切り替え上手にはまだ遠いけど。

昨日は休み明けで登校できなかった息子だが、今朝は元気よく学校へと向かった。
「明日は絶対に学校に行く」
そう昨日強く訴えた彼は、やはり有言実行な男だ。

『気持ちを切り替えてやろう!』
よく聞く励まし言葉。私はこの言葉があまり好きではない。
状況によってはすぐに切り替えられることもあるのだけど、そうも簡単に行かないことだってある。
切り替えられるならとっくに切り替えてる。それができないからそんな自分に対して嫌気がさしたり、腹が立ったり、落ち込んだり、涙が出たりするのだ。
そんな私も高校時代、部活でやっていたバレーボールの試合中、ミスした選手に「切り替え!切り替え!」と連呼していた。自分がミスした時に周りから同様の言葉をかけられて切り替えられたことはないので、多分あんまり意味のない言葉がけだったと思う。何だか惰性で口から出てるだけみたいで真実味を感じない声がけだったけど、他にかける言葉もなかったから仕方ないと思っている。
(もしかしたらこの時の経験でこの言葉がちょっと苦手になっているのかもしれないと、今書きながら何となく思った。)

ここで1つ誤解をしてほしくないのは、私は切り替えが早い人を気嫌いしているわけではないのだ。むしろすごく憧れるし、何なら真似してみることだってある。
しかし、根っからのそれと、それっぽくしている自分ではやっぱり違うもので。
それっぽく切り替えたつもりでいても、後に『反動』がくる。
押さえ込んだ不安と苛立ちの暴発だ。
そのせいで自分の大切な人に何度も心配をかけてきた。

息子が泣きながら「今日は学校に行きたくない」と言った時、少しホッとしている自分がいた。
もちろん元気に学校に行ってくれることが1番であることに間違いはない。
しかしそれ以上に、
自分の感情に気付くこと。そしてそれを大切にできる人間になってほしい。
そう思いながら日々彼と向き合ってきた。(何でもかんでも受け入れるわけではないが、ここぞというタイミングの彼の感情には耳を傾けてきたつもりでいる。)
そんな彼が苦しい時に自分の心の声を出すことができたことにホッとしたのだ。
私もまだまだ切り替えが下手な人間ではあるが、この「自分の感情に気付く」という行為の大切さを知ってから、少しづつではあるが切り替える時間が短くなってきたような気がしている。

皆んなが行っているから。
皆んな我慢しているから。

きっとそんなこと、彼だって分かっているだろう。
子供は大人が思うより色々なことに気付いている。


「今日は行ける気持ちになってきた!」
朝の支度をしながら笑顔でそう私に話してくれた。
自分で自分の気持ちを切り替えることができた息子。
思い返してみれば彼はいつだってそうだった。自分が心底納得するまでは行動することを拒む人間なのだ。

ハイハイから歩き始めるまでちょっと時間がかかる子だった。
初めて1人で歩いたのは1歳6ヶ月を迎えてから。
子どもにもよるとは思うが、歩き始めってよちよち歩きで、危なっかしくて、すぐ”抱っこー!”がよくあるパターンだと思っていた。しかし、彼は、歩き始めたその日から、手を繋ぐこともなく、1人で1日中歩き続けていたのだ。
それを見た私の母が、
「多分この子、歩けなかったんじゃなくて、歩かなかっただけじゃない?」
と言った。私は歩く彼を見つめながら、
「多分、そうだと思う。」
と返した。
母とおにぎりを買って、彼が好きなように歩ける安全な場所へ連れて行った。
一生懸命歩く彼の後を必死で追いかけた、あの日を今でもよく覚えている。

これがきっと、彼の幼いながらの勇気と決断だったのかもしれない。
赤ちゃんから幼児への、切り替えの瞬間だ。
真意は分からない。だけど、ここまで彼を見てきて、そう感じている。
いつだって彼は、自分が納得するまで意思を貫く。そして必ず、自分自身の力で気持ちを切り替えて次のステップにあがることができる。
すごい強さの持ち主。親ながらに感心してしまう。

きっとこの先、自分が納得いかない瞬間にたくさんでくわすことだろう。
今も学校生活ではその連続なのだと思う。
もちろん、家族でいても彼に折れてもらわなければならないことも多々ある。
いっぱい泣いて、いっぱい傷ついて、いっぱい笑って。
自分の幸せを決めるのも、自分の感情をコントロールすることも自分次第。
「切り替えが早く見えているあの人」も、実はとっても努力してそうなったのかもしれない。人なんて分からないものだ。私のように、「そう見せている人」だってたくさんいるのかもしれない。


お正月休み明けの店は、溶けるほど暇だ。
今こうしてnoteを書き綴っている瞬間も、お客様のご来店を待ち構えている。
同業者の仲間が言っていた。
「お客さんが来るか来ないかは、お天気みたいなもの。自分ではどうしようもないことだからね。」
そう話す彼はお客様が来ない時は本を読んだり、アイスを食べたり。その状況に抗うことなく受け止めているようだ。もちろん、最初からそんな風に考えられていたわけではない。彼の経験がそうさせてきたのだと思う。
私もその彼の言葉を呪文のように頭の中で唱えてみるものの、まだまだ未熟者。不安でジッとしていられない。
だからパソコンを開いて、noteを書いている。
そうすると、何だか少し、気持ちが晴れてきたようなそんな気がしてくる。
noteはそんな私の”切り替え道具”の1つなのかもしれない。

最強寒波が押し寄せる週末。

人間の本能が「巣にこもれ!!」と命じているのだと思うことにして、今日は何となくやり過ごすことにする。




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