ジョーカー・ゲーム ダブル・ジョーカー 柳 広司
従兄弟に勧められ、この本を読むことになった。
日本の戦時に活躍した、スパイ機関のお話。戦時中の日本は、特攻隊があったように日本の為に死ぬことが美徳とされた。兵隊は、日本の為に命を捧げるよう教育され、特攻隊に任命されると国の為に命を捧げられることに感謝しなければならない。しかし、このジョーカーゲームで出てくるD機関と言うスパイ機関は死ぬことは最悪手とされている。悪手とされている理由は、死ぬと話題になるからだ。スパイは誰にも気づかれてはならない。まして、話題になる人になどにはなってはいけない。人の「死」は人を惹きつけ、警察を動かせる。生きて情報を伝達し、任務を遂行することがD機関の使命である為、決して自ら死を選んではいけない。
本書を見てもらうと分かるが、D機関の訓練は過酷である。その過酷な訓練を耐える為に必要なのが、「自分にはこの程度くらいできて当たり前」と言う自尊心だ。D機関の優秀なスパイにとって、任務を遂行できる為のモチベーションは己の自尊心のみである。
自尊心だけで、過酷な訓練も任務も遂行できるものなのか?そう疑問を抱くが、D機関のスパイはそれを難なくやってのける。いや、難なくやってのけなければならない。本書では、そのD機関のスパイたちがどういった方法、思考、手段で任務を遂行するのかを追うことができる。機密情報を得る為に、状況を素早く判断し、先を予想する様は痛快だ。
ジョーカーゲームのシリーズは4作あるが、どれも面白くてすぐに読み終えてしまった。