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セーラの叔父さま 14話
背が高くて綺麗な金髪のメイドさん
昼食は外で食べようと叔父さまがおっしゃってたので昼頃庭に出る。叔父さまはまだやって来ていないようだ。
広い庭からの眺めは素晴らしい。遠くにブドウ畑が広がっているのが見える。さぞかし美味しいワインが出来るんだろうなあ・・・なんて思いながらぼんやりと椅子に腰掛けていると館の方からメイドさんがワゴンに乗せた食事を運んで来ている様子が見えた。
背の高い綺麗な金髪のメイドさんだ。こんな人いたっけ?
ここには大勢のメイドさんがいるので私が知らない人も結構多くいるのだろう。
それに私って人の顔を覚えるのが苦手だし。人から呆れられるほど人の顔が覚えられない。まあ、軽い相貌失認症とでも言うのかもしれない。
綺麗なメイドさんが運んできた紅茶やサンドイッチやその他諸々どれもいかにも美味しそうなものばかり・・・フランスの食事は良いよなあって思う。申し訳ないがイギリスの食事は不味いとまでは言わないけれどフランスと比べると今ひとつだと思う。こういうのは国民性なのかもしれない。
食事の用意が出来ても叔父さまがやってこない。いつもなら約束の時間にはほぼほぼ遅れることなくやってくるのにどうしたのだろう?
急になにかが起こったのか?悪いことでなければ良いけど・・・。
心配になっている私にメイドさんが声を掛けた。
「お嬢様、お先に召し上がりますか?」
「いえ、もう少し待ってみます」
私の専属メイドのマリエットはお父様が亡くなったという知らせでミンチン先生から解雇通知を受けたので叔父さまがここのメイドとして雇うようになったから本当はここへ食事を運んで来るのはマリエットだとばかり思っていたのだ。
それにしてもこのメイドさん一体誰なんだろう?新しいメイドさん?
随分綺麗な人だなあ。背も高いしモデルさんみたいだ。足もすらっとしているし髪も輝くばかりの金髪で叔父さまに似ている・・・。
え?叔父さまに・・・??
ふと突拍子もないことが頭に浮かんできた。
思わず、腰掛けている椅子から転げ落ちそうになった。
こんなところで転げ落ちたらまるで「新婚さんいらっしゃい!」の桂三枝・・・いや、今は文枝だったっけ?一瞬のうちにまたしょうもないことを思った私。
・・・その私を素早く支えてくれた綺麗なメイドさん。
見た目以上に力強い腕。
メイドさんが私に向かって微笑んだ。
「ようやく気がついたかいセーラ?」