Space Correspondent(宇宙特派員)
「Space Correspondent」は1985年に元安川で被爆瓦の収集を行っていた高校生グループの一部の有志が制作した特撮映画です。内容は顔の青い宇宙人のジャーナリスト(地球人に取材するときは地球人に化けている)が地球に来て、原爆投下から40年目の広島平和式典を取材するというものです。
当時の中曽根康弘総理大臣が参列し、世界中からBBCやCNNもABCも取材に来ていた広島平和記念式典でゲリラ撮影を強行し、スーツにネクタイな格好で式典開始前から会場周辺をうろつき、メジャーなジャーナリストをカメラに収めながら撮影していくドキュメンタリー風な作品です。クライマックスは8時15分の定刻における原爆ドーム周辺でのダイ・イン(参加者が死者になりきる抗議運動の一種で、ここでは原爆投下の8時15分に合わせた1分間の黙祷時間に被爆死者に成りきり死体を原爆ドーム周辺で演じること)を1分の黙祷時間一杯収録した映像で、宇宙人はこれにショックを受けながらも放送を続行して宇宙に向けて平和を訴えて地球を去るというアメリカ映画の「地球の静止する日」みたいな内容のものでした。
顔を青く塗って宇宙人を演じているシーンは後から撮影されたものがほとんどで地球に飛来したシーンと地球から去るシーンをの2シーンしかありません。原爆ドーム対岸の普段マスコミが集まって原爆ドーム背景に報道しているところで青メイクでの撮影があります。
被爆瓦収集運動高校生グループらしい反核平和映画でしたね。
これには裏バージョンがあり、そちらはダイ・インシーンを宇宙人が毒ガスで地球人を殺害したとナレーションが変わっており、宇宙人ジャーナリストが平和を訴えて地球を去るシーンが、地球侵略宣言を行い侵略軍を率いて戻ってくると宣言する内容に変わっています。大阪芸術大学の「金剛魔王2」のアテレコでストーリーをオリジナルの「金剛魔王」と180度変える「そういう訳にはいかないな」バージョンにヒントを得てこの侵略バージョンを作ったK君は広島の某私学のイラスト研究会のSさんの後輩です。1985年年末に兄と一緒にSさんに頂いたビデオで両方のバージョンを同時に視聴しました。
特撮シーンは二つで円盤飛行シーンと地上での転送シーン。転送シーンはスチール写真に転送の効果をセル画で重ねるアニメーションで表現し、効果音は宇宙大作戦と同じ音。円盤はアクリル板にアダムスキー型円盤の写真を貼り付けて撮影する方式でした。