見出し画像

ミニシアターのロックフェス映画、楽しくて懐かしくて、少し切なかった

ミニシアターで音楽映画を観る:ストレス発散になる

小田原シネマ館では音楽にまつわる作品を「#音楽祭」と称して連続上映しています。

音楽祭で上映する作品は、フレディ・マーキュリー、エリック・クラプトン、ローリング・ストーンズなど少しばかりマニアックで昔のロックが多い。

筆者は5月に "コンサート・フォー・ジョージ "、9月に"モンタレー・ポップ"を観てきました。

小田原シネマ館では音が割れず遠くから飛んでくる感じもない。身体全体が四方から包まれるような感じの音です。

ステレオのスピーカーで音楽を楽しめない、小さな音しか出せない窮屈なマンション暮らしをしている筆者にとって、全身で大きな音を楽しめるミニシアターでの音楽映画は気持ちよくて楽しいだけでなく、ストレス発散にもなっています。

ジョージ・ハリスンの追悼コンサート "CONCERT for GEORGE"

ジョージ・ハリスンは2001年に亡くなりましたが、その翌年に行われた追悼コンサート映画です。

出演者は息子のダニー・ハリスン(父親似のイケメン)、ジョージ・ハリスンと交友のあった人達:エリック・クラプトン、ポール・マッカートニー、リンゴ・スター、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズなど蒼々たるメンバーです。

追悼コンサートですが湿っぽさは感じなくて、じんわり温かさを感じました。

筆者は、インド音楽シタール奏者のラビ・シャンカールをこの映画で始めて知りました。一曲聴いただけで引きつけられました。

モンタレー国際ポップフェスティバル "モンタレー・ポップ”

1967年にサンフランシスコのモンタレーで開かれたロックフェス。
この映画、往年のロックファンには是非おすすめしたい映画です。

圧倒的に強い表現力のジャニス・ジョップリン。
この人達やっぱりおかしいと思った、ザ・フーの楽器叩きつけとステージ壊破壊、それからジミ・ヘンドリックスのステージ上でのギター燃やし。
50年以上前のサンフランシスコの風景と素朴な若者達。
時はベトナム戦争真っ最中。ある意味、今とは違う症状でアメリカが病んでいた頃です。

「コンサート・フォー・ジョージ」で心に残ったインドのラビ・シャンカールがこのモンタレー・フェスの最後を飾り圧巻の演奏でした。

映像も良かった。

この映画は最近まで日本で正式に劇場公開されていなかったので知る人は少ないのですが、アメリカ国立フィルム保存委員会によって「文化的、歴史的、また芸術的に重要」ということで半永久的保存推奨作品に登録されている作品だそうです。

一緒に観に行った知人は広告代理店を経営している女性でした。映画を見終わってちょっと興奮しながら「斬新な映像でしたね。」と言ったら、その知人は少し考えこんでから、「斬新というか、古いんだね。今のようにデジタル映像技術を使ってやり過ぎなほど作り込んでいないから、それがかえって私たちには新鮮に感じるし、自然な美しさを強く訴えてくる。」と言いました。なるほどと思いました。

出演者はウッドストックのほうが人数もビッグネームも多いのですが、映画としての構成・映像としてはモンタレー・ポップのほうがおもしろいと思いました。古き良きモノは、時が経ってもそれが持っている力は衰えないのですね。

学生時代にオールナイトで観た「ウッドストック」を思い出した

モンタレーの2年後に開かれたウッドストック。日本ではよく知られています。映画上映されたからでしょう。筆者も学生時代に、学生寮の友人と二人でオールナイト上映を観に行ったことがあります。新宿の歌舞伎町にあった映画館に女子大生二人組はちょっと浮いていたのを今でも覚えています。

あの時一緒に観に行った友人は、まだ若い頃にガンで亡くなりました。田舎出身でロック音楽など無縁だった筆者にロック音楽の楽しさを教えてくれたのはあの友人でした。50年近く昔、その当時の女子大生とは全く趣味が違っていた「オタク女子」の先駆けのような人でした。あの頃好きだったレッド・ツェッペリン、TOTO、10CC、ドアーズは今でもYoutubeで観ています。

もしあの友人が今もいたら、音楽祭の全作を二人で観に行っていたかもしれない。見終えてから、「フーとジミヘンの破壊シーン面白かったね。」とか、「ジャニス・ジョップリンはやっぱり凄い。でも肌が荒れてた。」とか言い合っていたかもしれない。66歳年金生活になって(たぶんお互いに)時間的余裕ができた今こそ、また昔の学生時代のようにキャッキャッできたかもしれない。あの友人ともっともっと一緒に遊びたかった。