今年のノーベル物理学賞は「人工ニューラルネットワークによる機械学習を可能にした基礎的発見と発明に対する業績」でJohn J. Hopfield氏(プリンストン大学)とGeoffrey E. Hinton氏(トロント大学)が受賞しました。
これはある意味歴史的な出来事ではないか、ノーベル物理学賞の潮目が変わったような気もします。今年のノーベル物理学賞について、少し考えてみるとAIとサイエンス、今後の技術の発展の方向性やそれが私達に与える影響が見えてくるかもしれません。意外と身近な話かも?
歴代のノーベル物理学賞を振り返ろう
今年の物理学賞の前に、まず歴代のノーベル物理学賞の受賞者と受賞理由を振り返りましょう。ちなみにこの表はPerplexity AIで調査し、ChatGPTで表にしています。ファクトチェックはGenspark Autopilot Agentで実施。ファクトチェックまでAIで実施しているのでもしかしたら若干間違いはあるかもしれません。その場合はご連絡ください。
※表をnoteに埋め込む手法はこちらの記事を参考にしています。
ノーベル物理学賞の変遷まとめ
この表をもとにノーベル物理学賞の変遷をまとめると以下のようになるかと思います。
1970〜1980年代: 素粒子物理学、量子力学の基礎理論が中心。
1990年代: 宇宙物理学、高エネルギー物理、技術革新(レーザー/通信)。
2000年代: 量子力学の応用、ナノ材料や半導体技術。
2010年代: 宇宙論、量子情報科学、重力波観測。
2020年代: 気候変動、複雑系物理、AIと物理学の融合。
基本的には、基礎理論の発見、物質の性質、宇宙の仕組みに関わる理解が中心テーマのようです。計算科学が中心となるような受賞としては、2021の複雑物理系の理解への貢献(地球の気候の物理モデル化)が挙げられるかと思いますが、こちらも計算科学が受賞したということで話題になったと記憶しております。とはいえ、計算科学が直接的に気候変動という物理的な現象を説明する一助となった意味で、今年の受賞とは異なると考えています。
今年の物理学賞が意味するところ(雑感)
近年は2014年の青色発光ダイオードや2000年の集積回路など技術応用に関する受賞も徐々に増えてはいましたが、計算科学の理論が物理学賞に選ばれるのは非常に異例だと感じました。AI(人工ニューラルネットワークやボルツマンマシン)が物理を解き明かすツールを発展させたとして捉えると「なるほど、そういう観点もある。」と思います。しかし、これまでツールが受賞した例としては、1997年のレーザー冷却技術、2018年の光ピンセット等で、これらは現象解明に役立つ装置・実験手法です。
今年の受賞は、人工ニューラルネットワークといったデジタルツールで、データ解析・モデリング等において強力な手段となるようなものです。つまり、計算科学やデジタル技術の理論が物理学(現実の世界)に大きな影響を与える時代に移行していると言えるのかもしれません。
そして、今後に関する妄想
GPT-o1が発表され、推論を重視するAIの登場、いかにAIに深く考えさせるかというトレンド、そしてAI技術とロボット技術の融合、これらが今後数年で私達の生活を一変させる可能性が見えてきています。このタイミングでAIに関連した技術がノーベル物理学賞を受賞したというのは、AIが科学に及ぼす影響、ひいては私達の生活に及ぼす影響の大きさを示唆していると言えるのかもしれません。
AIの推論力がこのまま強化されていくとどうなるのか、人が自由になるのか、それともAIに使われる存在となるのか、なかなか深いテーマだなと思いながら今年のノーベル物理学賞をぼんやり眺めていました。
※そういえば、AIと人の関係という意味で、本日2024年10月9日こんな興味深いニュースが。。。
デジタル空間が現実世界と融合してきている現代においては、人とAIの競合が生じる可能性があるのかもしれません。