
【勝訴確定】控訴審のご報告【三浦ゆえ・山田ノジル】
本日2025年1月29日、東京高等裁判所において、橋迫瑞穂氏が控訴人として起こした裁判[令和6年(ネ)第3255号損害賠償請求控訴事件(原審 東京地方裁判所令和4年(ワ)第19774号損害賠償請求事件)]の判決が筒井健夫裁判長から言い渡され、控訴人の請求は棄却されました。
橋迫瑞穂氏の不法行為が認められたことになります。
また、この控訴を受けて、三浦ゆえ・山田ノジルは附帯控訴していましたが、これも棄却されました。
これにより一審判決が維持され、三浦・山田の勝訴が確定しました。
一審の判決については、▼【勝訴】裁判のご報告【三浦ゆえ・山田ノジル】▼でお伝えしているとおりです。
応援ありがとうございました。
2022年7月初旬に三浦・山田のふたりで提訴の相談をはじめた当時、こんなに長きにわたって争うことになるとは思ってもいませんでした。2024年5月に一審で勝訴判決が出て、いったん気持ちは落ち着いたものの、ほどなくして橋迫氏が控訴したとの報せが届き、それからまた書面を準備したり陳述書を書いたりと、あわただしい日々を送ってきました。
その過程でふたりとも、持って行き場のない気持ちや疲労を感じたことも多々あり、応援してくださったたくさんの方の存在なくしては、乗り越えられなかったと思います。
この場を借りて、お礼をいわせてください。
ありがとうございました!
以下、「判決」です。最初にテキストver.を掲載しますが、これは続くデータver.をそのまま起こしたものです。
判決公開
テキストver.
令和7年1月29日判決言渡 同日判決原本領取 裁判所書記官
令和6年(ネ)第3255号 損害賠償請求控訴事件
令和6年(ネ)第4647号 損害賠償請求附带控訴事件
(原審,東京地方裁判所令和4年(ワ)第19774号)
口頭弁論終結日 令和6年10月23日
判決
控訴人兼附带被控訴人 橘迫瑞穂
(以下「控訴人」という。)
訴訟代理人弁護士 神田知宏
被控訴人兼附带控訴人 三浦ゆえ
(以下「被控訴人三浦」という。)
被控訴人兼附带控訴人 山田ノジル
(以下「被控訴人山田」という。)
両名訴訟代理人弁護士 神原元
主文
1 本件控訴及び附帯控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とし、 附帯控訴費用は被控訴人らの負担とする。
事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
1 控訴人の控訴の趣旨
(1)原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。
(2)上記の部分につき、被控訴人らの請求をいずれも棄却する。
2被控訴人らの付帯控訴の趣旨
(1)原判決を次のとおり変更する。
(2)控訴人は、被控訴人三浦に対し、55万円及びこれに対する令和4年7月11日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。
(3)控訴人は被控訴人山田に対し、55万円及びこれに対する令和4年7月11日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要 (以下、 特記しない限り、略称は原判決の例による。)
1 本件は、被控訴人らが、控訴人によるツイッター (現在のX) への投稿によ名誉を毀損され、 また、被控訴人らが送った私信の一部を控訴人が無断でインターネット上に公開したと主張して、 控訴人に対し、 不法行為に基づく損害賠償として、それぞれ55万円 (慰謝料50万円及び弁護士費用5万円の合計額) 及びこれに対する令和4年7月11日 (最後の不法行為がされた日)から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
2 原審は、被控訴人三浦の請求について 33万円及びこれに対する令和4年7
月11日から支払済みまで年3%の割合による遅延損害金の支払を求める限度で、被控訴人山田の請求について22万円及びこれに対する前同様の遅延損害金の支払を求める限度で、それぞれ認容した。 そこで、 控訴人は、原判決中控訴人敗訴部分を不服として控訴し、被控訴人らは、原判決中被控訴人ら敗訴部分を不服として附帯控訴をした。
