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現代宮城風土記#9:宮城県内の廃線と跡地利用


 鉄道黎明期の明治末期~昭和初期に建設され、自動車の勃興におり廃止された鉄道路線は全国に存在する。本記事では宮城県内の廃線についてまとめた。

秋保電気鉄道

 かつて仙台市の長町と秋保温泉を結んでいた鉄道。1914年に秋保石の運搬と湯治客の輸送を目的に、馬車軌道『秋保石材軌道』として開業し、後に電化。1950年代後半に経営悪化、1961年に廃止された。一部、宮城交通のバス専用道路となっているが、廃線跡などはほとんど残っていない。

秋保電鉄路線図

たいはっくる

仙台市太白区の長町駅前にある複合施設。かつて秋保電鉄長町駅、宮城交通のバスターミナルとして利用されてきた土地に、1999年に設置された。太白区文化センターや太白図書館、太白区中央市民センター等の公共施設や、商業施設、マンションなどが一体となっている。

くりはら田園鉄道

かつて登米市の石越駅と栗原市の細倉マインパーク前駅(細倉駅)を結んでいた鉄道路線。愛称は『くりでん』。1921年に開業。旅客だけでなく細倉鉱山で産出した鉱石を貨物として運んでいた。自動車の普及と細倉鉱山の閉山によって経営状態が悪化し、2007年に廃止された。

くりはら田園鉄道路線図

くりはら田園鉄道公園

宮城県栗原市若柳にある鉄道公園。「くりでんミュージアム」『くりでんアトラクションゾーン(旧・若柳駅舎)』『くりでん芝生広場』で構成される。アトラクションゾーンでは当時運行していたディーゼル気動車やレールバイクの乗車体験を行っている(要予約)。

くりでんミュージアム

宮城県栗原市若柳にある鉄道博物館。2017年開館。旧若柳駅舎と芝生公園と合わせて「くりはら田園鉄道公園」を構成。機関車庫、客車庫、資料館の3棟あり、かつて主に現在の栗原市域を走っていた「くりはら田園鉄道」の歴史や資料、ジオラマなどを公開している。

仙北鉄道

かつて宮城県北部にあった軽便鉄道。宮城県瀬峰町(現・栗原市)の瀬峰駅から登米町(現・登米市)の登米駅を結ぶ登米線と、瀬峰駅から築館町(現・栗原市)の築館駅を結ぶ築館線の2つの路線があった。1968年に全線廃止となった。運行会社は後に「宮城交通」の母体の1つとなった。

仙北鉄道路線図

松山人車軌道

かつて宮城県松山町にあった人車軌道および運営会社。人車軌道とは車夫が人力で車両を動かす鉄道のことで、1922年に松山町駅と町の中心部を結ぶために開通した。1929年には乗合バス事業へ転換し、1945年に「仙北鉄道」に吸収された。「松山ふるさと歴史館」に車両が復元されている。

仙台鉄道

かつて仙台市の通町駅と古川市の西古川駅を結んでいた軽便鉄道。通称『軽便っこ』。1922年に通町駅-八乙女駅間が開通し、1925年には全線開通した。1950年に台風による被害で大半が不通となり、1960年に全線廃止となった。現在、廃線跡の一部は道路、また「仙台浅草」になっている。

仙台鉄道路線図

仙台浅草

北仙台駅近くにある東西100メートルの横丁。前身は1958年に誕生した『北仙台駅前交易センター』で、当時は八百屋や魚屋が並ぶ商店街だった。現在は通りを挟んだ長屋に居酒屋やスナック、洋菓子店など様々な店が30店舗ほど営業している。毎月2・12・22日は念彼観音力デー。

仙南温泉軌道

かつて仙南地域にあった軽便鉄道。かつて大河原町から村田を経由し、遠刈田温泉を結んでいた。仙南軌道と城南軌道の二社が並立して開発をはじめ、後に合併した。1917年に一部区間が開通し、1922年に全線開通したが、乗合バスとの競合に負けて1937年に廃止となった。

仙南温泉軌道路線図

増東軌道

かつて宮城県中部に存在した軽便鉄道。1926年に開業した。東北本線の駅である増田駅(現・名取駅)と、業御意が好調だった閖上駅とを結ぶことを目的に敷設されたもので、現在の宮城県道129号線に沿っている。途中は閑散地を通っていたことからバスとの競争に負けて1939年に廃線となった。

増東軌道路線図

おわりに

今でもあったら便利だった路線、あると思います。

更新履歴

2023年11月8日:文章を作成。

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