「生きている遺産としてのスーダンの嗜み -混迷の時代を超えて-」ミニ写真展関連シンポジウムに参加して救われた話
やさしい、見返りを求めない、実直、敬虔。
スーダンに訪れたことがある人は、スーダン人についてこう語ることが多い。
私とスーダンの直接の思い出はないですが、
スーダンは連れ合いにとって原点となる特別な地。
海外で働くことを夢見ていた彼にとって、その夢が初めて実現したのが12年前に赴任したスーダンでした。
スーダンでは2023年4月15日に軍事衝突が起き、現在、紛争下にあります。
この時、連れ合いは日本でスーダンで共に働いていた現地職員が家族で国外避難したと報告を受けました。
彼は私に、「スーダンでどれだけその現地職員に自分が助けられたか」を語りながら、各方面に連絡を取りはじめました。
現地職員の支援に奔走する彼を見て、その現地職員やスーダンがどれほど大切な存在であるかひしひしと伝わってきました。
そんなわけで、連れ合いに誘われ、たばこと塩の博物館でのシンポジウムに参加。
ミニ写真展には、スーダンに関わってきた日本人が現地で見てきた、スーダンの人々の何気ない暮らしの様子が、生きている遺産としての人々の嗜みをとらえた写真として数枚展示されています。
ミニ写真展にあわせて開催されたシンポジウムでは、写真展の出品者に加え、2024年7月に刊行された『スーダンの未来を想う―革命と政変と軍事衝突の目撃者たち―』(明石書店)の著者らが集まり、スーダンの現状や歴史と文化について語り合いました。
登壇者らが口を揃えて話すのは、「スーダンの人々がどれほど優しく、気前が良く、魅力的な人々か…」。
登壇者の話は、どの方が話す内容も興味深かった。
心に残った登壇者のことば
堀潤さんの言葉は、世界で起こる戦争や紛争、内戦に「何もできない、情けない」と無力感を感じていた心に、スッと染み込んできました。
シンポジウムの最後のメッセージは、「あなたの周りに、粘り強くスーダンを復活させようとしている人がいる、ということを伝えてほしい」でした。
心を動かされ、拙いながらもこれを書いています。
実は、私たちの新婚旅行先の候補にスーダンが挙がっていました。
休みが合わず諦めましたが、紛争、連れ合いの持病の不安なども重なった今となっては、あの時行けていたら…と悔やまれます。
いつか、静岡のお土産をもって訪問する日を心待ちにしています!
(追記:2024年11月27日)
『スーダンの未来を想う―革命と政変と軍事衝突の目撃者たち―』を読了しました。著者たちの体験を通じて、なぜ多くの人がスーダンの人々を「やさしく、見返りを求めない、実直、敬虔」というのかが深く理解できました。
この本では、スーダンのこれまでの豊かな歴史や文化、あたたかい日常生活が内戦へと移り変わる過程が描かれており、読み応えのある一冊でした。
参考:
国連は「スーダンの人口の半分以上にあたる約2500万人が、今年末までに、深刻な飢餓に直面する可能性がある」と警告。
女性や女児を標的にした性暴力の激化も大きな問題のひとつ。