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社寺建築における観点~本当に長持ちする住宅を神社仏閣の応用知識で作る ②

前回の続きで今回は柱や部材の事を話していきたい。

蟻害に強いとされる『ひば』(写真は米ひば)
カナダ桧とも言われる

まず今回は柱の話からとなるが率直に言うと柱等の構造材は日本の杉、桧等を使って頂きたい。

何故かと言いますと、今木造建築を建築するにあたり材種を指定しないと外材系の集成材系の柱や桁を多使用する事となります

手前が欅(けやき) 真ん中が桧(ひのき)奥が米ひば(べいひば)

これは別に悪い事ばかりでは無いのですが、長持ちさせるとなると集成に使用している接着剤の強度と寿命が未知数だからである。

(※集成材、端材等の細かい木を繊維方向に並行並列に貼って大きな材料を形成したもの、大きな節や割れが無くなる)

地産地消を謳っている日本ですが今現在材種をしていしないで木材を使い住宅を建てた場合、使用木材の80%以上が外国の木材になります。

ドアは巧妙な作りの松の集成材 床は桧
左側棚板は一般的な集成材(メルクシパイン)松

これは日本の材木が全て高価と言う訳ではありません、それを輸入した当初は安価だったのかもしれませんがウッドショック前でも価格反転は起きていた、もう指定がなければこの部材はコレ的な概念で使用されている

実際に下地に良く使われている『インニッサン』30×40は規格で長さの違いもあるが赤松の外材より国産の杉の方が安く買える

(※杉の方が尺モジュールで3.64m程度だからmモジュールの4m赤松より安い事は当然であるがそれらを差し引いても安いか同等)

また昔は高級材とされていた桧の柱が和風建築の減少した今はかなり割安となって来たので柱や土台には積極的に使って貰いたい

※価格はウッドショック前になります
しかし手は出せば届く!

薦めるには理由があり、桧は木としても層が硬く水や蟻害虫害にも強い、ヒノキチオールの成分でカビにも強い良いことづくめなので長持ちさせるには最適なのである

今の建物は柱が露出していないので、一旦塞がれると内部の柱の様子が分からない、本当に長持ちさせたいと思うならその様な場所こそ良い材料を使うべきと思います

上記の話を基に今では基礎が前面コンクリートの『ベタ基礎』になり被害が少なくなったシロアリ被害ですが基礎の外側から侵入して来る場合もありますので油断はならない

彼ら(蟻)はスキマがあれば侵入してくるのでコンクリに蟻が通れるひび割れがある場合そこから侵入して来る、現に某メーカーの基礎に貼る化粧パネルを施工した場合その継ぎ目からシロアリが土台まで上がり蟻害になってしまったパターンもある

またヤツらは蟻道と呼ばれる通路さえ作れれば如何様にも侵入して来る、蟻道はコンクリートにも作れるので外部で犬走がなく日陰で風通しの悪い場所は注意したい

発生条件は様々であるが地面に近い場所は注意したい、また乾燥してるようならシロアリが嫌うので蟻道も出来にくい、仮に一旦木材の部分まで登って来てもシロアリにとって不味いヒノキの様な材料なら少し侵食して(これを舐める様な後なので『舐める』と言った表現もある)不味いと分かれば諦めて退散して行く、逆に松系みたく脂分が多いものは確認が取れると号令と共にワサワサと集まって来る訳である

この様な問題が明るみになっても輸入木材の割合が多い日本では床下地にシロアリの大好きな木材をふんだんに使用せざるを得ない状況になっている

『SETRA』の文字に注目、外材で外国で加工され輸入されたもの、この商品はウッドショックをモロに受け今や3倍以上の価格となった!

それをシロアリから守る為に使われているのが防蟻剤(ぼうぎざい)と呼ばれるシロアリの薬品である(※良く新築現場で塗られているオレンジ色したアレです)

見覚えのある色でしょう

要するに木材本来の防御力ではなく薬品で対策を講じている訳である

これらの理由から長持ちさせたいと思い予算が許せるのであれば松系を含む集成材よりヒノキを使用して頂きたいことである

目指せみんなで地産地消!

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