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スターウォーズ:無法者たちのレビュー


大まかなあらすじ


……先日、最近話題のUBIから発売されたスター・ウォーズ:無法者たち(アウトローズ)。記憶に違いが無ければジェダイサバイバー以来の本格スターウォーズのゲームということでファンである自分は心が小躍りしていた。そして実際にプレイしてみてのストーリーやキャラ達への感想を述べていきたいと思う。

時代設定はEP5~6の間、つまり反乱軍が氷の惑星ホスに追い詰められ、ルークがアイムユアファーザーされた後の時間軸である。帝国は支配下の惑星にて圧政を布き、銀河の辺境(以下アウターリム)の惑星では犯罪組織(以下シンジケート)が蔓延るまさに銀河の暗黒時代。
そんな時代の最中、女主人公のケイ・ヴェスとペットのニックスは惑星カントニカでとある計画に参加する。惑星を牛耳る「ゼレク・ベシュ」なる巨大シンジケートの金庫から金品を盗もうとする計画だ。成功すれば一攫千金、船を持ち自由になれる。ケイは申し出に快諾し、金庫の眠るカジノへと潜入するのであった。
しかし、目的の金庫に辿り着くも中に入っていたのは1人の反乱軍。実はこの計画は反乱軍が立案した強奪&救出作戦であった。メンバーに説明を求めるケイは気絶させられ、金庫に置き去り。ゼレク・ベシュのボスである「スリロ」という男に追い詰められるも隙を見て逃走、その後「トレイルブレイザー」なる船の強奪に成功し、惑星トーシャーラへと不時着。
スリロから懸賞金をかけられ、ドン底に叩き落とされたケイのアウトローとしての冒険が今始まる……。

ケイたちのヴィジュアル(ND-5は中盤に登場)


長々と書いたが、これが大まかな導入である。以下はネタバレ混じりの批評。

◆アウトローズの良い所!



冒険が始まってまず見せられるのが広大なフィールド!サバンナのような環境の惑星トーシャーラをスピーダー(バイク)で駆け巡る。オタクが夢見たスターウォーズの世界をオープンワールドで探索できる感覚は唯一無二の気分と言っていいだろう。
そして複雑に絡み合うシンジケートたち。今作には4つのシンジケートがあり、各々に好感度がある他、ミッション次第では関係が悪化してしまうやも……などと独特の緊張感のあるシステム。スターウォーズの本編(EP1~9)ではジャバ・ザ・ハット率いるハットカルテルしか出てこなかった為、アウトロープレイを求めるプレイヤーは多様な犯罪組織の掘り下げには興味をそそられるだろう。
細かに散りばめられたファンサービスも特筆すべきポイントだ。「お、この並びはアレだな」「確かにお前ってここにいるよな~!」など、スターウォーズが好きな人間ほどニヤッと出来るポイントがいくつも存在する。製作陣の愛が光っていた。
宇宙空間でのドッグファイトなども、やはりスターウォーズならではの戦闘だろう。トレイルブレイザーを改造して帝国のTIEファイターと張り合うことも可能だ。
そしていつも隣にいる渋いアンドロイドND-5、可愛いペットのニックス。今作の癒しである。

4つのシンジケート

◆アウトローズの悪い所!!


前提として、筆者はスター・ウォーズの映像作品は9割履修しており、EP8の良い所をなんとか見つけ出そうとする程度にはファンである。
これは個人的な批評であり、他のアウトローズを純粋に楽しむ様々なプレイヤーの意見も尊重されるべきものだ。

まずハッキリ言っておくと、このゲームはメタルギアソリッドとアンチャ―テッドを足して、4で割った後にRDRシリーズの要素をゴマ塩程度に付け足したようなお使いゲームである。システムに関してもゲーム中の8割は強制されるステルスと、強化に必要な財宝を探すストレスに苛まれることとなる。RDRのデッドアイ(スローモーションになりターゲットした複数の敵を瞬時に倒すスキル)をモロパクリしたシステム(あまり使わない)や、絶妙に使いにくい手榴弾などの戦闘システムも粗雑と言わざるを得ない。格闘が異様に強く、相手を殴り倒せばパッシブ(朧げな記憶だがサイドミッションで開放)で体力回復もするため、ピンチになれば相手に飛び掛かるゾンビとなる。
更にはフィールド移動にもストレスが付き纏う。上記で述べたようにフィールドの移動にはスピーダーを用いるのだが、操作感が独特な上、ちょっとした岩や草木に割とよく引っ掛かる。そこまでスピードが出ていなくとも、それらに引っ掛かれば強制的に浮遊感のあるふんわり下車をさせられ、HPゲージが確定で1ゲージ減る。(初期の体力ゲージは3つ)
スピーダーを使ったカーチェイス戦闘もあるのだが、GTAやRDRにある乗車中の自由な照準による銃撃はなく。ゲージが一定量になれば使えるデッドアイのみでの対処が求められる。

