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Bリーグ全体を盛り上げたい!千葉ジェッツ公式YouTubeジェッツチャンネルの取り組み(後編)

MIXIデザイン本部 動画クリエイティブ室メンバーが担当する「千葉ジェッツ公式YouTubeチャンネル」の運営体制や、チャンネル登録者数が急増している背景と戦略を紹介した前編に続き、後編では千葉ジェッツのYouTube運用を担当するに至った経緯と現状の運用方法、さらに進化を続けるための取り組み事例についてご紹介します。

【スピーカー】
デザイン本部 動画クリエイティブ室 コンテンツディレクショングループ
折原 綾平

デザイン本部 動画クリエイティブ室 コンテンツディレクショングループ
沖浦 雅俊

どのように「壁」を乗り越えてきたか

沖浦:
ここまで千葉ジェッツのYouTube戦略についてお話ししてきましたが、このYouTubeチャンネル、私たちだけでは運用はできないのです。
ということで、ここから私たちが千葉ジェッツのYouTube運用を担当するに至った経緯と、現状の運用方法についてお話します。

まずは3年前にさかのぼります。
2017年にMIXIと千葉ジェッツふなばしがパートナーシップ契約を結んだことが始まりです。

始まりは2017年のパートナーシップ契約から

その後、2020年までは千葉ジェッツふなばしさんの社員1名がYouTubeの運用を行っていましたが、担当者が異動し不在となりました。

そこで私たち、デザイン本部動画クリエイティブ室コンテンツディレクショングループ(以下、コンテンツディレクションG)が過去にモンストのYouTube運用(現在は動画制作の支援)などを行っていて、他SNSチャンネルの運用経験も豊富なメンバーが揃っているなど、様々な実績があったため依頼が舞い込み、2021年の夏から千葉ジェッツのYouTube運用を担当することになりました。

しかしながら、運用を担当した当初、選手たちとの面識は全くありませんでした。私たちは選手の名前を知っていましたが、選手はもちろん私たちのことを知りませんでした。

そのような状況で、千葉ジェッツの広報チームの皆さんが私たちと選手たちの間に入り、私たちの目標を実現させてくれました。

千葉ジェッツ広報チームの皆さん

広報チームの皆さんは通常、メディア対応やSNSの発信などで選手に近い位置で活動しており、選手からの信頼も厚い存在です。そのため、私たちは広報の皆さんと協力し、役割を分担して動画SNSの運用を行っています。

MIXI側は企画立案から撮影、編集、公開までを担当していますが、広報チームの皆さんには撮影の交渉やスケジュール調整、動画公開後の反応など、私たちが制作した動画の最終的な監修までお願いしています。

MIXI側と千葉ジェッツ広報チームで役割分担して運用しています

選手のことをよく理解している千葉ジェッツ広報チームの皆さんが監修してくださるおかげで、ファンにとって見応えのあるエンゲージメントが高い動画を作り、公開できていると感じています。

その結果、YouTubeの登録者数が2021年の夏に運用を引き継いだ時点の4.8万人から、現在(2024年5月)は14.2万人まで伸ばすことができました。

さらに、昨年(2023年)、千葉ジェッツはBリーグを対象としたSNSフォロワー数が最もシーズン中に増加したクラブに表彰される「ソーシャルメディア最優秀クラブ」に選ばれました。
2024年5月には、2度目の受賞を果たしました!

