シートン動物記 オオカミ王ロボ・シルバーフォックスドミノ
オオカミ王のロボ、キツネ・シルバーフォックスのドミノのお話。
二つの物語に共通するのは、2匹とも他のキツネやオオカミと違い
体格が大きく体力があり、聡明で頭が良い為、人間の罠も見極めることができるということだ。動物は生きるために時に人間の領域(家畜や耕作物)を荒らすことがあるため、人間の世界では、動物が悪役として映し出されることがある。
しかし、この2冊は動物に焦点が当てられているため、動物たちが生きるために必要な肉として家畜狩りをして人間の憎悪を買い、捕まえることが難しい(ロボやドミノのような)動物は懸賞金を賭けられ賭博対象として狩られる様は、人間の非道で自分勝手な部分が際立っているようにも思える。
また、この2匹には大切なパートナーがいた。大切な存在がいるからこそ、
聡明な頭脳を使い、死線を掻い潜りながら狩をし、群れや家族を守ってきた。生きるための危機察知能力も高め、人間の罠の種類・匂い・場所を
見極めることができる動物たちには感銘を受ける。
2匹を狩ろうとする人間が色々な罠を仕掛けるが、その罠に気づき
人間に屈辱を与えるために罠をそのままにせず工夫を凝らす様(匂いを変えたり、一箇所に集めたり)も動物の頭の良さを感じた。
(人間に屈辱を与えるためというより、仲間に知らせるためにしているようにも思えるが・・)
ここで思うのは、人間と動物の理不尽な差だ。キツネやオオカミはいくら頭がよく危険察知能力が高く罠を避けられても、人間や猟犬を目の前にすると
逃げるしか術がない。しかし、人間は銃や罠などの道具や毒物を使ったりと
あらゆる方法でオオカミやキツネを狩ることができる。加えて、狩猟犬も
使うため、ロボやドミノのような平均以上の体格、頭脳、体力を備えて
いないとすぐに人間の餌食となってしまうだろう。
そして2匹の共通点は、いくら聡明で様々な罠を掻い潜れる能力があっても、愛するパートナーが罠にかかったり危ない目に遭っていると、命を張って守るところである。
ロボの場合は、パートナーのブランカが罠にかかり死んでしまった為、死んだブランカを何日も探し、最終的にブランカの匂いに釣られて罠にかかってしまう。
ドミノはパートナーのスノーラフが猟犬に追い詰められたところを助ける為に、自分が囮になるという危険を顧みない行動に出る。
「力は愛するものを守るためにある」と行動で示してくれているような、
動物の行動から学ぶことは多いと感じた。また、思考を凝らし危険を察知する能力を身につけることで、力では敵わない相手にも立ち向かうことができると、この2匹から学んだ。
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