藤井の8冠がくずれて、羽生7冠の例から思うこと
(敬称略)
将棋・叡王(えいおう)のタイトルが藤井聡太から伊藤匠に移った。藤井の8冠独占が崩れた。
藤井8冠が生まれたとき、多くの人がこう思った。
「彼の若さと強さを考えると、8冠独占は5年10年と続くのではないか」
実際には8か月しか続かなかった。
ここで誰しも連想するのは、かつての羽生義治の7冠だ。あれも「何年か続く……」と言われながら、5か月ほどしかもたなかった。そして羽生は、そのあと徐々にタイトルを失っていった。はたして藤井は……
しかし問題!?はそういう個々の棋士の話ではない。
いま将棋界は空前のブームに沸いている。だがそれはほとんど藤井人気によるものだ。
「藤井1強より、ライバル出現のほうが、将棋界はさらに盛り上がる」という意見もあるがぼくは必ずしもそうは思わない。藤井がタイトルを失っていったら、将棋人気も潮がひいていくのではないか。撤退するスポンサーが現れるかもしれない。(ほくはそれを願っているわけではない)
いずれにせよ、特定棋士の人気にまるまる頼るのには、危うさを感じる。