千葉ジェッツの主要SNSをフォローしてくださっている90万人以上のフォロワーのみなさんが受賞を後押ししました!ありがとうございます

さらに、2023年元日から大晦日までの1年間において、日本の全スポーツチームのYouTube総再生数ランキングを調査したデータによると、千葉ジェッツは数々のメジャースポーツチームの中で、全体の5位になりました。

BリーグでのYouTubeチャンネル再生数は1位!
公式YouTube登録者数10万人突破で動画クリエイティブ室メンバーと記念撮影

こちらの写真は、チャンネル登録者数が10万人突破したときに記念で撮った写真なのですが、約2年半にわたる動画SNSの運営では、うまくいかなかったことも多々ありました。

手間とコストをかけて制作し、みんなでバズってくれ〜!と祈りながら公開した動画がぜんぜんバズらないこともありました。
しかし、そうした挫折にも諦めずに立ち向かう姿勢こそが、元テレビマンの雑草魂からくるものです。

こうした経験から、社内で改善できる点は見直し、進化を続ける取り組みが行われています。

第1の取り組み:サムネ道場

沖浦:
最初に取り組んだのは「サムネイルの改善」です。
YouTubeではクリック率が上がればインプレッション数(※)が増え、視聴回数も伸びる傾向があります。逆に、クリック率が低いと視聴回数の伸びにも影響します。

そこで、具体的な取り組みとして「サムネ道場」という勉強会を実施し、過去に配信したサムネイルを改めて作り直しました。
※インプレッション数:コンテンツがユーザーに触れた回数のこと

会議室にディレクターが集結し、自分たちが制作したサムネイルの勉強会を実施

この取り組みの目的は、クリック率の高いサムネイルを制作するための考え方や技術を向上させることです。
目標としていたのは、クリック率12%でした。

各自が異なる視点を持ちながら制作したサムネ画像のプレゼンを行い、お互いにフィードバックを行い、サムネイルの改善に取り組みました。
その結果、サムネ道場を実施後はサムネイルのクリック率を4.2%上昇させることができました。

第2の取り組み:ショート動画制作の勉強会

沖浦:
次に取り組んだのは、ショート動画制作の勉強会です。
この時期、千葉ジェッツでは多くのショート動画が制作・公開されていました。しかし、私たちコンテンツディレクションGのディレクターたちは、横動画には豊富な経験がありましたが、縦動画については独学で学んだり、流行のスタイルを分析しながら試行錯誤したりする時期でした。

TikTokerをゲスト講師としてお招きして質問会

そこで、現役のTikTokerを講師として招き、質問会を実施しました。
動画ディレクターの視点から、さまざまな質問をしました。この取り組みを通じて感じたのは、成果を出すためには時代に合わせてスキルや考え方をアップデートすることが非常に重要だということです。

特に、私たちのようにもうすぐ40代になるメンバーは、若者の文化が理解できなかったり、諦めそうになることも多々ありますが、時代に適応する意欲と行動が非常に重要なのだと思いました。

こうした取り組みの一方で、YouTube運用を開始した際に直面した「スポーツチームの運用だからこそ」の大きな壁がありました。

色々な取り組みを行ってきたが、それでも立ちはだかる運用の壁が

まず第一の壁は「アスリートの壁」です。
私たちディレクターチームは、これまで芸人、タレント、アーティスト、インフルエンサー、アイドルなどと仕事をしてきましたが、アスリートとの仕事は初めてでした。

この経験を通じてわかったのは、「アスリートは芸能人ではない」ということです。芸能人は自分の名前を売りたい、メディアに出たいという考えがベースにありますが、アスリートは試合で勝つ、活躍する、レギュラーになることが大前提です。

運用・第一の壁、アスリートは芸能人ではない!

そのため、アスリートを芸能人のように撮影するのは間違いでした。
しかし、私たちはそのことに気づかず、通常通り台本を用意し、撮影前に打ち合わせを行い、撮影中はカンペを出すなどしていました。
その結果、「YouTubeに関わると自分たちの練習時間が取られててしまう」というイメージを選手に与えてしまいました。

このとき、今までの常識が非常識であることに気づき、反省しました。信頼回復のために、練習場や試合会場、時にはオフの日にも選手たちのもとに通い、コミュニケーションを取りました。

そもそも、私たちの運用目的は、千葉ジェッツを好きになってもらう人を増やし、エンゲージメントの高い動画を作ることです。
そのためには、まず自分たちが一番のファンになる必要があると考え、選手たちとの距離を縮める努力をしました。

今までの常識は非常識だった、ならばどうするか?!

