セーラの叔父さま 2話
お父様へのお手紙
お父様。
お元気でいらっしゃいますか。
私は元気です。
お友達のアーミンガードや小さいロッティーやその他素敵なお友達に囲まれて楽しい時間を過ごしています。
お父様、あのね、この間ふと思い出したのだけど、お母様に弟さんがいらっしゃったっていうお話を昔していただいたことがありませんか?
もし、本当にいらっしゃったら私の叔父さまになるんですよね。
今、その方はフランスにお住まいなのかしら?
私はこちらに来て長いお休みの時はインドのお父様のところにも戻れずに少し寂しい思いをしていましたが、叔父さまがフランスにお住まいなら私、一度お目にかかっていっぱいお話をしてみたいのです。
お母様のお話も伺えるかもしれませんよね。
次の長いお休みに叔父さまのお家に行くことが出来ないでしょうか。
叔父さまにお目にかかりたいセーラより
セーラの書く手紙ってこんな感じでいいのかしらね?
私は日本語しかわからないけど、自動的に英語に翻訳してくれてるってこういう世界もなかなかいいわね。
それにしてもロンドンからインドまで手紙はどのくらいで届くのかしらね。
返事を書いてインドからロンドンまでまた何日も・・・いや何ヶ月もかかるかも。
とにかく<弟なんていない>という返事にならないことを祈るのみだわ。
それにしてもネットとまでは言わないけど電話ぐらいあればいいのに。
一応既に電話の発明は1875年グラハム・ベルが特許を取っているからミンチン女子学院でも院長室に電話があった可能性もあるわね。(アニメでは第Ⅰ話が1885年)
とはいえ、ミンチン院長の部屋で電話をかけるのは嫌だし、そもそもインドにつながるのかその辺りはちょっとわかりません。
手紙を書き終えたときノックの音がした。
アーメンガードが今日の授業でわからなかったことを聞きに来たのだ。
お優しいセーラお嬢様は嫌な顔ひとつせずに丁寧に教えてあげる。
勉強が今ひとつ苦手なアーメンガードは周りの学友たちから馬鹿にされていた。
それを救ったのはセーラである。
読者はそんなセーラを優しい子だと素直に信じるのだろうが、今現在セーラの中の人である中年のおばさんの私はそれに疑問を覚えるのです。
セーラって優しいお嬢様だと周りから見られることに喜びを感じてるのではないかと・・・。
勿論セーラ自身が意図的にしているのではなくて無意識に行動しているのでしょうけどね。
この後セーラが酷い状況になったとき以前と変わらぬ態度のアーメンガードの方がよほど素直で優しい子だと思えるのですよ。
ま、とにかく今はお父様からのお手紙を首を長くして待つのみですね。
もし、弟なんていないっていうことならばまた違う手を考えて飢えと寒さの境遇から逃れる方法を考えなくちゃいけないのよね。
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