現代宮城風土記#3:杜の都景観重要建築物等
杜の都景観重要建造物等とは
仙台の独自制度「杜の都の風土を育む景観条例」に基づき、景観形成に重要な役割を果たしているとして指定された建築物等である。城下の中心部は戦災で消失してしまったため、指定されている建築物等は旧城下町周縁部にある。
1.佐大商店登り窯
旧奥州街道沿いの堤町にある登り窯。1918年に造られた煉瓦造の六連房式登り窯で、仙台城下町で堤町に住んだ足軽たちの副業として焼きもの作りが推奨されたのが始まり。東日本大震災で大きな被害を受けたが復元された。
2.横山味噌醤油店
旧奥州街道沿いの通町にある店。明治6年に通町で雑穀商を営み、明治42年に味噌醤油の醸造を始めた。建物は1920年に建てられたもので、外壁は漆喰塗り土壁、腰壁は大谷石張りの外観を持つ。現在も仙台味噌の製造・販売をしている。
3.庄子屋醤油店
旧作並街道沿いの八幡町にある店。江戸時代末期から現在まで味噌・醤油を製造・販売している。現在の建物は1936年に建てられた。セガイ造りの商家建築の形式で、木造で瓦葺の店舗と住居部がある。国の登録有形文化財に指定されている。
4.旧丸木商店
旧奥州街道沿いの南材木町にあった店。1781年に「佐藤屋栄治商店」として薬種業を始めて藩内屈指の豪商となり、1972年までこの場所で営業していた。建物は創業当時のもので、漆喰白壁の外壁と海鼠壁の擁壁が特徴。現在は『株式会社マルキ』と『丸木医科器械株式会社』として別の場所で営業中。
5.小林薬品
旧奥州街道沿いの南材木町にある店。明治初期の創業。建物もその当時からのもので、左右対称に開けられた虫籠窓とそれを囲む海鼠壁が特徴的。元は味噌・醤油の醸造の店舗だったが、1963年から薬局になった。
6.旧針惣旅館
旧奥州街道沿いの南材木町にあった店。明治中頃に建てられた土蔵造・瓦葺の店蔵と昭和初期に建てられた木造・瓦葺の住宅からなる。元は六郷の田畑を所有する地主のもので、戦後に住宅部分で旅館業を始め、1987年まで営業していた。
7.旧仙南堂薬店
旧奥州街道沿いの河原町にあった店。大正4年に砂糖、粉、水飴を販売していた西村商店が建築し、1968年から2001年までは仙南堂薬店が営業していた。土蔵造りで外壁は白漆喰、腰壁は秋保石積、カラー鉄板葺の建物。
8.旧石橋屋
かつて仙台市若林区舟丁にあった駄菓子屋。1885年創業で仙台駄菓子を製造・販売していた。一番人気の駄菓子は「兎玉」。七郷堀端の枝垂桜でも有名。木造瓦葺の店舗。2023年に閉業し、建物は解体ため指定解除された。所有していた資料は仙台市歴史民俗資料館に寄贈された。
おわりに
古い建物を維持してくれているすべての人々に感謝。
更新履歴
2024年9月26日:写真を追加。章立てを変更。
2023年10月29日:記事を作成。作成してから庄子屋醤油店の写真がないことに気がついた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?