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額作りに夢中
創作アートフレームの製作、販売を始めました。
どういう名称で呼んだらいいのか、わからないですが。
額も作品、ということです。
自作の絵を自作の額に入れる。
自作の額、といっても既製の額を土台にしてのペイントです。
そのために、土台の額選びから、ペイント材、などいろいろ研究をしています。
元々は、過去の自分の絵のプリントを額装し、販売しようと思ったことからです。ある時、「額縁は額縁だけでは売れない」という事を額縁屋さんの家族の方がおっしゃっていた記事か何かを目にしたことからです。
15年くらい絵の制作から遠ざかっていた私は、この頃絵を買う人ってどのくらいいるのだろう、と思いました。
家を新築した方が絵を欲しがっていたのは、バブルの頃だったからだろうか。
馴染みの画材店があります。そこの店主は、私が20代の頃からお世話になっていてもう30年以上のおつきあいになります。額縁も作られる職人さんです。そのおかげで、専門家の使う画材が置かれ、額のチョイスもいいです。若い頃は、絵を持っていって額もマットも全てお任せしていました。絵を見せると、「これ、いいのがあるよ。ちょっと待ってね」と、奥から出してきてくれる額は、絵が見違えるほどよくなるのが不思議でした。額選びは、数ある中から自由に選ぶとなると、いちいち箱から出してみて、また戻して。と大変です。ある程度、店の物を店主に出してもらってその中から選ぶということが多いです。
しかし、地元では画材店は近年少なくなり、額を扱うお店は数えるほどに。
いい目と腕を持っている職人さん。若かったご主人ももう高齢者の仲間入りをされる年齢に。いつまでもお店を続けて欲しいと、ささやかな思いで、額を買って自分の絵を入れて販売できないかしらと思いました。
しばらくぶりに、額を買ってみました。
なんだか市販の額の作りが変わっていて驚きました。以前の私のよく知る額は、ずしりと重くて、木製のものも多くて裏面にもベニヤ板に紙を貼ったものでした。綺麗な仕事がしてあったものです。
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ところが今は、木製のものはもうほとんどなくて、裏も軽い素材で作られていました。これはこれで、美術館も採用している。影も映らないとかで。確かに扱いも楽だなあ、と最近ではようやく慣れてはきたものの、その時はちょっとショックでなんだかチープに思えて販売する気になりませんでした。(しかし、ほとんどの方は、裏など気にしていない、らしいこともわかってきました(笑))
でも、絵を買う人なんているのかしら。住宅事情で、絵を飾るスペースのあるお宅は少ないでしょうし。
ところが最近、私の家に営業で初めてきた人が、私が飾っていた絵を見て、「販売はしていないのですか」と申し訳なさそうに聞かれました。その絵は鳳凰の絵ですが、実物は実家に飾っていて、来客の少ない私の家には、プリントのものを、好きな黒檀の額に入れて玄関に飾っていたのです。
ちょうど金と銀の2種類の額入りを作っていたのですが、その方は、引っ越されて絵を飾りたいけれど、売っているところがない、どこで買ったらいいのかと思っておられたとのこと。銀の方のマットが小豆色でした。「この色が床の色と同じだから」と、即決、購入してくださったのです。
こんなこともあるのかと、とても驚きました。
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複製画(印刷画)は、安くできますので、インテリアに絵が欲しい人にとってはメリットも大きいようです。サイズも小さいので、飾りやすく気楽です。
何より、額縁を買うことに繋がります。
そんな機会があって、ネット販売を細々としてはいましたが、サイズや、種類のバリエーションを増やすことにしました。
この画材店には、骨董品のようなアイテムが眠っています。額では、10年〜30年くらい前のデザインのものもあります。私の知っている一昔前の額。
ここは新しいものと古いものが混在しているのです。
そんな額のペイントの話に、店主も興味を持ってくれ、画材をいろいろ仕入れてくださったり、私のやっていることが面白そうだと、応援、協力してくださっています。売れ残ってセール品になっているものの中には、素材として良いものがありました。良い形のフレームや、数のたくさんあるもの。単価を安くしてもらえるものを使ってみることにしました。
初めは、市販の額に色をのせようとすると、ヤスリで磨いてもうまくのらなかったり、色を塗っても工作レベルだったり。金を吹きたいと思うと、金粉がゴミみたいにしかならなかったり、その度に試行錯誤。アドバイスをもらっていろいろな画材を試しました。
市販品と同じようにならなくてもいいんだ、と思うようになりました。
額自体の機能性や作りは、やはりいいもの選びたいです。
元の塗装や形に合わせて、デザインを考えたりアレンジしていく面白さがあります。
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「しらかべ」
漆喰調になる塗料と、紙素材のマチエール材を使いました。
中の絵は、後から選びました。額が面白いものが出来たように思えても、やはり中身がないと魅力は出てこないですね。
金にこだわってしまって、どうしても金のシックな額を作りたかったのです。
若い頃、油彩の額は、金か銀。でもそのデザインはいただけなかった。やけにゴージャスで、うるさかった。私の絵に合うものではなかったし、金の額は嫌だったのです。
なのに、今どうしてこんなに金にこだわってしまうのか。
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2作目は、金箔を荒めの金粉にして吹いてみました。これは自分の中では未完成な感じで、もっと金粉を定着させて残したかったのですが。
それでもざらざらボコボコしたマチエールが面白いと、画材店の店主は褒めてくれました。赤バラの絵を入れるとよく合いました。
さらには、バッグを手作りしている知人が、自宅で展示イベントをするというので、和紙調の壁の床間に飾らせてもらったところ、ドライフラワーやアンティーク柄のバック小物の中でしっくりきて、とても驚きました。
やはり、額、絵、展示環境のそれらの条件が合わさって初めて活きてくるものがあると、つくづく感じました。
自分の作品って、いいのかどうか初めはわからない。ちょっと恥ずかしい。
こっそりポケットにしまってる感じ。
そして、今熱いのは、こちらのシリーズです。
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「しらかべ」と同じベースのものに、透明感を生かした色の塗り重ねをして、好きな色調を作ってみました。テーマは「海」。
この色調は、いろいろな絵と合いそうなのですが、今一番ピタリときているのが、「お誕生日の花束」という、元は油彩の作品です。昔の絵ですが、若い頃のピュアな感動が伝わるのでしょうか。好んで求めてくださった方もいます。
額の色が画像ではうまく出にくくて残念なのですが…。
先程の金色系の額とは異なって、艶やかで、繊細な色の変化を出したかったです。ようやく美しい額ができたと、嬉しくなった作品です。
このタイプの額は、色違いで作っていますので、またご紹介したいと思います。
読んでくださり、ありがとうございました。