どばんさんは禁酒します
どばんさんは酒好きです。
無類の酒好きです。
お酒が住む部屋に間借りしています。
それぐらい酒好きです。
もちろん、肝臓のため、健康のため、社会的信用とかなんやかんやのため、禁酒を考えたこともあります。
禁酒初日
今日から禁酒をするぞ!と心に固く誓った朝、まずは仕事から帰ったときに氷ができているよう、冷蔵庫にお水をセットします。ついでにグラスも冷やしておきます。
「こ、これはお茶用なんだからね!」
職場近くの小料理屋でテイクアウトしたお弁当を食べる昼、このおかずなら日本酒(辛口)だな、と想像します。
「別に想像しただけだから!大丈夫だから!!」
逃げるように職場から立ち去る夕方、帰り道のスーパーで冷凍枝豆とキムチを買います。
「おつまみじゃないもん。好きなんだもん。」
お風呂が溜まるのを待つ間、お茶でも飲もうと開けた冷蔵庫からあと1本になっていたビールを取り出します。
あと1本しかないしねえ、飲むにはアテが必要だしねえと、買ってきたばかりの枝豆をレンチンします。(流水解凍は待てません。)
一気に缶を煽って、ぷはーっと言ったところでちょうどよくお風呂が溜まりました。
「1本残しといてもしょうがないじゃん?」
お風呂にゆっくり浸かります。その間に、今日から禁酒、などと思い出したりはしません。
「いい湯だな、アハハーン!」
お風呂上がり、ガシガシと頭を拭きながら、冷やしておいたグラスに今朝用意して行った氷を入れます。
そこに角瓶と炭酸水を一気に流し込みます。
「・・・・・・(全集中)。」
シュワシュワと音を立てるグラスをぐいっと傾け、うんまっと声が漏れたところで、買ってきたキムチと冷蔵庫にあった豆腐を並べ、ハイボールとアテを楽しみながら晩御飯(肴)を作ります。
「飲みながら作るメシ、うまいのよ。」
引き出しからさきいかを見つけたので、最後に日本酒も嗜んでベロベロになります。
「えへへ。いいもん、みーっけ。」
あしたもしごとです。もう寝ます。
禁酒2日目
今日こそ、禁酒初日!と心に固く誓った朝、二日酔いで痛む頭で、昨日使い尽くした氷のセットをします。ついでにグラスも冷やしておきます。
「お茶用なのよ。ほんとだってば!!」
職場の近くのイタリアンのお店でテイクアウトしたパスタを食べる昼、これならチリ産の赤だな、と想像します。
「想像しただけ!今日は大丈夫だから。ほんとだから。」
逃げるように職場から立ち去る夕方、帰り道のスーパーで、ポテトサラダと竹輪とレモンを買います。
「食べたかったの!ちょちょーいって摘むのにいいなーって思ったわけじゃないもん。」
帰宅してすぐ、シャワーを浴びます。昨日はきっとお風呂が溜まるまでの時間がまずかったのです。
「手持ち無沙汰な時間が私をダメにする。」
頭をガシガシと拭きながら、冷やしておいたグラスに今朝用意して行った氷を入れます。
そこに角瓶と炭酸水を一気に流し込み、買ってきたレモンを半分に切って絞ります。
「・・・・・・(全集中)。」
シュワシュワと音を立てるグラスをぐいっと傾け、うんまっと声が漏れたところで、買ってきたポテトサラダと竹輪を並べます。
飲みながら晩御飯(肴)を作ります。
「はっ!いつもの流れでつい・・・。でも作っちゃったらしょうがないもんね。もったいないもんね。」
冷蔵庫のポケットから燻製チーズが出てきたので、最後にワインも嗜んでベロベロになります。
「ぐふふ。週末の私、いい仕事するやん!!」
あしたもしごとです。もう寝ます。
禁酒3日目
今日こそ、今日こそ禁酒!と心に固く誓った朝、やっぱり痛む頭で考えます。氷を作っておくのが良くないのかもしれない。今日はやめておこう。
「氷があるからいけないのよ。絶対そう。」
バタバタと忙しいお昼、食事の時間が取れませんでした。
「お腹すいた・・・。」
逃げられなかった夕方、遠くを見つめながら残業します。
「脱・出・失・敗・・・。」
やっと解放された20時、帰り道のコンビニに寄ってホットスナックコーナーのチキンと漬物とお好み焼きを買います。
「今なら何でも食べられる。いくらでもいける。」
帰宅してすぐ、とりあえずシャワーを浴びます。
「オナカスイタ。ツカレタ。オナカスイタ。」
頭をガシガシ拭きながら、氷も冷えたグラスもない冷蔵庫の前で立ち尽くします。
朝の自分を殴りたくなります。
「ナンデーーーーー!!!!」
しょうがないので、買ってきたチキンにかぶりつきながらお湯を沸かします。
大きめの耐熱グラスに芋焼酎を注ぎます。
「・・・・・・(全集中)。」
沸いたお湯をグラスに注ぎ込んでから、漬物をポリポリしながら、お好み焼きをレンチンします。
「飲まずにやってられっかい。」
時間が経つにつれて、焼酎の味が濃くなっていくおかわりを作っては飲み干し、ベロベロになります。
禁酒4日目の朝
どばんさんは悟りの境地に達します。
どうせ飲まずにいられないなら、無駄に罪悪感を抱くできない禁酒など志すもんじゃない、と。
そして今日も、どばんさんはどこかで大好きなお酒を嗜んでいるのです。
今日は、清世さんからご紹介があった企画に参加です。
何の絡みもないくせに、勝手に想像して書いて本当にすみません。
お気を悪くされたなら、さらにすみません!
お言葉に甘えて、禁酒に失敗していただきました。
寛大なお心でご容赦いただければ幸いです。