【感想】講演:最先端の生き方『分人主義』で幸せに生きる方法(平野啓一郎)

本日、平野啓一郎さんの『分人主義』に関するオンライン講演を聴講しました。以下は、講演を聞いて、分かったことと感想です。

『分人主義』について知りたい方は、ぜひ、平野啓一郎さんの講談社現代新書の『私とは何か――「個人」から「分人」へ』をご覧ください♪
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000210658


〇なぜ「個人」ではなくて「分人」なのか?

 個人と言う日本語は、英語のindividual(in=否定、dividual=分ける)から来ていて、英語での意味は「分けることができない」です。
 
 西洋ではキリスト教の神様の前で、ひとりひとりの信者がそれ以上分けることのできない個人である、と考えたためにこの言葉があるそうです。でも、日本語訳に相当する「個人」には、「分けられない」の意味合いが含まれていない。
 
 日本社会では「八方美人」「風見鶏」という言葉があるように、接する人によって態度が違っていると、嫌がられる傾向があります。
 とはいえ、相手の個性や関係に応じた形で付き合わざるを得ないので、昔から人は分人的な行いをしてきたと言えます。

〇分人を考える目的は?

 分人を考える目的は、「生きていて心地のよい自分である分人の時間が増えるように自分の人生をデザインする」ことです。
 
 そのためにまず、私たちは、さまざまな役割と過去を抱えおり、その結果、沢山の分人として生きている実態がある、と納得しましょう。

 次に、具体的に、自分の中にどんな分人がいるのかをざっくりでも把握してみましょう。
 その中で「好きな」分人の割合が増えてゆく方法をさぐりましょう。
 死ぬ間際に「あの分人で生きられて楽しかったなー♪」って言えるようにしたいですね。

〇人生を楽しむ、だなんて

 人生を楽しむのは「そんなに簡単じゃないんだよ!」っておっしゃる方、いらっしゃると思います。簡単じゃないですよね。
 でも、自分が自分の人生を楽しもうとしなかったとしら、他に誰がやるんでしょう?

 さて、分人主義のとっつきやすいところは、根本的に、絶対的白とか絶対的黒ではなくて、いろんなトーンのグレーがある、という見方だと思います。
 
 例えば、「自己肯定」とは、自分を100%肯定しなくともよい、少しでもあればOK、ということでもあります。
 つまり、自分の中にいる何人かの分人の中に、「好きな分人」がいれば、もうそれだけで自己肯定のはじまりなのです。

 逆に、とても嫌な出来事があったとしても、それを理由に100%の自己否定をしなくたっていいんです。

 その時には「具体的に」面倒を見ましょう。
 どうして?どこが?嫌なのかを考えて、問題を絞り込みましょう。

 絞り込んで問題がはっきりした後なのですが、いわゆる「問題を克服する」も悪くは無いのですけれど、「問題を避けて、体力が戻るまで安心できる場所で休息する」も大ありです。「お休みする」は自分を守るためにとても大切な選択ですよね。

〇講演を聞いて発見したこと1:夢を語らせる危険
 
 「大きくなったら何になりたい?」 

 子どもにはキラキラした夢を積極的に語って欲しい、という勝手な気持ちが私の中にもあります。だから、ついそんな風に聞いてしまいます。

 でも、そういうのってポジティブに包まれた強制だったかもしれません。
 昔、子供のころに夢を語ったら、大人たちに詳しい説明の無いまま思いっきり否定されたことを私も思い出しました。
 じっくり考えさせることもなく、安全な場所のふりをして夢を語らせておいて、気に入らなかったら否定する。これって結構まずいんじゃないのー? って、平野さんのお話を聞いて思い出しました。

〇講演を聞いて発見したこと2:不本意な分人化もある

 単細胞な私は分人という概念を知った時、「分人化すればこれまでのがんじがらめの困難から解放されるから良いことだなぁ」なんてのんきに考えていました。
 すみません、勘違いしていました。
 分人とはひとりひとりが自分の幸福度を上げてゆくための考え方ではありますが、それぞれが幸福になれるように取り組まなくては、状況は変わりません。

 平野さんの講演を聞いて「不本意な分人化」もあると気がつきました。不本意な立場におかれて、いやおうなくそこに一定の時間を割かざるを得ない人がいる状況です。
 居場所が無いような場所にいる人は、もっと自分らしくいられる場所を増やせるように、安心できる場所を増やす仕組みが必要です。
 
 究極的には、みんなが幸せになれる分人の比率を上げていけるような社会になって欲しいです。
 それは例えば受験のときに使われた「偏差値」のような、一方的で巨大な物差しに多くの人々を一列にならべて序列付けするような価値観に乗っかって、その上位側に立つのがすべて! というような「幸せ」ではなくて、全方向性のある物差しで、それぞれの個性に合わせた幸せが見つかるようになることです。

〇これから

 自分が気持ちの良い分人でいる時間を増やす、そのためには、まず、いまとっちらかっている机の上の整理をして、身の回りをきちんと見渡せる人になろうと思います。

 そして、やりたいことをきちんと整理して、どの分人が何をやりたがっているかを棚卸ししようと思います。

〇DATA
12/20(日)平野啓一郎さん 希望と力が湧いてくる講演会 
『分人主義』 ワークショップつき
 13:30  オープニング、ご挨拶
 13:35  平野啓一郎 氏 ご登壇
 14:30  分人発見ワークショップ
 15:15  しつもん座談会
 15:30  閉会

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