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フルートカフェ第一回 「フルートの原点・風と筒状の何か」

フルートファンの皆様、こんにちは ♪ フルートの事、音楽の事を様々な角度から探求するシリーズ「フルートカフェ」へようこそ。生命の息吹を伝えるフルートの音色と共に、無意識の世界に広がる壮大な冒険へ一緒に参りましょう!

このシリーズはスタンドFMとYoutubeと両方で配信しています。

さて、今回のフルートカフェのタイトルは「風と筒状の何か』。フルートは私の表現の核になっている要素なのですが、フルートを吹く、という事を少し掘り下げてお話しします。

フルートの祖先、世界最古の笛までさかのぼって見てみましょう。世界最古の笛は今から約4万年前、旧石器時代に動物の骨で出来た笛がスイスやドイツの洞窟で発掘されています。洞窟で奏でられる、骨の音楽!想像しただけでワクワクします。実際は骨以外にも、竹や植物の笛もあったかもしれませんが、植物素材は長大な時を超えて残るのが難しかったのかも知れません。

日本最古の文献上の笛の初出は日本書紀の「天乃鳥笛 アメノトリフエ」。詳しい形状や音色などは不明です。

私たちが一般に思い浮かべる形のフルートにも面白い逸話があります。

ドビュッシーの有名なフルート独奏曲、Syrinxもギリシア神話が元になっています。牧羊神パンは、ある日、たまたま目にした美しい妖精シュリンクスを激しく恋するようになりました。半獣神の気持ちに応じることのできなかったシュリンクスは、逃れるために、みずからの姿を川辺に生える葦に変えてもらいました。パンは、その川葦を切り取り、笛を作り、それを奏でては自分の心を慰めたといいます。

こちらも神話と関係するのが面白いですが、フルートの語源は、ラテン語で息や息吹を意味するFlatus(フラトゥス)です。フルートの歴史の始めの時代では、フルートをはじめとする息を吹き込む楽器は、生命を吹き込むこ神聖なものとされる思想がありました。

息、呼吸の流れは「風」と捉える事ができます。この「風」というキーワードをもう少し掘り下げてみましょう。

風(かぜ)とは、空気の流れのこと、あるいは流れる空気自体のこと。今は、風の時代と言われていますね。この根拠を私は知らないのですが、言葉からくる実感としては、目に見えないものを表す言葉が「風」だとして、例えば選挙などでも、「勝利の風が吹いた」とか、芸術やファッションなどで○○風(ふう)というように、使われる事もあります。

世の中の空気も、目に見えない「風」で動いていると思う事も多く、この風をどう乗りこなすのか、というのが「風」の時代という事なのかな、と思っています。

では、風という文字の構成を見てみましょう。
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風という文字は凡と虫という文字で構成されており、凡は風という文字の発音を示すともいわれ、風はもとは「ボン」あるいは「ハン」と発音した文字であろう。これはフランス語のvent、英語のwindの、v、wと相通じる音であって、いずれも空気の振動を模した擬音語と考えられる。風の古語は「シ」または「チ」(コチ(東風)、アラシ(嵐)、ニシ(西風)で擬音語(自然界の音や物音を表す言葉)である。
※出典 コトバンク 風
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さらに、ヘブライ語やギリシア語での風も興味深いので、少しみてみましょう。

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旧約聖書のヘブライ語 ר֫וּחַ(ルーアッハ、ルーアハ)は、神の霊、息、風を意味する。創世記1-2では、ルーアハは「神の霊」と訳され、天地創造で唯一動くものである

古代ギリシア語: πνευμα(プネウマ)は、動詞「吹く」(πνεω)を語源とし、気息、風、空気、大いなるものの息 などを意味した。

ギリシア語: ψυχή(プシュケー)は、動詞 ψύχω(プシュコー、吹く)から形成され、呼吸、息、生命、命、生命力、生命の呼吸、生きること、Bodyに対するSoul(精神、魂、心)、spirit (精神)、ghost (霊、幽霊)、 感情や情念の座、心臓、心、性格、人格、道徳的立場、自然、知性の座、意志や欲望の座、地獄で生き残ることなどを意味した。霊魂も意味する。動詞 ψύχω(プシュコ―)は吹く、呼吸する、冷たくなる、死ぬの意。日本ハリストス正教会では「プシヒ、霊」と訳す。マルコによる福音書ではプシュケーは「命」と訳された。プラトン主義の伝統においては、プシュケーを有することを以て人間は本質的に神と同族であるという確信があった。
※出典 Webilo 古代ヘブライ・ギリシアからキリスト教的霊性までの変遷
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という訳で、風の意味、面白いですね!
フルートや笛という視点では、自分の肉体から出る呼吸、「風」が、自分の身体の外の「筒状の何か」と出会って、初めて音が生まれるという事が、最高に面白い所だと感じています。内的宇宙と外的宇宙の出会いの瞬間に音がある事。こんな幸せな事はないですね!

では、また次回のフルートカフェでお会いしましょう。
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