世界に3つだけの国宝の茶碗~曜変天目を見て~
”響きあう名宝~曜変・琳派のかがやき~静嘉堂文庫美術館にて
もともと世田谷にあった静嘉堂文庫が
静嘉堂@丸の内として10月1日に新美術館をグランドオープン
現在、新美術館開館記念展の第一弾として、
国宝、名宝、大名物!!、、、を一挙に展示しています。
少しだけ語らせてください。まずは、、、
『国宝 曜変天目』
私自身は”陶器の美しさ”に対しての感覚は薄い方です。
茶器が茶室に並んでいる様子は美しいと思うけれども、
美術館で茶器を見て感銘を受けたことは少ないのですが、、、
曜変天目については一目で『何があっても後世に残すべき宝!!』
と納得せざるを得ない綺麗さでした。
手のひらで包み込める程の小さな小さな陶器に
宇宙の神秘がぎゅっと閉じ込められている
藍色と黒の宇宙の中にうごめく超新星
釉薬(ゆうやく)の斑点(はんてん)がいくつもあって
さらにその斑点の周囲を瑠璃色、虹色、玉虫色が囲っている。
しかも見る角度によって色が変わっていく
これ自体は”偶然の産物”だそうで、
焼き窯の中での釉薬の変化=窯変(容変)によって作られるそうです。
曜変天目の曜変は、この容変の”容”を”星の輝き””輝き”を意味する”曜”として
容変→曜変として名前になっています。
天目(てんもく)は天目茶碗の意味で中国の天目山という山の名前に由来します。
つまり曜変天目は大陸(中国)から渡って来たものなんです。
そして完器(割れ欠け、欠損の無い完全な状態)は世界に3つしかなく、
そのすべてが日本国内にあります。
これまでの持ち主もすごくて
徳川家光、春日局、淀藩藩主の稲葉家、そして三井財閥、岩崎家、、、となります。
エピソードをひとつ ~曜変天目と春日局~
春日局は自分が乳母として育てた家光が疱瘡(天然痘)を患った時、
彼の病気平癒を願い”薬断ち(生涯薬を飲まない誓い)”をしました。
後年、春日局は病に倒れますが”薬断ち”を守り服薬を断り続けます。
家光はそんな彼女を助けたい一心で薬と曜変天目を贈り、薬を飲ませようとしました。
春日局はその姿に涙して飲むふりをしながらも、
自分の着物の袖にこっそり薬を流し入れました。
※所説あります。
こういう物語を知ると歴史的な価値もよりいっそう感じますね。
もちろん他にも名品揃い。特に人が集まっていたのは、、、
◆唐物茄子茶入『付藻(つくも)茄子』と『松本茄子』
三英傑(織田信長、豊臣秀吉、徳川家康)が所有した大名物
丸々とした茄子に似た小さな茶入でその丸みと黒茶色の艶がすごい。
この茶入は
”大坂夏の陣で大阪城陥落後に徳川家康の命令で焼け跡から探し出され、
バラバラになった状態を漆師が修復して蘇らせた”
、、、という嘘みたいな本当の話があります。
(X線写真だと確かにバラバラになった痕跡が映るそうです)
他にも、
◆酒井抱一 絵手鏡 生き物の描写が秀一、現代的なデザインも感じる
◆尾形光琳 ◆本阿弥光悦 、、、and more
もし行ける機会があったらぜひ!!
私は先週11/4(金)に事前予約無しで14:40に受付に行って、
16:10入場の当日整理券をもらいました。
(当日券が無い日も場合もあるので予約した方が安心です。)
この美術館の近くにはカフェやお店もあって
同館の明治生命館は重要文化財で2階部分は無料で見学可能です。
ちなみに話題になったグッツ“曜変天目ぬいぐるみ“は完売(予約も停止中?)
“手ぬぐいと飴のセット”も完売でした。
完売と知るとちょっと欲しくなりますね。
では、また~
みわ@湘南のすみっこ
<静嘉堂文庫美術館について>
※響きあう名宝 曜変・琳派のかがやき、は12月18日(日)まで
※月曜休館
※日時指定予約制。空き枠があれば当日券も販売。
※正確な情報は静嘉堂の公式HPかTwitterで要確認