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ささがささる
まだまだ残暑の厳しい地方が多いようですが、先日の日曜日(8月23日)に、京都市内の東山で案内をしました。
朝9時に地下鉄の東山駅で集合して、
青蓮院門跡( しょうれんいんもんぜき ) → 知恩院( ちおんいん ) → 森林 → 青龍殿( せいりゅうでん ) → 森林 → 清水山( きよみずやま ) → 清水寺( きよみずでら )
と、名所旧跡の解説をしながら寺社をお参りして、森林観察と解説をしながら歩いて、16時に清水寺で解散という、なかなか濃厚な行程でした。
1年で最も暑い時節でも、森へ入ると強弱の風が吹いて、蝉時雨( せみしぐれ )が鳴り響いていて、とっても快適でした。
そんな中、行程の終盤にさしかかった清水山で、今まで経験をしたことがない事が起こっていて、一瞬案内することを忘れ、興奮してしまいました・・。
参加者さんを無視して写真を撮りまくったりウロウロするわけにもいかないので、後日になってもう一度、清水寺から清水山へ、一人で行ってみました。
昨今のコロナ禍を受けて、今までは圧倒的なまでに混雑をしていた清水寺は、びっくりするほど人が少なくて、
清水寺の語源にもなっている音羽( おとわ )の滝も、誰もいない、信じがたい光景になっていました。
清水山( きよみずやま )は、そんな清水寺の背後にある、たおやかな山容の山です。
日曜日に案内した清水山へ、再び登りました。
清水山の山頂一帯には、今まではりっぱな檜( ひのき )や椎木( しいのき )が茂っていたのですが、去年から、少しずつ伐採がされていて、
とても明るくなっていました。
森林の中には、見落としそうな小さな看板があって、
このようなコンセプトで、森林伐採が進められているようです。
自然のままにしておくと、椎木( しいのき )の木陰になって枯れてしまうような、か弱い草木たちが復活する森林にするようです。
太古から人が住み続けている京都では、人が定住をしつづけて、その生活に必要な薪の調達のために森林伐採が行われつづけ、それが里山的な風景として、じつに1400年以上定着していました。
ところが約70年前に起こったエネルギー革命によって、薪を森林から伐らなくても、石油やガソリンや天然ガス、電気などから生活に必要なエネルギーを得られるようになり、森林が人々によって伐採されることが劇的に減りました。
今回の清水山での伐採は、その伐られることがなくなった森林で、大きく育ちはじめている椎木( しいのき )をはじめとした高木を伐って、かつては広がっていた、いろんな木々が生えている明るい林へ戻そうというものでした。
かつての里山のような、人がたくさん伐採することで明るくなった林が良いのか ?
人が定住する以前には鬱蒼と茂っていた、巨大な椎木( しいのき )が生える薄暗い森が良いのか ?
自分の中でも、いろんな思いが交錯して、なかなか考えを集約できませんが、森林と人との関わり方は、今後もいろんな人と一緒に考えていきたいです。
そんな、椎木( しいのき )をはじめとした高木の伐採が始まったことで、
小さくて多様な草木が、いよいよ芽吹こうとしていました。
ただ、日曜日に案内をした時に、僕がこの森林で興奮したことは、伐採のことではなく、
林床( りんしょう・森林の地表面のこと )に、たくさん茂っている笹( ささ )たちが、
たくさんの実を、実らせはじめていたことです。
笹の実は、60年から120年に1度、結実すると云われている、非常に珍しいものです。
足が当たると、
笹の実が、ズボンにささりました。
笹( ささ )の実が、ささる。
笹の語源に一石を投じるような説ができたかも・・・と興奮した、夏の清水山の森でした。
forest forest 、全体マップと表はコチラ ↓
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forest forest
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