うたた寝

左目の下瞼に出来物ができた。
いわゆる、"ものもらい“というやつだと思う。

前回の初投稿を終えた直後、急に左目の視界に白いモヤがかかった。
ゴミか?と思い洗面所の鏡でチェックしようと下瞼を下げた時、白い丸いものを見つけた。すごく美しい物で例えるなら、それは小さめの真珠のような感じ。
「こんなにでっかいゴミが入っていたのになんで痛くなかったんだろう」
と疑問に思い取り除こうとした。しかし、それはゴミではなく私の瞼にくっついた出来物だということに気づいた瞬間、驚きと共に、私に全く気づかせることなくここまで大きくなっていた、ものもらい側のドラマ的なものを感じた。

私が店の仕込みをしている間も、
お客様に笑顔で「いらっしゃませ!」と言ってた時も
子供と"都道府県全部言うゲーム”をしていた間も、
夫と2人、店の開店前にくだらない言葉遊びをしていた間も、
ご飯を食べていた時も、
お風呂に入っていた時も、
眠っていた間も、
下瞼の"それ”は、確実に大きくなっていたのだ。
そしてあの日、いきなり自分の存在をアピールしてきた。
「ここまで大きくなりましたよ。」と。

幸い痛みもなく、少しの痒みと違和感で症状は落ち着いている為、とにかく触らないように気をつけながら、治るのを待っているところだ。
3日目にして、だいぶ小さくなってきてくれている。

考えられる要因としては、結膜炎になっていた息子からなんらかの細菌がうつった可能性と、ここ最近の夜ふかしによる寝不足だ。

寝不足は体に良くない、と一般的にも当然のこととして周知されていると思う。
自分自身もそれは体感的に分かっていることでもある。
でもやめられないのだ。
"うたた寝”が。

お父ちゃんと寝るのがブームの息子。
息子のリクエストで夫は毎日、自作の子守唄を2回、そして銀杏BOYZの「夜王子と月の姫」をフルコーラスで歌うのが寝かしつけのルーティーンになっている。
その間私は、息子が眠り夫が戻ってくるまで、リビングでTVを観て待っている。
しかしもうすでに、私も、モーレツに、眠いのだ。
でも、冷凍庫には息子に内緒にしてあるアイスクリームがある。
それをゆっくり食べながら、夫と一緒に録画した『有吉の壁』とか『水ダウ』とか『クレイジージャーニー』が観たいのだ。あと、YouTubeのジャルジャルアイランドとか。
寝かしつけにいった夫も、高確率で息子と寝落ちしてしまう。
そのまま寝かしてあげたほうが良いのでは…と思われてしまいそうだが、そこはちゃんと「寝る?」「いや、起こしてほしい」を寝かしつけに行く時点でアイコンタクトで情報共有済みである。(息子は1人で寝るのが怖いので、お父ちゃんはあくまでも一緒に寝るていにしておく必要がある為、口頭ではなくアイコンタクトで確認すると言う方法にいつの間にかなった)
夫のいびきが聞こえてきたら、起こしに行く。
眠りの浅い夫は、少し足をちょんちょんつつけば目を覚ます。
リビングに降りてきたら
「今日は何観る?」「これまだ観てないな」
なんていうちょっとしたやりとりの後で、T V鑑賞スタートだ。
アイスを食べながら、あ〜、やっとリラックスタイムだ〜。
なんて喜んだのも束の間。
番組の3分の1程経過した時点から、もう記憶がない。

そう。うたた寝、だ。
夢の中のような感覚でなんとなく記憶に残っている場合もあるが、大抵ガチ寝してしまっている。夢すら見ない。深い眠り。

夫に、布団で寝よう、と起こされた時には、もちろんTVは終わっていて、あんなに心待ちにしていたリラックスタイムは一瞬で過ぎてしまっている。

それなら最初から布団で寝ればいいじゃないか。
自分でもそう思う。
でも、あのT Vの賑わいをまどろみながら眺める時間がどうにもやめられないのだ。何にも考えずに夫と2人、くだらないことであーでもないこーでもない言うあの時間が大切なのだ。
結局うたた寝てしまうのだけど、それでもやめられない。
馬鹿馬鹿しいと思いながら、体に良くないと分かりながら、心安らぐ時間をやめられない。そんな自分の弱さにうんざりしてしまうけど、その弱さこそが自分を自分たらしめているような気すらしている。

しかし、やっぱり健康は何にも変えられない大切なものだ。
たかが、ものもらい。されど、ものもらい。
これからも夜の"まどろみタイム”を楽しむ為に、今日は早めに寝ようと思う。
…ちょっとだけ、本当にちょっとだけ、録画した「有吉の壁」観てからにしよう。



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