ドラキュラ城に流れているような音楽
…次は何を描くべきか?
9月はそんなことを考えてモヤモヤしている間に終わってしまった。何を描こうっていうか、仕事として描くことが決まっているテーマはあるのだけど、それをもっと自分の身体の方に手繰り寄せて、これでいける!と思い込めるだけのテンションを引っ張り上げる時間だった。
そういう時期って、案の定、まわりの皆が上手くいっているように見えるし、自分なんか必要ないんだよな〜とか、1円にもならないことばかり考えてしまう。「もともと家族から以外、誰からも必要とされてないだろ!」とつっこんでくれるマインドBの声も、いつもより小さく元気がない。
9月の最終日に下北沢のB&Bで常見陽平さんの育児トークイベントに小説家の海猫沢めろんさんとご一緒させてもらった。海猫沢さんはダイヤモンド☆ユカイさんをもうちょい若くしたような見た目で、しかも発言一つ一つにも作家としての説得力があった。ルックスを差し引いても十分すぎる説得力なんだけど、そのルックスが鬼に持たせた金棒ばりに説得力を増強させていた。
イベントの帰り道、下北沢の駅まで歩きながら、海猫沢さんにこの時の弱気な俺を凝縮したような質問を二つほどさせてもらった。
①作家として浮き沈みを不安に思った時どうしているか?
②実体験ばかり描いていることから卒業するべきかどうか?
①の回答としては「作家になると決めた以上、作家って仕事は永いものだと考えているから」とのこと。
②についても「いや、実感のある物しか書けないよ」とスパッと一言。
どちらも一切勢肉のついてない無駄のない回答。でもそこには海猫沢さんも悩んできたんだろうなと思える〝折り目跡〟のようなものも感じられて、その親近感が自分の心のつっかえをいくつか取り去ってくれるのを感じた。
海猫沢さんに出会える機会をくださった常見先生には感謝しかない。
10月に入って、残りのモヤモヤにまだ少し悩んではいたのだけど、それも順長に少しずつ取り除かれいる気がする。
それは自分から手を伸ばして触ったもの、例えばN国党の立花さんの戦い方だったり、又吉さんの新しい小説だったり、SwitchにダウンロードしたドラクエⅢのパキッとした画質だったり…。
あとこれは向こうから手を差し伸べてもらったところもあるんだけど、(株)わたしはの竹之内さんとのサシ飲みにも先日救われたところだった。
正しいことを言うことよりも、本当のことを言うことの大切さについて、あと間違ったらすぐ謝ることがマストってことについて、そんなことを話していた時。
竹之内さんに伝えることかどうか迷ったけど、King Gnuの「白日」があまりに良くて久々に感動して、Apple Musicで片っ端からすでに出ているKing Gnuのアルバムを落として聴いたけどどれも〝ドラキュラ城で流れてる音楽みたいで自分には合わなかった〟という話を唐突にもしてみた。誰にも言えなかったというか、いう必要もなかったことなんだけど、正直な気持ちを言葉にしてみたらすごい気持ちよかった。
竹之内さんからも「自分もそうでした笑」という返事が来て、9月から抱えてきた残りのモヤモヤは、さらに解消されたのだった。