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100円の床屋
床屋って詐欺師だよな
こないだ5ヶ月ぶりに髪を切って
さっぱりして気持ちが良い反面
時期が冬なもんで頭皮が直で寒い
どうしても億劫になって先延ばしにしがちな
ヘアカット
そもそも髪を切って貰うって行動はハードルが高いのもあると思う。
知らない人に顔の周りで刃物を動かされる
かなりのストレスなはずなのに
いつの間にか自然と受け入れている。
何故なんだろう
私が小学生の時に通っていた近所の床屋さん
いつも髪の毛がしっとりしてる
喜多見さんはドロップの1番不味いヤツの匂いがした
喜多見さんは私が母から貰った
カット代金の2800円を渡すとポケットから
『いつも偉いな、ほら』
と言って100円をくれる
これが楽しみで小学校の6年間は
床屋に行くのがそんなに嫌ではなかった
中学に上がったタイミングで
もっと近くの理容室に行き出して
喜多見さんの床屋には行かなくなったんだけど
ある日、近くの理容室がやってなくて
喜多見さんの床屋に行ったんだけど
カット代の2800円を渡すと
『中学生はもう大人だから
カット代は2700円だぞ』って
100円をそのまま返される。
ん?
大人より子供の方が高いのか
電車も遊園地もだいたいは逆だけどな
『100円引きか・・』
その時、私はピンときた
小学生の頃に私を喜ばせていた
喜多見さんがくれる100円玉
あれはそもそも"カット代"に含まれていたのではないか?
それをあたかも喜多見さんが
私にくれたみたいに
ーなぜそんなことをしていたのか?
それは“信頼"させる技術だろう
素直な子供にとって
"知らない床屋さん"と
"100円をくれる床屋さん"では
心の開き方が全然違う
分かりやすく"いい人"にカテゴライズされるのだ
喜多見・・やるやん