3 前提事実、争点及び当事者の主張は、原判決15頁17行目の「プライバシ一損害の不法行為の成否」 を 「プライバシー侵害の不法行為の成否」に改め、当審における当事者の補充主張を後記4のとおり付加するほかは、原判決 「事実及び理由」 第3 (前提事実) 及び第4 (争点及び当事者の主張) に記載のとおりであるから、これを引用する。
4 当審における当事者の補充主張
(控訴人の補充主張)
(1)摘示事実が何であるかは「一般読者の普通の注意と読み方を基準にして判断されるところ、一般読者は記事を読むときに、当然に時系列も意識して読むとの経験則がある。本件投稿1については、引き続いて「これな」というツイートがされ、日時が記載されているから 2019年 (令和元年) 11月18日に本件座談会が行われたことが理解でき、マダムユキの本件プログ記事の掲載日が和4年6月29日であることから、時系列を考慮すれば、本件投稿1は、「他人を誹謗中傷するようなライターを座談会で採用していたことがある」という事実について 「信じられない」という控訴人の感想が述べられたものにすぎず、被控訴人三浦の社会的評価を低下させるものではない。 仮に社会的評価が低下するとしても、被控訴人三浦は、「個人を誹謗中傷するライター」 であるマダムユキを本件座談会で 「起用した」 ことがあるから、 摘示事実について真実性がある。
(2) 本件投稿の本件添付部分は、被控訴人らからではなく、藁谷から控訴人に送信されたものであるから、プライバシーとして保護すべき法的利益が弱いものであり、本件添付部分の内容、 被控訴人らが被る具体的な被害の程度、被控訴人らの社会的地位、公開の必要性などの各事情を総合衡量すると、 プライバシーの利益が表現の自由よりも優越しているとはいえず、本件投稿3はプライバシー侵害の不法行為ではない。
(被控訴人らの補充主張)
(1)本件投稿2は、被控訴人山田が控訴人を煽ったり挑発したりしたとの印象を与える記載であり、被控訴人山田のライターとしての品位を疑わせるものであるから、被控訴人山田の社会的評価を低下させるものである。
(2) 本件投稿2についても名誉毀損を認めるべきであることに加え、本件各投私の内容、本件各投稿による名誉毀損が控訴人による膨大で執拗な誹謗中傷の一環としてされたものであることなどからすると、本件各投稿による被控訴人らに対する慰謝料額は50万円を下らない。
第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も、被控訴人三浦の請求については、33万円及びこれに対する令和4年7月11日から支払済みまで年3%の割合による遅延損害金の支払を求める限度で、被控訴人山田の請求については、 22万円及びこれに対する前同様の遅延損害金の支払を求める限度で、それぞれ理由があると判断する。 その理由は、原判決7頁3行目の「プライバシー損害の不法行為の成否」を「プライバシー侵害の不法行為の成否」に改め、後記2のとおり当審における当事者の補充主張に対する判断を加えるほかは、原判決 「事実及び理由」 第5 (当裁判所の判断)の1 (判断枠組み) から4(争点③(原告らの損害の有無及び額)についての判断)までに記載のとおりであるから、これを引用する。
2 当審における当事者の補充主張に対する判断
(控訴人の補充主張について)
(1) 控訴人は、①一般読者は記事を読むときに、当然に時系列も意識して読むところ、本件投稿1については、「これな」というツイートにより、 2019年(令和元年)11月18日に本件座談会が行われたことが示されているから、マダムユキの本件ブログ記事の掲載日が令和4年6月29日であるという時系列を考慮すれば、本件投稿1は、「他人を誹謗中傷するようなライターを座談会で採用していたことがある」 という事実について 「信じられない」という控訴人の感想が述べられたものにすぎないのであって、被控訴人三浦の社会的評価を低下させるものではない、②仮に社会的評価が低下するとしても、被控訴人三浦は「個人を誹謗中傷するライター」であるマダムユキを本件座談会で「起用した」ことがあるから、 摘示事実について真実性があると主張する。
