【エッセイ】夜更けのご褒美:しいたけ栽培キット

 今年の梅雨はなんだかイジワルで、東京は雨や曇りばかり。
 湿っぽくて生暖かくて、空気は淀んでいて、もうずいぶんとお日さまを見ていない。
 気が滅入るし、身体もどんよりと重くなっていっちゃって、いやになるね。

 そんなときに重たい仕事が振られてくると、
頑張りたい、もがきたいのに、身体が動かずに沈んでいってしまう。
 だからこそ、なんとか現状を良くしたいと思って、妙に衝動買いとかしちゃったり。

 そこで買ったのが「しいたけ栽培キット」です。これがね、わりといい買い物で。

 これが、届いたばかりの状態。
ベースはスポンジなのかな? 軽くて、表面は木の肌を柔らかくしたような感じで、いままで触ったことのない感触。
 18〜22℃くらいの気温かつ、朝晩に寒暖差があった方が育ちやすいらしいんだけど、今でもギリギリ大丈夫みたい。

 1日でこう。
菌の生命力ってすごいね。びっくりするくらいのスピードで成長していく。

 そして4日目でこんな感じ。
あっという間にしいたけっぽくなってきた。

 淀んで酸素の薄い空気の中、1日なんとか生き延びて帰ってくると、そんな私の状況なんてお構いなしに、あっけらかんと大きくなっていて、
愛おしさと、少しの憎らしさを抱えて、毎晩水をやるのです。

 私と違って目に見えて成長しているのに焦りながら、収穫して食べられる日を心待ちにしている。
 気だるげな悲しみと、ささやかな楽しみが同居している、梅雨の明けない7月の夜更け。

 収穫できたら、バター焼きやフライや肉詰めにしていっぱい食べて、しいたけの分まで成長してやろうね。


サムネの画像、フォトギャラリーよりお借りしました。ありがとうございました。

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