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close your eyes MV 宮本浩次

 『宮本浩次は2次元からの使者ではないか?』と思うことがある。描き手の初期衝動を誘発するのに余りあるフォルム。3次元で成立しているのが不思議なくらいの姿を目にする度に『絵になる人だな…』と思う。

 そして、今回のMVには漆黒に落とし込まれた宮本浩次が際立つ絵画のような美しさがあった。

 一面濡れたアスファルトに反射する外灯の明りが印象的で、そこに黒のトレンチコートを着た宮本浩次が映し出される。艶やかな黒の背景が、乾いた黒を纏う宮本浩次を一層際立たせて「黒が似合う…」とドキッとさせられた。ストーリーも無く、只歌うだけの姿に今の宮本浩次がそのまま出ているようで、とても新鮮に目に映る。そして、彼そのものが何か物語っているような成熟した面持ちに引き込まれてしまう。さらに、経験を重ね成熟するにつれて人は健気になっていくのだろうか?と思わせるくらいに「輝きたい、格好よくありたい。」と公言する男が只々健気に歌う姿は、本当に格好よく輝いて見えた。

 あと1つ印象的だったのが暗闇に立つ電話ボックス。唯一、煌々と明るい電話ボックスが彼自身を表わしているように見えて、曇るガラスも彼が放つ息と熱を帯びているような濃密さを感じた。

 瞬間、瞬間の美しさを捉えながらシンプルに流れていく映像がとても心地よく、目を奪われる一瞬がやってくる度に一枚の絵を見ているような気分になった。これも、映像を作る側の宮本浩次を格好よく撮りたいという並々ならぬ思いと技術、それに応えられるだけの今の宮本浩次が作り出した輝きなんだろうなぁ…って曲の感想も無しに終わるってファンとしてイイのか?


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