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AIはどこまでいったら仕事を変えるのか〜OpenAIのAIレベルから考える

以前の記事でAIの5つのレベル(AGIへの5ステップ)についてかるく触れました。「自律的に行動」や「タスクを実行」、「イノベーションを生み出す」など何やら凄そうに思うわけですが(多分実際にすごい)、仕事(業務内容)によってそのインパクトまでの時差が大きいと考えています。
というのも私たちは物理的な存在で、AIはデジタルな存在だからです。

OpenAIによるAGIへの5ステップ

デジタル空間で完結する仕事に関してはOpenAIが提案しているAIのLevelがダイレクトに影響を与えるだろうことが予測できます。一方、接客業のような人が人にサービスすることで成立する「物理的な」仕事は単純に先程のAIのLevelだけではインパクトを測れないと考えています。AIはデジタルな存在なので、AI単体では物理的なことにアクセスする手段が必要だからです。つまり、仕事への影響度はAIレベルだけではなく、ロボット技術レベルも考える必要がありそうです。
今回はAI レベル、ロボット技術レベル両軸を考えたときに、どこまでいったら仕事にどのようなインパクトを与えるのか、AI(GPT-4o)と議論しながら考えてみましょう。


各業態とロボットレベル&AIレベルのインパクト

次のような6つの業態に分けました。
研究開発、ソフトウェア開発、製造業、一般オフィス業務、接客業、感情サポート
粒度がバラバラな気がしないでもないですが、技術インパクト(研究開発・ソフトウェア開発・製造業)、仕組みインパクト(オフィス業務)、対人インパクト(接客業、感情サポート)のような感じで分けています。
それでは、各業態についてロボットとAIのインパクトを考えていきましょう。
これらのインパクトを考慮するにあたり、業態ごとにインパクトレベルを5段階に分類し、それぞれに必要なロボットレベルやAIレベルをGPT-4oとの議論を通じて表にまとめています。

1.研究開発

まずは研究開発です。単純補助型ロボットですらまだまだ導入は進んでいません。レベル2までは人のサポート(決まった実験)、レベル3は仕事の一部を任せる事ができる、レベル4は実験そのものをデザインできる、5は研究を自律して行うレベルといったところでしょうか。

物理・化学系研究開発におけるロボット・AIインパクト

自分の研究開発の現場を見る限り、レベル2が2030年、レベル5に至っては少なくとも10年以上はかかるのではないでしょうか。JSTのプロセスインフォマティクスに関する報告書においても本格的なプロセスインフォマティクスは10年後以降(2030年以降)と予測しています。

国立研究開発法人科学技術振興機構 研究開発戦略センター「材料創製技術を革新する プロセス科学基盤」より引用

2.ソフトウェア開発

2以降はすみません、私は門外漢ではありますのでGPT-4oの知識に大部分を頼っています。

ソフトウェア開発におけるロボット・AIインパクト

基本的には物理的なロボットを必要としないため、AIレベルの達成時期が業界インパクトレベルの達成時期と一致していると思われます。ここ最近ダリオ・アモデイ(Anthropic CEO)は2026年にAGIが達成されるとの見通しを個人的な見解として述べています。

※ちなみにサム・アルトマン(OpenAI CEO)は数千日以内に人工超知能(ASI)が達成されると述べています。

※ヤン・ルカン博士(ニューヨーク大学教授、Meta社ヴァイスプレジデント)は2026年にAGI達成を予測しています。

これらの状況から、ソフトウェア開発は2030年までにはAIから非常に大きな影響(レベル5?)を受けると想定されます。AIが実質的にソフトウェア会社を創立しているかもしれません(社会ルールの変化については時間がかかるためあくまで「実質的」)。

3.製造業

製造業については、レベル2の異常検知等については徐々に製品化されています。レベル3は製造ラインの自律的な管理、リソース配分するためにロボット同士が協調しながら作業するためAIレベルもエージェントレベルが必要なのでしょう。

製造業におけるロボット・AIインパクト

レベル3についてはまだまだだと思っていましたが、先日のテスラの超未来的なイベントで高度な操作や自律移動が可能になる未来が見えてきている用に感じています。レベル3の導入はここ数年、2030年までに急速に進むのでしょうか。

どんどん進んできていますねぇ。。。

4.オフィス業務

オフィス業務についてはデジタル化が進み、物理的なロボットの必要性が少なくなるという前提でインパクトレベルを設定しています。必要なAIレベルに若干のクエスチョン(インパクトレベル2にAIレベル2が必要かどうか)。

オフィス業務におけるロボット・AIインパクト

ここ最近、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)の導入がオフィスで広がっています。さらに現在のGPT-4oの性能でもレベル2の達成は可能であるためレベル2を達成している現場はありそうです。AIレベルが直接的にインパクトを与えることが可能だと思われます。オフィス業務でも2030年には完全自律型オフィス運営が可能となるのでしょうか。

5.接客業

接客業でのAI活用も徐々に進んでいます。しかし、レベル2以降で実際に効果的な例は現状あるのでしょうか。。

接客業におけるロボット・AIインパクト

レベル1については、単純接客ロボットは一部の飲食店(例えば焼肉きんぐ)で実際に導入されています。

人の感情理解が重要なAI技術となってくると思いますが、これはOpenAIのAIレベルとは別軸でしょうか?感情理解や感情表現のAI技術レベルの進展が大きな影響をあたえると思われます。最近OpenAIからリリースされたアドバンストボイスモードでは、受け答えに感情表現が加わっており、意外と技術の進展は早いのかもしれません。

6.感情サポート

感情サポートは人そのものの存在に関わるものだと思っています。レベル5は完全自立型恋愛ロボットで、人の恋愛対象が人以外のものに変わってしまう可能性すらあり、人口動態に与える影響は計り知れないでしょう。

感情サポートにおけるロボット・AIインパクト

レベル5に到達した時点で、人が徐々にロボットに置き換わる未来が見えてきてしまいます。ただ、接客業同様に感情理解&表現のAI技術、それに加えて表情や仕草等の高度なロボット技術が必要になると予測されるため、特に代替に時間のかかる領域かと想像します。
と思っていましたが、ここ最近の中国のロボット技術の進展を見ていると、需要の強さからもしかしたら意外と近い未来なのかもしれません。。。

まとめ

以上、誰に刺さるかわからないような記事でした^^; ここ最近のAIの動向で「AGI実現が近い!」などの声もちらほら聞こえてきていたので、「業界によって時差あるよな」との自分の感覚を文章としてまとめておこうと思い、記事にした次第です。業界によって時差はあるものの、やはりAIのインパクトは大きく、物理的な領域と作用しあって加速し、今の想定を超えた速度で各業態にインパクトを与えるのかもしれません。AIをいかに使うのか、ではなく、AIといかにうまくやっていくかを考えるフェーズに来ているような気がします。

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