同時に、千葉ジェッツの広報チームから選手の情報を聞き出し、一歩一歩、選手との信頼関係を築いていきました。すると、選手たち自身から「やりたい企画」や「ハマっているYouTuber」の話が出てくるようになり、要望が多く集まってきました。

そこで私たちは「選手の要望に応えたい」と考えるようになり、最大の転機が訪れました。それが「コラボ撮影」です。
タレントやインフルエンサーと選手が一緒に楽しそうに撮影に参加してくれたおかげで、「YouTubeの撮影って意外と楽しい?」という雰囲気を作ることができました。

また、各インフルエンサーが持つ異なるファン層のおかげで、千葉ジェッツチャンネルの登録者数も増加し、選手個人の知名度も上がりました。
新しいムーブメントが生まれ、動画制作チームと選手の距離が縮まり、撮影回数も増えてきたところで、第二の壁に直面しました。それが「撮影日程の壁」です。

Bリーグの試合数は非常に多く、今年の千葉ジェッツはBリーグに参戦しながら、EASL(東アジアスーパーリーグ)にも参加していたため、1週間のスケジュールが非常にタイトになっていました。その結果、撮影日時の交渉が難しくなりました。

選手の1週間のスケジュールイメージ

そこで、新しい手法を考えました。通常、ショート動画の撮影には1本あたり30分ほどかかりますが、動画の撮影時間をなんと2分に短縮しました。

撮影方法は、広報チームと協力し、選手が必ず通る動線にカメラを設置します。選手がそこを通るタイミングで声をかけて撮影します。
このように、時間がないならないなりのやり方を発明したことで、安定的に動画を公開し続けることができました。

そして第三の壁が「リソースの壁」です。
私たちは7人のチームで活動しており、リソースには限界があります。そこで、思い切って以下の取り決めを行いました。

それが「PDCAをまわさない!」という方針です。

兼務6人のメンバーでまわすリソースの壁への突破法はこれ!

厳密に言うと、1本1本の動画を振り返らないということです。
今シーズンは9ヶ月間で200本以上の動画を公開しています。もちろん、1本1本を振り返ることの重要性は理解していますが、実際にはあまり意味がないのではないかと考えるようになりました。

その理由は、「常に新しい文化が生まれているため、振り返っている間に古くなってしまう」ということです。

その代わり、日常のコミュニケーションでカバーしています。オフィスで会話しながら、「昨日のサムネイルのクリック率は何パーセントだったね」といった「ナチュラルPDCA」を実践しています。さらに、シーズン開幕前に1年間のKPIを設定し、月単位で振り返りを行っています。

以上が私たちの前に現れた壁と、その都度取ってきたアクションです。
こうした壁をひとつずつ乗り越えることで、ようやく安定した運用ができるようになり、少しずつ結果が出てきていると感じています。

3つの運用の壁とその突破策

Bリーグ全体を盛り上げていきたい

折原:
最後に、最近あった印象的な出来事についてお話しします。
私たちはBリーグで1番を目指し、YouTubeチャンネルの登録者数でもトップを目指して活動しています。
先日、若手メンバーと話していた際、「Bリーグで1番になりたい」と言ったところ、「うーん……。Bリーグ全体を盛り上げた方がよくないですか?」と言われ、ハッとしながら「それだ!」となりました。かっこいい意見だと思いませんか?

運営側として、今回紹介したノウハウは非常に価値があると考えています。この内容を公開することで、他のBリーグチームのYouTubeや動画SNS運営者とつながり、皆で共有し合うことで、Bリーグ全体を盛り上げていけるのではないかと思います。
そうすることで、最終的には千葉ジェッツの盛り上げにもつながると信じています。

沖浦:
いいですね。Bリーグ全体を盛り上げていきましょう!ありがとうございました。

本編はYouTubeからご覧いただけます。


千葉ジェッツ公式YouTubeジェッツチャンネルはこちら


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