煮込んで食べる
とある田舎町の大型スーパーで
働いていた
ある日ひょんなことから
万引き犯を見つけてしまい
事務所で事情を聞くことになる
『まるでドラマみたいやん』
好奇心と緊張
私
『あの、じゃあ出して下さい』
男
『はい、本当すみませんでした』
テーブルに置かれるカレー粉
男
『本当に、すみません』
テーブルに置かれた黄色いスポンジ
なんでこんなモノを・・
まぁ、あるあるなんだよな
盗る行為が癖になってしまった
パターンかな
男
『す、すみません、本当に』
テーブルに置かれたブラジャー
ん、ブラジャー・・
メロディが変わった
物語は転調したのだ
私
『こっこっこっ、これは?なんですか?』
はじめて10億の現金を見たニワトリみたいに
なる私に
男『すみません、本当にすみません』
繰り返される諸行無常
私
『これは、その、どういう?』
男
『本当に、すみませんでした』
〜長い沈黙が続く〜
最初はビビっていた私の心持ちも
徐々に失われたていき
だんだんと好奇の感情が芽生えた
私
『こんなもの盗って、どうするつもりだったんです?』
男
『本当、すみません』
私
『どうしてなんです?どうせ警察でも
同じこと聞かれますよ?』
男
『あの、煮込んで食べようかと思いまして』
煮込んで食べる・・・
煮込んで食べる?
どれを?
カレーだよな、盗ったカレー粉で
何かを煮込むと考えるのが自然だ
でも、ブラジャーを見て言った気がしたんだよな、マジか"ブラカレー"ってことか
うわ、斬新やん
私はまるで真夏のiPhoneみたいに
熱くなってしまった
手に負えないことを察した
私は主任の内線に電話をする
『大変です、妖怪ブラジャー煮込みが
出ました』
最初はめんどそうだった主任に
現状を話すと
『警察だな』と一言
事は我々の手を離れる
私も冷静になり
何も出来ていなかった自分に焦り
その後、主任に謝罪をしに行くと
主任は
『呼んで正解』
そう言った
正解・・・か
ブラを煮込んでるかもしれない人がいる
世の中で正解なんてあるのかね
そう、これは哲学の話だ
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