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小人の旅だより (3)マテーラ

洞窟住居で有名なマテーラ(Matera)旧市街に着きました。イタリア半島のブーツの丁度土踏まずの辺りから内陸に入った所です。1万年前の新石器時代から人類が住んでいたとされていて、周辺の洞窟住居群はユネスコの世界遺産に登録されています。
親切なタクシー運転手さんに紹介してもらった、旧市街の宿には古そうな家具が置いてあり、しっくりと落ち着いていて私好みでした。

メタルのベッドの曲線も美しい。タルコフスキーの映画を思い出し、思わぬ出合いに喜んでしまう

宿の人から「マテーラは昼の顔と夜の顔が全く違うんだよ」と教えてもらったので、11時間の移動の後で疲労困憊していたものの、少し歩いてみました。谷にぐるりと囲まれた丘陵地なので、行く先々に素晴らしい眺めの場所があります。それで撮れたのが見出しの写真です。歩いていて感じたのは、ローマ、フィレンツェ、ヴェネチアといったどこを見ても凄い芸術品の溢れるイタリアの名だたる都市と違って、シンプルなだけに、町の建物の立体感が直接的に感覚に入って来る、ということです。色々な言われや、目を奪うような装飾、有名故人の立像なども町を彩るけれど、そいういうのがほぼ無いと、歩きながら立体感に感覚が集中できると分かり、面白かったです。因みに、治安的には全く不安を感じませんでした。
洞窟住居が有名とは言え、旧市街の宿やレストラン、オフィスとして使われているような建物は洞窟ではなく、大半はトゥフォという凝灰岩を積んだ壁でできていました。

下の方はただ岩をくり抜いて作ったような感じもします。
昔の洞窟住居の展示もある。ロバと人は同じ空間で生活していたそうだ。

マテーラで絶対に見てみたかったのは、パロンバロ ルンゴという地下貯水槽です。古い街というのは人々の想いが入っているので、それだけで興味あるのですが、乾燥地帯の水源というのは死活問題なので、命の源としてその地に暮らす人々の想い入れの深さが格段に違うのです。

地下貯水槽  パロンバロ  ルンゴ

大きなヴィットーリオ・ヴェネト広場からちょっと下がった所にあるこの地下貯水槽は、16世紀に建設が始まり19世紀初頭に完成した物です。深さ16メートル、最大貯水量500万リットル。奥行き50mで、折り返し地点まで行って、戻って来ると25分くらいです。思ったより寒くありませんでした。大した工作機械もない時代から、こんな大きな地下空間を掘ったことに圧倒されます。1927年以降は貯水槽としては使われていません。音はとても響くので、どなたかにコンサートをやっていただきたいな、とまだ耳にせぬ音楽に思いを馳せたりしました。

ヴィットーリオ・ヴェネト広場

こんなに美しい広場がマテーラにあるとは知りませんでした。ヴェネチアやシエナの有名な広場も見てきましたが、ここも私の中のベスト10に入ること決定です。この街のいいのは、旧市街は非常に観光地っぽいけど、その周りの比較的普通の都市部との交流が絶たれていないので、地元の人々の活気も旧市街に流れ込んでいるところです。よそ行きの観光向けの表情だけではないところ。

古い街にクラシックカーがよく似合う。

広場のカフェで昼食を食べた後、歩いているとクラシックカーのツーリングに偶然遭いました。環境に良いかは別として、フォルムがきれいなので、私が道路脇で動画を撮っていると、助手席のマダムが嬉しそうに手を振ってくれました。なんだか子供っぽくて微笑ましかったです。

こんなキッチュな像も南イタリアらしい。
キリスト教の逸話をレリーフにしたもの。珍しく、顔がお饅頭っぽくぷっくりしていて可愛らしいです。
こんなまさかの寿司屋を発見。





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