まず、上記①の主張についてみると、本件においては、本件投稿1に引き続き、控訴人による 「これな」とのツイートにおいて、本件座談会に関する被控訴人三浦のツイートが引用されており、この引用されたツイートには「Nov18.2019 (令和元年11月18日) という日付が付されているから (甲9)、一般の閲覧者において、 本件座談会が開催されたのは本件ブログ記事が掲載された令和4年6月29日よりも2年以上前であると理解することは、論理的には可能であったということができる。 しかしながら、上記「Nov 18, 2019」 という日付は、本文よりも目立ちにくい細いフォントで表示されており、閲覧者がこの日付の記載に気付いて、時系列に従って理解することが一般的といえるかどうかは、疑問がある。 その上、本件投稿1は、編集者である被控訴人三浦が被控訴人山田、 黒猫ドラネコ及びマダムユキの3名を記事に登場させたことに関し、「個人を誹謗中傷するライターを起用するなんて信じられない」 と記載しているところ、この文言は、「個人を誹謗中傷するライター」 であることを前提として、 そのような者をあえて座談会に起用したことを批判の対象としていると読むのが通常であって、座談会に起用したライターが、その後に個人を誹謗する言動に及ぶような者であったことを批判の対象としていると読むのは、技巧的な読み方というべきである。そうすると、このような一連の投稿について、 一般の読者(閲覧者) の普通の注意と読み方とを基準とすると、控訴人が主張するように、引用された被控訴人三浦の上記ツイートの日付を端緒にして、本件座談会と本件ブログ記事との時系列上の先後関係を正しく理解した上で、本件投稿1を読むことになるとは認め難い。この点については、前記1で補正の上引用する原判決 「事実及び理由」第5 (当裁判所の判断)の2 (争点① (本件投稿1及び2による名誉毀損の不法行為の成否に)ついての判断) (1)(本件投稿について) ア (社会的評価の低下に関し)で認定説示するとおり、本件投稿1は、編集者である被控訴人三浦が被控訴人山田、 黒猫ドラネコ及びマダムユキの3名を記事に登場させたことに関し、「被控訴人三浦が個人を誹謗中傷するライターを起用した」 事実を摘示するものと解するのが相当であり、一般の閲覧者の普通の注意と読み方とを基準とすれば、同投稿は、被控訴人三浦において当該ライターが個人を誹謗中傷していることを認職しながら、あえて当該ライターを起用したと印象付けるものである。 したがって、本件投稿1による摘示事実は、一般の閲覧者に対し、被控訴人三浦が編集者という責任のある立場にありながら、それにふさわしくない行為を行ったとの印象を与えるものといえ、被控訴人三浦の社会的評価を低下させるものである。
また、上記②の主張については、本件投稿1による摘示事実に関する上記認定を前提とすると、 本件座談会へのマダムユキの起用が本件ブログ記事よりも2年以上前であることに照らせば、仮にマダムユキによる本件ブログ記事に控訴人への誹謗中傷に当たる内容が含まれていたとしても、これをもって、被控訴人三浦が個人を誹謗中傷するライターを起用した事実があると認めることはできず、 本件投稿1の摘示事実は真実性を欠くというべきであることは、同 「事実及び理由」 第5 (当裁判所の判断) 2 (争点 ① (本件投稿1及び2による名誉毀損の不法行為の成否) についての判断) (1) (本件投稿1について) イ (違法性阻却事由に関し) で認定説示するとおりである。
(2) 控訴人は、本件投稿3の本件添付部分は、被控訴人らからではなく、藁谷から控訴人に送信されたものであるから、プライバシーとして保護すべき法的利益が弱いものであり、本件添付部分の内容、被控訴人らが被る具体的な被害の程度、被控訴人らの社会的地位、公開の必要性などの各事情を総合衡量すると、プライバシーの利益が表現の自由よりも優越しているとはいえず、本件投稿3はプライバシー侵害の不法行為ではないと主張する。
しかし、 ①前記で補正の上引用する原判決 「事実及び理由」第5 (当裁判所の判断) 3 (争点② (本件投稿3によるプライバシー侵害の不法行為の成否)についての判断) (1) (認定事実) によれば、控訴人は、本件投稿3における本件添付部分が、SNS上の投稿をめぐる被控訴人らと控訴人の紛争に関し、被控訴人らが控訴人に対する要望を記載したものであることを知りながら、被控訴人らの許諾を得ることなく、これをそのままの形で公開したものであると認められること、②本件添付部分は被控訴人らが控訴人に宛てて記載した要望であり、実質的に被控訴人らの控訴人に対する私信に当たる上、SNS上の投稿をめぐる被控訴人らと控訴人との紛争内容が具体的にうかがわれるものであるから、私生活上の事実に関する事柄であって、被控訴人らのプライバシーの利益を害するものといえること、③他方、控訴人においては、被控訴人三浦とのダイレクトメールのやり取りの結果、上記粉争に関しては双方で代理人を立てて交渉することとされていたのであるから、本件添付部分を公開する必要はなかったものであること、以上の①から③までの事情に照らすと、控訴人が被控訴人らの許諾を得ずに本件添付部分を公開したことは、被控訴人らのプライバシーの利益を違法に侵害するものとして不法行為を構成するというべきであることは、同「事実及び理由」 第5(当裁判所の判断)の3(争点② (本件投稿3によるプライバシー侵害の不法行為の成否) についての判断)(2)から(4)までで認定説示するとおりである。
(3) したがって、控訴人の上記各主張は、いずれも採用することができない。
(被控訴人らの補充主張について)
(1) 被控訴人山田は、本件投稿2は、被控訴人山田が控訴人を煽ったり挑発したりしたとの印象を与える記載であり、被控訴人山田のライターとしての品位を疑わせるものであるから、被控訴人山田の社会的評価を低下させるものであると主張する。
しかし、本件投稿2による示事実が示されたからといって、被控訴人山について不法行為法上違法と評価されるまでの社会的評価の低下があったと認めることはできず、本件投稿2については不法行為の成立が認められないことは、前記1で補正の上引用する原判決「事実及び理由」 第5 (当裁判所の判断)の2(争点① (本件投稿1及び2による名誉毀損の不法行為の成否) についての判断 (2) (本件投稿2について 認定説示するとおりである。
(2) 被控訴人らは、本件投稿2についても名誉毀損を認めるべきであることに加え、本件各投稿の内容、本件各投稿による名誉毀損が控訴人による膨大で執拗な誹謗中傷の一環としてされたものであることなどからすると、本件各投稿による被控訴人らに対する慰謝料額は50万円を下らないと主張する。
しかし、本件投稿2については不法行為の成立が認められないことは、上(1)のとおりである。 そして、 本件投稿1及び本件投稿3の内容に加え、本件投稿1については被控訴人三浦の編集者としての信用に関わる名誉毀損であること、本件投稿3については、被控訴人らと控訴人との紛争内容が具体的にうかがわれる本件添付部分を正当な理由なく無許諾で公開したものであることに照らせば、本件投稿1に係る慰謝料は10万円、本件投稿3に係る慰謝料は被控訴人ら各自につき20万円とするのが相当であることは、前記1で補正の上引用する原判決「事実及び理由」 第5 (当裁判所の判断)の4 (争点③(原告らの損害の有無及び額) についての判断) で認定説示するとおりである。
(3) したがって、被控訴人らの上記各主張は、いずれも採用することができない。
第4 結論
以上の次第で、被控訴人三浦の請求は、33万円及びこれに対する令和4年7月11日から支払済みまで年3%の割合による遅延損害金の支払を求める限度で、被控訴人山田の請求は、22万円及びこれに対する前同様の遅延損害金の支払を求める限度で、それぞれ理由があるから、その限度で認容すべきである。よって、これと同旨の原判決は相当であり、本件控訴及び附帯控訴は理由がないから、いずれも棄却することとして、 主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第11民事部
裁判長裁判官 筒井健夫
裁判官 森田強司
裁判官 坂庭正将
これは正本である。
令和7年1月29日
東京高等裁判所第11民事部
裁判所書記官 神作文子
データver.










今後について
今後、このnoteでは、三浦・山田が提訴を考えるにいたった経緯や、係争中のあれやこれやについて、書ける範囲で投稿していきます。
いま、SNSでは毎日のように誰かが誰かの名誉を毀損しています。あんなデマ信じるひとなんていない、といっていられないのが、昨今のSNSです。大ごとにしたくないと思いながらも、訴訟するしかないと考えている人はきっと少なくないでしょう。
そんな人たちの参考になるかはわかりませんが、何かしらを得ていただければ……ほんっとに微力なのですが……幸甚です。
自分たちの備忘録としても文字にして残しておきたいと思いますので、このnote、もうしばらく続けます。
よろしくお付き合いくださいませ。