この手の組織に好感度のあるゲームは基本的にプレイヤーはゴマすりクソバードになり、好感度を稼いでいく訳だが、本ゲームに密接に絡むステルス要素が邪魔をする。
各シンジケートには縄張りエリアが存在するのだが、ストーリーやサイドミッション等で度々潜入を強いられることになる。好感度が高ければ顔パスで入ることも可能だが、ほとんどの目的エリアは立ち入り禁止ゾーン(見つかればアウト)にある為ほんのちょびっとステルスが楽になるメリットしかない。見つかればゲームオーバー……までは流石にならないが、入口まで叩き出されて好感度がじわじわ下落してしまう。何度も言うが、このゲームはステルス要素が8割である。
確かに、アウトローの下積みはこういったチマチマしたことをしなければならないかもしれないが、プレイヤーとして「なんでこんなことしてるんだろう……」といった思考になってしまう。恐らく、プレイヤーが見たい、体験したいのはアウトローとしてアウターリムで成り上がるケイの姿である。

武器の種類がもっと欲しいと思う事も多々あった。ケイが使う武器は母から譲り受けたブラスターが一丁だけ。それがメイン武器であり、様々な機能を付け足してアップグレードしていくことになる。性能の違うブラスターは敵が落としたものやフィールドに配置されたものだけ。ストックはできず使いきりで、別エリアに持ち越すことはできない。梯子を登り降りするだけで手放す。スターウォーズには多種多様な武器があるのだから、人間武器庫になっても良かったのではないだろうか……。

主人公ケイ・ヴェスに魅力がない!
本作の致命的な要素である。彼女は惑星カントニカの労働者階級の生まれであり、幼少期から母の下でスリやハッキングの手口を学んでいた。しかしある日、母はメッセージを残して失踪。頼れるのは部屋を貸してくれてるおっちゃんとニックスと自分だけ。深堀りできるのはこの程度で、目標も漠然と金を稼ぎたいだけである。
アウトローとして成り上がりたい訳でもなく、各シンジケートや仲間から頼まれたお使いを憎まれ口を叩きながらこなすだけの主体性のない天性のパシリ。作戦の要も全部ケイがこなし、仲間は後方腕組みしながら野次を飛ばしたり雑談するだけ。お前ら手伝えや!と叫びたくなったのは両手両足の指では数えきれないだろう。なお、彼らがようやく手を貸してくれ始めるのは終盤である。
個人的には、中盤から登場するND-5の背景の方がよっぽど魅力がある(自分が心のあるロボット系の話に弱いせいもある)
なので、スター・ウォーズ本編に登場したキャラやヴィランが出演したりするとケイの存在感が一瞬で蒸発する。1シーンに出演するモブ程度になってしまうのである。と感じた。

このゲーム、ストーリーは太く短くがコンセプトらしく。ストーリーを追うだけなら10時間程度でクリアできるだろう(自分は寄り道をそこそこして30時間)
しかし、実際は中途半端に太く、短い! 仲間集めはぐだぐだとステルスと探索、おまけの銃撃戦。ストーリーは序盤退屈、終盤ブチ上げの逆拓也さんである。
面白かったシーンをピックアップするのなら、不本意ながらも喧嘩を売ったスリロは帝国保安局(シークレットサービス的な組織)の局長であり、大規模シンジケートの「ゼレク・ベシュ」は実は帝国保安局も兼ねる組織だったのだ~!は面白いと思ったし、命令に忠実なND-5がケイとの交流を通じて徐々に自由への憧れを抱き、最終的に主人から離れていくシーンはすごく面白いと思った。
ただ、全部終盤のシーンである。そしてパシリマシーンにケイの自由に憧れを抱くのはどうかと思う。

公式サイトに飛んで最初に目にする謳い文句


そんなスターウォーズ:無法者たち。通常価格が9,790円。ゴールドエディションが15,400円。アルティメットエディションが18,150円となっている。サブスクに入る事で月額1,800円で遊ぶことも可能だ。
スターウォーズとステルスゲームが好きな方は買ってみてはいかがでしょうか。ゴールドエディション以降はDLC付きのシーズンパスが同梱だ。

ちなみに自分はゴールドエディションを買いました。
ダンクファリック、俺はUBIを絶対に許さない。


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