチンと30gのホエイタンパク質との併用による補給。
1日に0.1g/kgまたは0.15g/kgのクレアチンを投与。
筋肥大効果は確認できた…けれど?
これらの研究を調査したところ、クレアチンの摂取によって局所的な骨格筋の肥大化効果が確認できたそうです。具体的には、調査によって次のような結果が得られました。
男性は上半身が筋肥大しやすいかも
筋肥大効果は身体の部位によって違いがあるのかを調べるため、個々の筋群の肥大を調査。その結果、クレアチンサプリメントの摂取は、上半身および下半身の筋群、ならびに四肢の屈筋および伸筋など、体の部位に関係なく同様の効果があることが明らかになりました。
ちなみに筋トレを行っている男性に限定すると、クレアチンサプリメントの摂取で上半身の除脂肪体重が下半身に比べて増加しやすい傾向が見られました。
高齢者の方が反応がよかった
年齢の影響に関する調査では、若年層は高齢者より筋トレ+クレアチンの筋肥大効果はわずかということでした。
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