風を呼ぶ
朝6時の気温 26℃ 少しずつ下がってきているように思うけれど、じりじりと焦げそうな日差しの強さで余計に暑さを感じる。
しかし、明るくなるのも少し遅くなったようだ。
朝5時で暗いなんて1週間ほど前には考えられなかったのに。
こんな感じで始まった一日。
日課の散歩に出たが、今日は予定があっただろうか?
予定などあったところで仕事をしていた頃のようにどうしてもという予定など病院へ行く以外にありはしない。だからのんびり散歩を楽しもう。
最近、物覚えと物忘れが少しずつ多くなってきていると感じている。
忘れることは平和につながると誰かが言っていたが、今のところ忘れることへの不安の方が大きい。
今まで物覚えは悪くなかった。
例えば酒の席で強かに飲んでも誰が何を言ったかまで覚えていた。
私はイヤなヤツだな。
もう一つの問題は一人暮らしが長くなると自分の声を忘れそうになるということだ。
独り言も多くなってきた。たまにテレビに突っ込んでたりするもんな。
昨日は何か話しただろうか?
思い出した。食料の買い出しに出掛けレジでポイントカードはお持ちですかと聞かれて「いいえ」と答えた。
これが昨日発したたった一つの言葉だ。ちゃんと言葉になっていただろうか?
まあ、愚痴をこぼしていても始まらない。さて冒険、いや散歩の始まりだ。
時々歩く散歩道なのに、こんなところに神社なんてあったかな?
神社の名は風神社。
御祭神は級長津彦命。
つまりは風の神、風神か。
この御祭神の書き方は日本書紀だな。
古事記では志那都比古だったと思う。
良くあることだけど生まれ方にも違いがある。
古事記では伊邪那岐・伊邪那美の二柱の神から生まれている。
日本書紀では伊弉諾尊が吹いた息から生まれている。
伊勢神宮内宮の風日祈宮と伊勢神宮外宮の風宮には女神の級長戸辺命と一緒に級長津彦命も祀られている。
男女の二柱だけに夫婦とも兄妹 (又は姉弟) とも一身が分離したとも言われている。
境内を探してみたが御利益などの書かれたものが見当たらないし、宮司や巫女の姿もない。
まぁ風の神様なのだから、いい時にいい風が吹いてくれればと思うのだけど、さて何を願うか。
そんなに強い風は必要ないから、欲しい時に風が呼べるようにしてほしい。こんな願い事はありかな?
もう一度行きたいと思ったのだが京都に風神社はなく、地図を確認してももちろんなく、不思議な体験をしただけだった。
風依頼来ました。
どこからだ?
お馴染みの田丸様からです。
ヨシ放出!!
放出しました。
立て続けに風依頼来てます。まずは渡部女史、それから常連の川村様、最後に先日お仲間になられた三羽様。
今年は暑い日が続くからな、依頼が多くなるのも仕方ない。三名の方には通常通りに放出!!
放出しました。
残量はどれくらいある?
残り80%切りました。
ヨシ以後1度目の依頼は90%まで下げ、2度目以降の依頼には60%まで下げろ。
暑すぎてこの分では風が足りなくなりそうだな。
極楽の余り風を回しますか?
いや風神の名にかけてそれはできん。
何とか保たすぞ。
ハイ!!
風神社に巡り合った日から数日後の夏の暑い日、京都独特の蒸し暑さの中をいつものように散歩していた時。
「こんなに暑いんじゃ少し参るな、風でも吹いてくれないかなぁ」
と口にした瞬間、少しだけ風が吹いた。
「気持ちいい、もっと吹いてくれればいいのに」
また、風が吹いた。
この日を境に呼びかけで少しだけ風が吹いてくれるようになった。
呼びかけると天の監視所が見てくれてんのかなと思うんだけど、風を運んでくれる。
だけど時々遅い時がある。そういう時は風を呼んでるのは私だけじゃないだろうからちょっと手間取ってるのかなと思いもう一度催促はしておく。
やり方ははこうだ。
まず小さな声で風とつぶやく。
それこら僕の場合は右手だけど手のひらを上に向けて握る開くを2度ほど繰り返す。おいでおいでの手のひら上バージョンと理解してもらえればいい。
私は特に信心深いわけではない。ただできるだけ神や仏と親しくありたいと思うだけだ。
だからあなたも一度やってみるといい。
風の神に気持ちが届けば心地良い風を分けてもらえるだろう。