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息子、"美味しい”への飽くなき探究心は続く

「一緒に夕飯を作りたい」
息子からそう申し出があったのが1週間前のこと。
それからほぼ毎日、一緒に夕飯を作っている。
息子は好奇心が旺盛なのに加えて、移り気も早い。
ハマれば一直線でそれ以外は考えられないほどになるのだが、一度興味を失うと、というか彼的に満足すると、一切の興味を失う。
「やってみたい」
そう思ってくれた時がチャンスなのだ。
正直私1人で作った方が早いし、ちょっと面倒くさいと初めは思っていた。

しかし、1週間経った今、毎日の夕飯がとても楽しいのだ。


初めはハンバーグだった。
彼は嬉しそうに挽肉を捏ね、形を作り、焼くときは油が跳ねるのにビビりまくって遠巻きから眺めていた。
「サラダを盛り付けてくれる?」
と頼むと、3人分のお皿にそれぞれちょうど良い量で盛り付けてくれた。
トマトが大好きな息子はトマトもキレイに盛り付けた。
「すごく上手に盛り付けたね!」
そう私が声をかけると、
「キレイに盛り付けたほうが美味しそうに見えるかなと思って。」
と彼は得意気に答えた。その通り。美しい盛り付けは美味しさを1.5割り増しにする。

その後は、ミートポテト(ミートソースをジャガイモに乗せた料理)、野菜炒め、唐揚げ、水炊き鍋、手巻き寿司、ツナジャガコロッケ。
そして今日は、カレイの煮付けを作った。


ハンバーグを焼いている時、
「おぉ!いつものお肉になってきた!」
コロッケに卵液をつけた時、
「卵がつくとパン粉がくっつくんだね!」
ジャガイモを潰した時、
「意外と力がいるんだね!」
カレイを煮汁に入れた時、
「ふわぁって膨らんだよ?!」

私にとっては当たり前の料理の光景が、彼にとってはトキメキや発見の連続なのだ。
「こうやって美味しくなるなんて…料理って魔法みたいだね!」
何かの舞台のセリフみたいな言葉を目をキラキラさせながら話す彼。

彼が毎日手伝ってくれる理由。それは、
「自分で作った方が美味しく食べられるから。」
らしい。
あくまでも料理が好きだから、ではない。
もちろん嫌いではないのだが、それよりも"食べる”という行為を最大限楽しむ為に自分も一緒に作る必要があるらしい。
実に彼らしい理由だと思った。
彼は、自分の心がワクワクすることへの探究心を惜しまない。
その探究心にこちらはちょとついていくのが大変な時もあるが、重い腰を上げて同じ目線で一緒にやってみると、気づけば私や夫の方が夢中になっていた、なんてこともよくある。

自分でやってみる。
そして、今まで知らなかった新たな発見に驚く。
さらに、やればできるという自信がつく。

何事にも好奇心を持ち、自分の幸せのための労力を惜しまない彼の考え方に、今の自分に必要な大切なことを教えてもらった気がする。


「美味しいぃぃぃ!やっぱり一緒に作ると最高だね!」
口一杯におかずとご飯を掻き込み喜ぶこの姿が見れるなら、多少面倒な時はあるけれど、できる限り一緒に思いっきり今を楽しみたい。
きっといつか、この時間を、この味を、思い出す時が来ると思うから。

怖がりな息子。
包丁も、フライパンから跳ねる油もまだ怖いけど、きっとそのうち大丈夫になるよ。そしたらもっとたくさん美味しいご飯を一緒に作ろう。

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