セーラの叔父さま 40話
叔父さまへの手紙
アーメンガードには何が起こったか説明の手紙。
ベッキーにはこれからは私の専属メイドになって欲しいと伝える手紙。
そして叔父さまには、お隣に来てカリスフォード氏に会って欲しいとの手紙を書いた。
手紙はラム・ダスがお隣の学校に届けてくれた。
ところが帰ってきたラム・ダスの手には何故か叔父さま宛の手紙が・・・。
「ラム・ダスさん、叔父さまはもうフランスに帰られたのかしら?」
「いえ、セーラお嬢様。お嬢様のおっしゃる、フランソワーズさんという方は学校にはおられないとのことです」
「え?」
「どなたに伺ってもそういう方は全く存じ上げないそうなのです」
「え?どうして?フランス語の先生のフランソワーズ先生のことを誰も知らないって?」
「はい。そういう先生はこの学校にはいなかったとおっしゃるのです」
「アーメンガードやベッキーもそう言ったの?」
「はい。皆さん、とても不思議がっておられました」
「そんな!どうして?みんな、叔父さま・・・いえ、フランソワーズ先生に会って知っているはずよ」
ラム・ダスは困ったような顔をして突っ立っている。
セーラ(私)も何が起こったか全く理解出来なくて困惑している。
叔父さまはもともと学校にいなかった?そんなはずはないわ。みんなで私を騙そうとしているのかしら?でもアーメンガードもベッキーもそういう嘘をつけるような人ではないし・・・。
第一、騙したって叔父さまがそこにいればすぐにばれてしまうような嘘をついたって何にもならない。
虐め?悪戯?いいえ、アーメンガードやベッキーがそんなことをするはずがない。
セーラは思わず駆け出した。
カリスフォード氏の屋根裏部屋へ・・・。
そして、その窓から屋根を伝ってもう二度と思い出したくもない自分が二年間住んでいた屋根裏部屋に入った。
そこにはあの魔法のような机もご馳走も本も暖かい毛布も何一つ残っていなかった。ただ、古いベッドと見るからに寒そうな薄っぺらい毛布があるだけだった。
ラム・ダスさんが片付けたのね。
その部屋を出てセーラは物置部屋のドアの前に立った。
そこは叔父さまの部屋だ。
ここまで急いで走ってきたのでセーラは息が上がっている。
ドアノブに手を掛けてしばらく息を整える。
ガラクタがいっぱい詰まっていて、片付けの苦手な叔父さまに代わって私とベッキーでなんとか住めるようにした部屋だ。
ドアを開けるといつも叔父さまは何かお菓子とコーヒーを飲んでいて、優しい顔をして
「どうしたんだい、セーラ?お腹がすいてるんじゃないのかい?今日は美味しいマフィンがあるよ」
なんて言ってくれてた部屋だ。
今日だって、このドアを開けると叔父さまがいるはず!
「叔父さま!」
セーラは勢いよくドアを開けた。