ネーム
ネームとは紙にコマを割って描く、漫画の設計図のこと。
ここ数週間、このネームの締め切りが何本か重なっていて、朝から晩までネームのことばかり考えている。ギャグ、エッセイ、ギャグともエッセイともなんともカテゴリー分けしづらいもの、扱うものも様々でちょっと頭が熱い。
ネームを描く時に気をつけていることは、デビューした5年前と比べて、少しずつ変わってきている…というか、増えてきている。
めくって現れる偶数ページの最初のコマには、必ず笑いや驚きを入れる。冒頭数ページにはフリにあたるフレーズを入れて、ラストでそのフリを回収するコマ(一言に「オチ」とは言いたくない)を入れ、読み手が「あぁ…なんかわからんけど、読んだ〜」と思って安心できるような構成を心がける。
そこに加えて、人を傷つけるような表現はないかと何度も確認し、単調な会話劇にならないように絵で見せるネタを選び、ナレーション過多になると漫画らしくなくてダサいのでなるべく削り、でも今日描いたティラミスのネームはドキュメンタリーを下敷きにしたパロディだからあえてナレーションだらけにしてそれを面白に変えて…あ、でもこれを担当氏はわかってくれるだろうか?と少し不安になり、不安になると手も止まるし、最終的に自分でも面白いのかどうかわからんくなって机から一回逃げる。
考えることが増えれば増えるほど、頭が熱くなって身体も怠くなり、腕に力が入らなくなり、下書きと言えど絵がどんどん下手になる。下手になった自分の絵や文字は、風呂の鏡に映る自分の顔を見る時ぐらいしんどい。醜い。
こんなことばかりやっていたら、いつか頭はおかしくなるだろう。おかしくなりたい狂いたい!と願っていたデビュー当時の理想の姿に、実は少し近づけているのかもしれない。喜べよろこべ。