食べチョクさんの貢献
おはようございます。悠々ファームのクニです。
早速ですが「食べチョク」はご存じですか?
簡単にいうと野菜などの一次品のオンライン販売なんですが、このコロナ過で大変注目を浴びております。
詳しくは食べチョクさんのホームページを見て頂ければと思いますが、外食産業でバイヤーとして国内外の一次産業の現場を見てきた経験から、食べチョクさんの日本の一次産業への貢献は大変素晴らしいと思っています。
現在の流通
一次産業の商品、例えば大根やトマトなどを一般的な卸売市場を経由して最終消費者に届けると、農家さんが受け取れるの小売価格の50%弱だそうです。
詳しく知りたい方は、農林水産省HPにある食品流通段階別価格形成調査を見てください。
しかし、その50%弱には野菜を作るための肥料などの農業資材、作業するための人件費など様々な経費も含まれているので農家さんの手元に残るのはもちろんもっと少なくなりますし、例えば作物の違いや農場の大きさなどでその割合は変わります。
食べチョクさんの貢献
食べチョクさんの大きな貢献は、より多くの農家に新しい販売の選択肢を届けたこと、そして、消費者の一次産業への関心を増やしたこと、と私は思っています。
これまでも、ご自身で卸売市場以外の販路を築いている農家さんはおられ、例えば10%弱(販売金額ベース)の農家さんは直接消費者に販売し、その場合の手取りも80%程度だそうです。
その方法を農家が簡単に選べるようになったのは大きなことだと思います。
実際には、消費者に直接販売することで問合せだったり発信だったりとか農家さんがやらくてはいけないことは増えますが、食べチョクさんが集客だけではなく発送業務や問合せサポートなどそのハードルを下げる取り組みをされていますし、やっぱり農家さんのこれまでの”作るだけ”から”販売まで”へのチャレンジを応援したいと思っています。
あと、農家さんからの直接の発信により、消費者の方々が生産現場への興味を大きくしているとも思っています。
日本のスーパーなどの小売りは同じような商品を置いていることが多いので、そうすると消費者が選ぶ基準って価格だけなのが今の状況ではないですか?
例えば、価格の優等生としてよくセールに使われる”卵”。これが欧米だと日本で主流の”ケージ飼いの卵”だけでなく”平飼いの卵”も一緒にスーパーに置かれていますが、値段は3倍は違います。しかし、それが欲しい消費者は3倍の値段を出して買っています。
日本の場合はやっぱり消費者が「知る機会がなかった」ので買わない状況だと思いますが、農家さんの発信により「知る」ことができ、TPOに合わせて選んで買えるようになったのは消費者にとってもメリットではないでしょうか。
正義の反対は悪ではないよ
そうすると、今までの流通が問題で、食べチョク代表の秋元さんもブログで書かれていましたが、「農協って敵ですよね?」て考える人もいるようです。
これは間違いなく言えますが、「それは違います」!
例えば、北海道では毎年何百トンもの野菜をつくる農家さんもいますが、その方々が食べチョクさんは使わないでしょう。(もしかしたら、何百トンのうちの一部はあるかもしれませんが) 彼らは農協・卸売市場を利用したり、または、直接に製造業や外食産業に販売して、消費者への販売はその先にお任せします。
また消費者の価値観も様々ですし、日常の食事をすべて食べチョクさんから買うのもお金や手間の問題で現実的ではないと思います。
食べチョクさん、そして、農協・卸売市場の目的は同じで、「消費者のために農家さんが育てた商品を、消費者に届ける」なんだと思います。
食べチョクさんはこだわりのもつ小規模な生産者を直接消費者につなげる方法で、農協・卸売市場はより多くの消費者に届けるために効率的な方法で、とやり方がが違うだけなんですよね。
正義の反対は、別の正義ですよ。
持続可能な一次産業へ
食べチョクさんのおかげで農家さんそれぞれに合う販売方法を選べることになり、販売で苦しんで辞める農家さんが減るでしょう。
それだけでなく、農家さんの後継者問題にもいい影響があるのではと期待しています。私の経験の中では、いい販売先を持っている農家さんほど後継者がいらっしゃったので。
現在はトレーサビリティと言われる”消費者が作っている人(農家さん)がわかる”仕組みが普及しましたが、農家さんは自分の作った商品の行き先がわからないという情報が一方通行の状況です。
食べチョクさんが農家さんと消費者をつないでくれたおかげで、消費者から農家さんへのフィードバックができ、この相互の情報のやり取りが次の世代には農業を継ぐ一つの動機になるのではと、個人的に推測しています。
最後に
牛飼いになる私としては、手数料の面で野菜とは単価の違うお肉を食べチョクで販売するのは難しいかなと現状では思っています。
しかし、販売手法については色々と学ぶことも多いので、引き続きフォローしていきたいと思います。
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