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セーラの叔父さま 15話

メイドの正体は・・・

綺麗な金髪のメイドさんは叔父さまの声でささやきかける。

「どう?似合ってると思わないかい?」

「お・・・叔父さま!?」

私はあたふたしながら辛うじて椅子に座り直した。
確かにね、セーラの中の人である日本の中年女性の私は美形が女装する漫画や小説は好きですよ。
だからといって美形の叔父さまがメイドのコスプレをして目の前に現れるなんて反則ですよ。
素敵すぎて胸がドキドキしちゃうじゃありませんか!
こう間近で見てみると「エロイカより愛をこめて」(青池保子)のエロイカを連想してしまいます。
エロイカも時々女装していましたからね。
 *画像はエロイカ(青池保子)のポスターの一部分

驚いてる私の様子が面白いのかニコニコしながらこちらを見ている叔父さま。

「ど・・・どうしてそんな格好をなさってるのですか?」
「良いアイデアが浮かんだんだよ」
「?」
「君がミンチン女学院に戻らなければならない運命なら、少しでも君の苦労を軽減してあげたくてね、僕が君の専属メイドになって付いて行くことを思いついたんだ」

メイド服を着た叔父さまは、セーラの腰掛けている椅子の真向かいに座って今自分が運んできたサンドイッチを手に取って口に頬張った。

「うん、これは上手い。セーラ、君も食べないかい?お腹がすいてるだろう」

心地よい風が吹いて叔父さまのスカートの裾がふわりとひるがえる。
叔父さまの足ってすね毛もなくて綺麗だなあ・・・と、またくだらないことを考える私。

「僕の給料は僕・・・つまり君の叔父さま・・・が支払うし専属メイド以外の仕事もするって言えば自分の得になると判断してミンチン女史なら受け入れると思うんだ。
僕は英語もフランス語もしゃべれるからね、フランス語の授業をさせれば人件費が浮くと考えたりするんじゃないかな?」
「そうですね。ミンチン先生なら損得で動く方なので叔父さまの言うとおりかもしれません」
「じゃ、そうと決まったらロンドンに行く用意をしよう。僕のメイド服もきちんと何枚か作らなくちゃいけないし・・・これ、我家の一番背の高いメイドの服を借りたんだけどちょっとスカートが短すぎるんだよね。僕のサイズでちゃんと作らなくちゃ」

立ち上がってスカートの裾を下に下げようとしてみせる叔父さま。
思わず私は声を上げて笑ってしまった。

「ようやく笑ったね。セーラ。君は笑ってる顔が一番素敵だよ」

ああ、叔父さま、そんな素敵なキザな台詞言わないでください。あまりにも嬉しくなりすぎて息が出来なくなるじゃありませんか。




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